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ついに入手する、が
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「よくがんばったね」
僕は惜しみなく称賛の言葉を贈る。
正直言って初めてのダンジョンとしては難易度高めであった。特に敵の難易度がね。それでもなお彼女たちは諦めず全力を振り絞り最深部の敵を倒し宝を手に入れた。めでたしめでたし…なっわけないでしょ。まだ生きて帰還するというもっと重要な問題も抱えている。そこまで導くのが僕の仕事だ。涙し喜び合ってる彼女らにはまだまだ危険が潜んでいる。
「じゃ、これは僕が預かっておくから」
『えっ!』
彼女たちは驚きの声を上げた。これは自分たちのものだと確信していたようで落胆の顔色を見せる。
「持ち帰るにしても荷物にスペースないでしょ。第一ここまでの準備を整えてもらい教えられながら導いてもらった恩はどうやって返すつもり?それを踏まえれば僕が預かるのが当然でしょうが」
彼女たちには反論不可能なようだ。安心してよ、他の誰かに売り飛ばすつもりはないから。そのぐらいの信用はあるだろう。
比較的浅い階層とはいえまだここはダンジョンの最深部、帰る危険性を見込めばまだまだ安心はできない。
「無事に生還するまでが旅の終わりって言うでしょ」
君らだけで帰還できるか。そう言われれば「否」である。
マナストーンを全部《収納》し入口に向かって足を進める。新たに松明を出して全員で進む。幸いにして帰還の道中敵に会うことはなかった。
「ああ、お日様の光が暖かい」「うん、本当」「あの暗闇が怖かったよ」
彼女らにとってあの暗闇は常に恐怖でしかなかった。それから解放されお日様の光を浴びる自分達は「成し遂げた」そう実感するだろう。幸いにして時間的な余裕があるしまだ社会勉強してもらうことにしようか。
彼女らは喜びいっぱいで帰還するがその道中冒険者の一団らしきパーティと出くわした。
「あんたら、この先のダンジョンから帰還してるのか?」
いかにも荒くれ者ぞろいと風貌の男たちは何も飾らずに聞いてくる。喜びに浮かれている彼女らは最深部まで攻略したことを明かした。それは悪手だとは何も考えずに。奴らの後方で魔術を唱えている者らがいるとは気づかずに。
「《感電…拡散》」
『あ、え…』
突然自分らの体に魔術を叩きこまれ身動きできずに地べたに寝かせられる。僕も含めて。まぁ、僕は寝たふりをしているだけだが3人はもう何もできないだろう。
「な、なにを、す」
「こんなお嬢ちゃんどもがダンジョンを先に攻略した。信じがたいが、まぁこっちにとっては好都合だ」
「こん、な、こと、して、ただ」
ただで済むと。そう思うかもしれないが。
「冒険者プレートに記録される?身内同士の争いはご法度?そんなことは重々承知さ。冒険者プレート、俺らは装備してないからな」
種明かしをされる。
冒険者プレートは本人に起こったことを全部記録するがその範囲には穴があること。僕はそれを知っていた。それを装備せずとも活動はできるし見咎められても装備してなければ記録は残らない。こういう仕組みの穴を知っているならず者たちはどこにでもいるのだ。
本来であれば重罪確定だが証人も証拠もなければどうとでも逃げられる。ダンジョンを攻略したプレイヤーを刈る背教者どもこそが最もタチが悪いのだ。なぜ僕が戦利品を預かったのかもこれが理由だ。
彼らはすぐさま僕らを包囲する。そして、その魔の手を無数に伸ばす。
『や、やめ、めて』
その魔の手が望むのは略奪か、それとも凌辱か。どっちにしても悪夢だろうが、相手は計算違いをしている。魔術にかかっていない僕に気づいてない。
「《感電…拡散》」
相手が使った魔術をそのまま使う。
『がぁぁぁああああああ、な、なん、だぁ、あああ』
彼らは自分に起こったことに戸惑った。
「《状態回復》」
仲間だけに回復魔術を使う。それで全員が動き出し立ち上がる。
「ピュアブリング、あなたはこれを知っていたのですか?知っていてなお直面するまで教えなかった。そうなんですね!私達に現実を教えるために」
「ひどいです。なんで、なんでこんな、こんなひどい連中が我が物顔でのさばってるんですか!こんな現実知らなかったじゃすまされない」
「迂闊に事実を話した私たちが悪いだけ、だけなんだろうけど。でもこれはちょっと酷いものだよね」
3人とも「醜い現実」直視し感想を述べた。その顔には怒りと悲しみが混ぜ込んである。彼女らの中にあった善良で人々の困難に立ち向かう勇敢な冒険者という像は実は砂の城のように容易く壊れてしまうことに気づいたのだ。
彼女らはそれを目指していた、そうであると信じ願い成ろうとしていた。でも実際はこれだ。
「有り得ない?そう思うかもしれないけど満足に活動できず資金繰りに困れば同業者を狙うのが最も確実に利益を得られるのはどこも変わらないよ。それを知らない初心者狩りは決して珍しくない」
もしかしたら僕らだってそれに手を染めるかもしれない未来もある、それを匂わせる。説明はこれで終わりだ。やることをやろうか。
「こちらは冒険者プレートを装備しているからすべての行動が記録として残っている、彼らはそれを装備しておらずにこちらに攻撃してきた。誰がどう見ても正当防衛だし違反者に対して生死の確認は問わないと決まっている」
彼女らは無言で腰に下げていたメイスを持つ、まだべっとりと赤く染まっている凶器。見動きができないならず者たちは命乞いをしたが信仰職である彼女らにはそれは届かない。裏切り者は彼らの方だからだ。
「あ、やめ。お、おれ、らが、わる」
『背教者に粛清を!!』
彼女ら全員が怒りの形相でメイスを全身全霊で打ち下ろす。そこに殺人の忌避感はどこにもなかった。動きの取れない連中を徹底的に叩き潰す。阿鼻叫喚の地獄絵図だが僕にとっては珍しくもなんともなかった。ああ、罠にかけたはずがかかっていたのは自分たちのほうだ、それだけだ
「『あああああああああああ!?このクズ、ごく潰し、悪人どもが!今死ね即座に死ね!我らが神の元に送るのは無駄だ。お前らが招かれるのは地獄の悪魔の元だ!これは正義だ、だれもどう見てもだ。これまでご犠牲者の無念を私達が晴らす!』」
聖職者にあるまじき発言を唱えながらひたすらならず者らをメイスで殴り殺す。3人がかりで一人ずつ徹底的に。か弱い女らが怒りの表情で仲間をなぶり殺しにする。その様は自分らが散々やってきたことと同じであり何度となく見てきた。それが逆になったのはキツイのか、ならず共たちに恐怖の顔色が出てくる。出てくるが、身動きができない。
最初の一人は感情が収まらなかったのか3人がかりでミンチにされた。残りは9人。3人で公平に分配することにしたようで怒りに燃えた瞳でメイスを持って近づく。
「や、やめ」「断罪」
「ど、どう、か」「粛清」
「み、のが」「地獄に落ちろ」
ライザもラグリンネもエトナも、ここで慈悲をかけても相手はまた同じことを繰り返すであろうことを確信し容赦なく殺す。ただ闇雲に武器を振うだけでは体力の消耗が激しいのは確認済みなので僕に相手をうつぶせにさせてほしいと願う。僕はそれを了承し連中をうつぶせにさせると彼女らは首目がけてメイスを振り下ろす
『断頭』
古来から伝わる殺人技法で頭部と人体をつなぐ急所である首、それは背後からの攻撃に脆く非力な者でも狙えば確実に重傷を負わせる。メイスほどの鈍器ならばより確実だろう。一人一人うつぶせにされ断頭を撃ち込まれていく。ならず者らはそれを見てさらに恐怖する。
一人、また一人と断頭を撃ち込まれ絶命していく。そして、最後の一人となる。
「や、やめて、くれ。おれ、おれ、らの、他の仲間が、だま」
言葉から察するにほかにも仲間がいるらしい、が。彼女らの答えは「死人がどうやって仲間に伝える」だった。最後の一人を殺し終わると。
『う、うわぁああああああ!』
彼女らは泣き崩れた。無理もないか、この年齢で正当防衛とはいえ殺人の重み、それが今来たのだろう。今はただ彼女らの傍にいよう。
その後事件の発覚を遅らせるために土魔術で穴を掘って死体を埋める。彼女らは黙々と死体を穴に運び込んでいく。それが終わってからというもの彼女たちの目は濁りをもち焦点が合っていない感じだ。幸いなことにモンスターは出てこず帰還した、が。
「宿屋に泊まりたくない?」
「…はい」
「わかった」
門の外に出てコテージを出して食事をし汚れを洗い流して寝る。それだけだ。今日一日で色々なことがあったので整理するのは大変だろう。
僕は惜しみなく称賛の言葉を贈る。
正直言って初めてのダンジョンとしては難易度高めであった。特に敵の難易度がね。それでもなお彼女たちは諦めず全力を振り絞り最深部の敵を倒し宝を手に入れた。めでたしめでたし…なっわけないでしょ。まだ生きて帰還するというもっと重要な問題も抱えている。そこまで導くのが僕の仕事だ。涙し喜び合ってる彼女らにはまだまだ危険が潜んでいる。
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「無事に生還するまでが旅の終わりって言うでしょ」
君らだけで帰還できるか。そう言われれば「否」である。
マナストーンを全部《収納》し入口に向かって足を進める。新たに松明を出して全員で進む。幸いにして帰還の道中敵に会うことはなかった。
「ああ、お日様の光が暖かい」「うん、本当」「あの暗闇が怖かったよ」
彼女らにとってあの暗闇は常に恐怖でしかなかった。それから解放されお日様の光を浴びる自分達は「成し遂げた」そう実感するだろう。幸いにして時間的な余裕があるしまだ社会勉強してもらうことにしようか。
彼女らは喜びいっぱいで帰還するがその道中冒険者の一団らしきパーティと出くわした。
「あんたら、この先のダンジョンから帰還してるのか?」
いかにも荒くれ者ぞろいと風貌の男たちは何も飾らずに聞いてくる。喜びに浮かれている彼女らは最深部まで攻略したことを明かした。それは悪手だとは何も考えずに。奴らの後方で魔術を唱えている者らがいるとは気づかずに。
「《感電…拡散》」
『あ、え…』
突然自分らの体に魔術を叩きこまれ身動きできずに地べたに寝かせられる。僕も含めて。まぁ、僕は寝たふりをしているだけだが3人はもう何もできないだろう。
「な、なにを、す」
「こんなお嬢ちゃんどもがダンジョンを先に攻略した。信じがたいが、まぁこっちにとっては好都合だ」
「こん、な、こと、して、ただ」
ただで済むと。そう思うかもしれないが。
「冒険者プレートに記録される?身内同士の争いはご法度?そんなことは重々承知さ。冒険者プレート、俺らは装備してないからな」
種明かしをされる。
冒険者プレートは本人に起こったことを全部記録するがその範囲には穴があること。僕はそれを知っていた。それを装備せずとも活動はできるし見咎められても装備してなければ記録は残らない。こういう仕組みの穴を知っているならず者たちはどこにでもいるのだ。
本来であれば重罪確定だが証人も証拠もなければどうとでも逃げられる。ダンジョンを攻略したプレイヤーを刈る背教者どもこそが最もタチが悪いのだ。なぜ僕が戦利品を預かったのかもこれが理由だ。
彼らはすぐさま僕らを包囲する。そして、その魔の手を無数に伸ばす。
『や、やめ、めて』
その魔の手が望むのは略奪か、それとも凌辱か。どっちにしても悪夢だろうが、相手は計算違いをしている。魔術にかかっていない僕に気づいてない。
「《感電…拡散》」
相手が使った魔術をそのまま使う。
『がぁぁぁああああああ、な、なん、だぁ、あああ』
彼らは自分に起こったことに戸惑った。
「《状態回復》」
仲間だけに回復魔術を使う。それで全員が動き出し立ち上がる。
「ピュアブリング、あなたはこれを知っていたのですか?知っていてなお直面するまで教えなかった。そうなんですね!私達に現実を教えるために」
「ひどいです。なんで、なんでこんな、こんなひどい連中が我が物顔でのさばってるんですか!こんな現実知らなかったじゃすまされない」
「迂闊に事実を話した私たちが悪いだけ、だけなんだろうけど。でもこれはちょっと酷いものだよね」
3人とも「醜い現実」直視し感想を述べた。その顔には怒りと悲しみが混ぜ込んである。彼女らの中にあった善良で人々の困難に立ち向かう勇敢な冒険者という像は実は砂の城のように容易く壊れてしまうことに気づいたのだ。
彼女らはそれを目指していた、そうであると信じ願い成ろうとしていた。でも実際はこれだ。
「有り得ない?そう思うかもしれないけど満足に活動できず資金繰りに困れば同業者を狙うのが最も確実に利益を得られるのはどこも変わらないよ。それを知らない初心者狩りは決して珍しくない」
もしかしたら僕らだってそれに手を染めるかもしれない未来もある、それを匂わせる。説明はこれで終わりだ。やることをやろうか。
「こちらは冒険者プレートを装備しているからすべての行動が記録として残っている、彼らはそれを装備しておらずにこちらに攻撃してきた。誰がどう見ても正当防衛だし違反者に対して生死の確認は問わないと決まっている」
彼女らは無言で腰に下げていたメイスを持つ、まだべっとりと赤く染まっている凶器。見動きができないならず者たちは命乞いをしたが信仰職である彼女らにはそれは届かない。裏切り者は彼らの方だからだ。
「あ、やめ。お、おれ、らが、わる」
『背教者に粛清を!!』
彼女ら全員が怒りの形相でメイスを全身全霊で打ち下ろす。そこに殺人の忌避感はどこにもなかった。動きの取れない連中を徹底的に叩き潰す。阿鼻叫喚の地獄絵図だが僕にとっては珍しくもなんともなかった。ああ、罠にかけたはずがかかっていたのは自分たちのほうだ、それだけだ
「『あああああああああああ!?このクズ、ごく潰し、悪人どもが!今死ね即座に死ね!我らが神の元に送るのは無駄だ。お前らが招かれるのは地獄の悪魔の元だ!これは正義だ、だれもどう見てもだ。これまでご犠牲者の無念を私達が晴らす!』」
聖職者にあるまじき発言を唱えながらひたすらならず者らをメイスで殴り殺す。3人がかりで一人ずつ徹底的に。か弱い女らが怒りの表情で仲間をなぶり殺しにする。その様は自分らが散々やってきたことと同じであり何度となく見てきた。それが逆になったのはキツイのか、ならず共たちに恐怖の顔色が出てくる。出てくるが、身動きができない。
最初の一人は感情が収まらなかったのか3人がかりでミンチにされた。残りは9人。3人で公平に分配することにしたようで怒りに燃えた瞳でメイスを持って近づく。
「や、やめ」「断罪」
「ど、どう、か」「粛清」
「み、のが」「地獄に落ちろ」
ライザもラグリンネもエトナも、ここで慈悲をかけても相手はまた同じことを繰り返すであろうことを確信し容赦なく殺す。ただ闇雲に武器を振うだけでは体力の消耗が激しいのは確認済みなので僕に相手をうつぶせにさせてほしいと願う。僕はそれを了承し連中をうつぶせにさせると彼女らは首目がけてメイスを振り下ろす
『断頭』
古来から伝わる殺人技法で頭部と人体をつなぐ急所である首、それは背後からの攻撃に脆く非力な者でも狙えば確実に重傷を負わせる。メイスほどの鈍器ならばより確実だろう。一人一人うつぶせにされ断頭を撃ち込まれていく。ならず者らはそれを見てさらに恐怖する。
一人、また一人と断頭を撃ち込まれ絶命していく。そして、最後の一人となる。
「や、やめて、くれ。おれ、おれ、らの、他の仲間が、だま」
言葉から察するにほかにも仲間がいるらしい、が。彼女らの答えは「死人がどうやって仲間に伝える」だった。最後の一人を殺し終わると。
『う、うわぁああああああ!』
彼女らは泣き崩れた。無理もないか、この年齢で正当防衛とはいえ殺人の重み、それが今来たのだろう。今はただ彼女らの傍にいよう。
その後事件の発覚を遅らせるために土魔術で穴を掘って死体を埋める。彼女らは黙々と死体を穴に運び込んでいく。それが終わってからというもの彼女たちの目は濁りをもち焦点が合っていない感じだ。幸いなことにモンスターは出てこず帰還した、が。
「宿屋に泊まりたくない?」
「…はい」
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