君へ

白銀

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浅倉誠の場合 3

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そのまま、白衣を着た男に連れられたのは保健室。
俯いたままだった僕に、男は暖かいココアを出してくれた。

「はぁ……」

甘くて美味しい。

「落ち着いたか?」

僕は一度頷くと、ゆっくりと顔を上げた。





窓からの光が遮り眩しくて男の顔が見えない。
目を細めている僕に男は「あぁ悪い」っと、カーテーンを閉めてくれた。
だんだんと目が慣れ、男の顔がはっきりと見え出す。
うわー、カッコイイ。
男の僕からにもカッコイイと思わせるぐらい、整った顔つき。
そして、うらやましいぐらいのスラリとした長い脚に、何かスポーツでもやっているのだろうか、がっしりとした体つきだった。
それでいて、落ち着いた雰囲気に優しく微笑む大人の色気に僕は目を奪われていた。

「君、1年生だね。私は養護教諭の西松辰だ。よろしく。君の名前は?」

「あっ、浅倉誠です」

僕の名前を聞いた途端、西松が”ふっ”と声に出して笑いはじめた。
その様子に意味がわからず首を傾げていると、

「あぁ、ごめん。さく……じゃなかった、浅倉。授業始まっているが教室に戻らないなら担任の先生に連絡するが、どうする?」

こんな泣いた目を関に見られるのは絶対嫌だ。

「……お願いします」

「OK」

西松はそういうと「嫌な事は寝て忘れろ」っと、僕の髪をぐしゃりと撫でた。


西松の言う通りにベッドに寝転がった。



あの時、関の前でちゃんと笑えていただろうか……。
変に思われなかっただろうか……。
考えれば考えるほど気持ちが重たくなっていく。
今度はちゃんと笑顔で祝ってやらなきゃ……。
などと考えている内にいつの間にか眠りについていた。







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