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エクリプス開拓団5
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南部からの大移動が行われてから半月、わたしは非常に多忙な日々を送っていた。
「リーヴリル様。穀物の必要量が足りません、急ぎ穀倉地帯の大規模な開発が必要です」
「わかった、必要な苗などを用意するからしばらく待って」
「リーヴリル様、生活区域に水が十分に行き渡っていないため慢性的な水不足です」
「【恵みの水樹】を10本ほど用意するから生活地の近くに植えて、貯水池などの整備も行って」
「リーヴリル様、家畜が足りないため肉が不足しています」
「それは王国の方に言って用意させるからしばらく待って」
「リーヴリル様、家などが足りず簡易テント暮らしの者たちから不満が出ております」
「建築用の資材を用意するから元気に動ける者や建築などを知る者たちに仕事を割り振って」
「リーヴリル様、鉱山の採掘量が予定を大幅に超えており人手を回して欲しいとの事です」
「わかった、領地に居る人たちの応募を出し王国にも他国からの労働者を呼ぶように書簡を出す」
「リーヴリル様、王国の方から貴族との婚約話が来ておりますがどうしましょうか」
「それはいま必要なことではないでしょ、断って」
爆発的に人口が増えたので仕事も同じぐらいに増えた。ユーフォリアやリースリットや開拓団の人たちは突然現れた他種族の大群を見て目を白黒させた。
彼らが南部に住んでた人達で事情を説明して開拓団と一緒に生活を始める。種族もバラバラで村々によって多少統治するための法や考えが違ったのでもともと近くの村同士なのだった者たちで纏めたり少し離れて村を作らせたがそれでも多少諍いが起きた。
なので簡単に分かりやすい法律を作る。もちろん人道的にそったものだ。
南部から連れてきた人数は開拓団の10倍以上なので当然足りない物だらけだ。インフラの整備から食料の生産まで広い範囲で見なくてはいけないがそれをするにはリーダー的な人がいなくては話にならない。
ユーフォリアに北部の穀倉地帯の統治者に任命しリースリットに西側などの村々の統治者に任命しシャナに南の防衛ラインの統治者に任命し監視させる、東側はまだ手を入れない、あちらは鉱山地帯で山々しかなく侵略の危険性が無いからだ。精錬所を建てて鉱山技師や精錬工など技術者を多数雇った。
それらを王国に回して代わりに必要な物を送ってもらう。その報告を受けて国王や王妃や貴族たちは絶句していた。あの荒廃した南部がここまで発展するなど信じられないと。
国家の血脈になる街道は真っ先に整備して何不自由ないものに整備されているため移動は快適だ、いまは緊張している南部との関係だが貿易をしたい商人たちも数人出入りしている。
インゴットやここで産出される食料などを求めてやってきている。はっきりいって生活の豊かさでは格別の差がある、資金ではまだ相手が上だが資源ではこちらが圧倒的に有利だ。当然それを手に入れるために北部の方からも商人が来ている。
このまま発展が続けば莫大な利権が集まる交易都市になるだろう。もっともすでに予想できた問題がおきているが。
まずは連れてきた開拓団が大量に連れてきた人たちを見て離反したのだ。このままこの土地にいても無駄だと判断した愚か者だ。こいつらには生活に不自由しないぐらいの手切れ金を渡す代わりに二度とわたしの利権に関われないよう契約書を書かせる。
二つ目の問題が王国側からの一方的に来た人たちだったがその大半が、
「だから、我々に従えばよいのだ!こちらは貴族の子息だぞ!」
「私たちを弾圧した貴族など信じられません!」
その問題とは王国から来た貴族の子供たちと南部から来た他種族たちの対立だ。
普通なら貴族の子供たちを臣下に置くのが普通で問題ないが南部から大多数の人が来てその中にも名家といえる血筋の者たちもいる。彼らは身分を剥奪されて生活していたがこちらに受け入れたときに支配体制を確立するためにそういった者たちの復権を行ったのだ。
それで統治体制を確立できるはずだったのだが王国側から予想外の要求を突きつけられた。
『貴族の子供たちを臣下として召し抱えて欲しい』
契約書にはそういったことは触れておらずなんの援助も受けないつもりだったので当然混乱した。王国にはもうすべてのポストが埋まっていて空きなどない。領土も開発されず放置され長男以外は後を次げないため兵士になるか冒険者となるか他国に行かなければいけない状態だった。
そこにわたしが開発した肥沃的な領地が生まれたため臣下に加わりたいと多数の貴族の子供たちが来たのだ。多少ならば問題なかった。それなりのポストは空いていたし何かしらの役職を任せられる人は欲しかったがあまりにも玉石混合なのである。
上はすぐさま重臣にしても問題ないのから下はただの無駄飯食いまで様々だ。いくらなんでも無理矢理押し通せるとでも思っているのか?王様らの推薦や身元が完全に怪しいものまでいる。
こいつらを無視するのは簡単に出来るが王国からここの統治を任されているしまだ身分はなく開拓団団長という立場だ。資金などは心配ないが無駄な奴らを雇うわけにはいかないしそんなことをすれば人心が離れてしまう。
「この状況を説明願えますか?国王陛下と王妃と周りの臣下たち」
王宮に来て王様らを集めて事情を聞くことにした。
「い、いやな。リーヴリルも困っているかと思って人材を送ったのだが・・・」
「そ、そうですよ。あれだけ肥沃的な土地を治めているのだから多少はポストに空きがあるはずですが・・・」
国王以下しどろもどろに言葉を言うが何の関心もない。こいつらは何時から傲慢になった?
「いつからそのように強引に振舞うのを許しましたか!わたしは何時から命令を聞くだけの存在になりましたか教えてください!」
怒声を上げる。周りの全員が怯える。もはや礼儀など不要だ。
「頼む!なんとかして欲しい!王国も豊かではないのだ!」
国王らは財政難を理由に懇願するが、
「契約書では統治に口出ししない約束のはずですがそれを反故にするというのですか?それとも押しかけてきた人たちを雇えば問題が解決すると思いましたか?何を馬鹿なことを言っているのですか。お前たちにはただただ搾取するしか考えられないのですか」
そんなことで譲るなどと思っているのか?こいつらの頭を冷やしてやることにした。
「契約書ではそのことは明記しませんでしたから問題などないと思いますが」
王妃たちが内容に書かれていないのだから自由に出来ると思っているのだろうがそんなことは許さない。普通ならば受け入れられるのだろうがあそこまで愚かな人たちなど不要だし南部から亡命してきた他種族たちの心情を理解しろ。
「領地の開発を完全に一任する。援助は出せないがその代わりこちらに口出ししないと書いてあるはずですが確認しましたか。書き足そうにもスペースは無かったし勝手に内容を書き直したならそちらに原因がありますよ」
すみませんが契約書を改めさせてもらいたいと申したら全員がダラダラと汗を流しだした。
「どうしましたか?ただお互いの契約書を並べて見るだけですが?」
(ヤバイ!これは誤魔化しようがない!どうしようか!)
実は国王たちはその内容を完全に自分たちの都合のいいように書き直していたのだ、もちろん勝手に。あの肥沃的な土地に貴族の子供らを大多数登用して統治を任せようとしたのだ。リーヴリルや王女たちはそのままだが利権のほとんどは王国が握るように別物の内容になっていた。
だがリーヴリルにそんなことがばれればただではすまない。こちらが完全に悪いのだから当然だ。どうにか取り繕うとしたがリーヴリルのすさまじい殺気に怯えてしまった。
契約書の内容を一瞥して恐ろしく冷めた表情で一言。
「これでは交渉の余地などどこにもありませんね。貴様らとは話すことなどありません」
最悪の形で王国に雷が落ちた。
「リーヴリル様。穀物の必要量が足りません、急ぎ穀倉地帯の大規模な開発が必要です」
「わかった、必要な苗などを用意するからしばらく待って」
「リーヴリル様、生活区域に水が十分に行き渡っていないため慢性的な水不足です」
「【恵みの水樹】を10本ほど用意するから生活地の近くに植えて、貯水池などの整備も行って」
「リーヴリル様、家畜が足りないため肉が不足しています」
「それは王国の方に言って用意させるからしばらく待って」
「リーヴリル様、家などが足りず簡易テント暮らしの者たちから不満が出ております」
「建築用の資材を用意するから元気に動ける者や建築などを知る者たちに仕事を割り振って」
「リーヴリル様、鉱山の採掘量が予定を大幅に超えており人手を回して欲しいとの事です」
「わかった、領地に居る人たちの応募を出し王国にも他国からの労働者を呼ぶように書簡を出す」
「リーヴリル様、王国の方から貴族との婚約話が来ておりますがどうしましょうか」
「それはいま必要なことではないでしょ、断って」
爆発的に人口が増えたので仕事も同じぐらいに増えた。ユーフォリアやリースリットや開拓団の人たちは突然現れた他種族の大群を見て目を白黒させた。
彼らが南部に住んでた人達で事情を説明して開拓団と一緒に生活を始める。種族もバラバラで村々によって多少統治するための法や考えが違ったのでもともと近くの村同士なのだった者たちで纏めたり少し離れて村を作らせたがそれでも多少諍いが起きた。
なので簡単に分かりやすい法律を作る。もちろん人道的にそったものだ。
南部から連れてきた人数は開拓団の10倍以上なので当然足りない物だらけだ。インフラの整備から食料の生産まで広い範囲で見なくてはいけないがそれをするにはリーダー的な人がいなくては話にならない。
ユーフォリアに北部の穀倉地帯の統治者に任命しリースリットに西側などの村々の統治者に任命しシャナに南の防衛ラインの統治者に任命し監視させる、東側はまだ手を入れない、あちらは鉱山地帯で山々しかなく侵略の危険性が無いからだ。精錬所を建てて鉱山技師や精錬工など技術者を多数雇った。
それらを王国に回して代わりに必要な物を送ってもらう。その報告を受けて国王や王妃や貴族たちは絶句していた。あの荒廃した南部がここまで発展するなど信じられないと。
国家の血脈になる街道は真っ先に整備して何不自由ないものに整備されているため移動は快適だ、いまは緊張している南部との関係だが貿易をしたい商人たちも数人出入りしている。
インゴットやここで産出される食料などを求めてやってきている。はっきりいって生活の豊かさでは格別の差がある、資金ではまだ相手が上だが資源ではこちらが圧倒的に有利だ。当然それを手に入れるために北部の方からも商人が来ている。
このまま発展が続けば莫大な利権が集まる交易都市になるだろう。もっともすでに予想できた問題がおきているが。
まずは連れてきた開拓団が大量に連れてきた人たちを見て離反したのだ。このままこの土地にいても無駄だと判断した愚か者だ。こいつらには生活に不自由しないぐらいの手切れ金を渡す代わりに二度とわたしの利権に関われないよう契約書を書かせる。
二つ目の問題が王国側からの一方的に来た人たちだったがその大半が、
「だから、我々に従えばよいのだ!こちらは貴族の子息だぞ!」
「私たちを弾圧した貴族など信じられません!」
その問題とは王国から来た貴族の子供たちと南部から来た他種族たちの対立だ。
普通なら貴族の子供たちを臣下に置くのが普通で問題ないが南部から大多数の人が来てその中にも名家といえる血筋の者たちもいる。彼らは身分を剥奪されて生活していたがこちらに受け入れたときに支配体制を確立するためにそういった者たちの復権を行ったのだ。
それで統治体制を確立できるはずだったのだが王国側から予想外の要求を突きつけられた。
『貴族の子供たちを臣下として召し抱えて欲しい』
契約書にはそういったことは触れておらずなんの援助も受けないつもりだったので当然混乱した。王国にはもうすべてのポストが埋まっていて空きなどない。領土も開発されず放置され長男以外は後を次げないため兵士になるか冒険者となるか他国に行かなければいけない状態だった。
そこにわたしが開発した肥沃的な領地が生まれたため臣下に加わりたいと多数の貴族の子供たちが来たのだ。多少ならば問題なかった。それなりのポストは空いていたし何かしらの役職を任せられる人は欲しかったがあまりにも玉石混合なのである。
上はすぐさま重臣にしても問題ないのから下はただの無駄飯食いまで様々だ。いくらなんでも無理矢理押し通せるとでも思っているのか?王様らの推薦や身元が完全に怪しいものまでいる。
こいつらを無視するのは簡単に出来るが王国からここの統治を任されているしまだ身分はなく開拓団団長という立場だ。資金などは心配ないが無駄な奴らを雇うわけにはいかないしそんなことをすれば人心が離れてしまう。
「この状況を説明願えますか?国王陛下と王妃と周りの臣下たち」
王宮に来て王様らを集めて事情を聞くことにした。
「い、いやな。リーヴリルも困っているかと思って人材を送ったのだが・・・」
「そ、そうですよ。あれだけ肥沃的な土地を治めているのだから多少はポストに空きがあるはずですが・・・」
国王以下しどろもどろに言葉を言うが何の関心もない。こいつらは何時から傲慢になった?
「いつからそのように強引に振舞うのを許しましたか!わたしは何時から命令を聞くだけの存在になりましたか教えてください!」
怒声を上げる。周りの全員が怯える。もはや礼儀など不要だ。
「頼む!なんとかして欲しい!王国も豊かではないのだ!」
国王らは財政難を理由に懇願するが、
「契約書では統治に口出ししない約束のはずですがそれを反故にするというのですか?それとも押しかけてきた人たちを雇えば問題が解決すると思いましたか?何を馬鹿なことを言っているのですか。お前たちにはただただ搾取するしか考えられないのですか」
そんなことで譲るなどと思っているのか?こいつらの頭を冷やしてやることにした。
「契約書ではそのことは明記しませんでしたから問題などないと思いますが」
王妃たちが内容に書かれていないのだから自由に出来ると思っているのだろうがそんなことは許さない。普通ならば受け入れられるのだろうがあそこまで愚かな人たちなど不要だし南部から亡命してきた他種族たちの心情を理解しろ。
「領地の開発を完全に一任する。援助は出せないがその代わりこちらに口出ししないと書いてあるはずですが確認しましたか。書き足そうにもスペースは無かったし勝手に内容を書き直したならそちらに原因がありますよ」
すみませんが契約書を改めさせてもらいたいと申したら全員がダラダラと汗を流しだした。
「どうしましたか?ただお互いの契約書を並べて見るだけですが?」
(ヤバイ!これは誤魔化しようがない!どうしようか!)
実は国王たちはその内容を完全に自分たちの都合のいいように書き直していたのだ、もちろん勝手に。あの肥沃的な土地に貴族の子供らを大多数登用して統治を任せようとしたのだ。リーヴリルや王女たちはそのままだが利権のほとんどは王国が握るように別物の内容になっていた。
だがリーヴリルにそんなことがばれればただではすまない。こちらが完全に悪いのだから当然だ。どうにか取り繕うとしたがリーヴリルのすさまじい殺気に怯えてしまった。
契約書の内容を一瞥して恐ろしく冷めた表情で一言。
「これでは交渉の余地などどこにもありませんね。貴様らとは話すことなどありません」
最悪の形で王国に雷が落ちた。
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