【番外編中】巻き込まれ召喚でまさかの前世の世界だったので好きだった人に逢いに行こうと思います

白銀

文字の大きさ
上 下
69 / 115

68

しおりを挟む


「次兄の命令で、アリサが隣の国ガイヤードルに誘拐され売られていたことが判明した」

どういうこと……それじゃぁ、俺達は……。

「偶然じゃ、なかったってこと?」

「あぁ、そうだ。アーガンの普段の行動に不信に思った次兄が、アリサを知り、アーガンに絶望を味わわせる為ガイヤードルに売ったんだ……」

「嘘だろ……そんな、俺達が何したってんだよ!」

バルトと繋いだままだった手をぎゅっと強く握る。

「ジン、大丈夫か?」

バルトの声にはっと我に返り、深く深呼吸を繰り返した。

「ん、大丈夫。アーク続きをお願い」

心配そうに見ていたアークだったが、俺の言葉に頷いた。冷静になった俺を見て大丈夫と判断したようだ。

「アーガンはその事を知ってから変わった。次兄は売国容疑で捕らわれた後脱走し、逃亡中に死亡。王は次兄の売国に加担したとし、王の座を下ろされた。それから、国は大きく変わっていった。王はアーガンが受け継ぎ、貴族でも疑わしき者は取り調べられ、黒であれば処分した。それと同時にアリサ達の捜査も行われていたが、見つからなかった。
国のことが一段落終わった後、アーガンと俺は暇を見つけてはガイヤードルへ行き、アリサ達を探し回り、やっと手掛かりを見つけた……」

 


見つけた手掛かりは隣の国ガイヤードルの下級貴族に買われ、愛人になったと言うことだった。それも、俺達だけではなく、他の国民達も拐われ売られていることが判明した。
それを知ったアーガンが、ガイヤードルの王に抗議したが謝罪の手紙のみ。ぶちギレたアーガンはガイヤードルに殴り込み、国を乗っとる手前までいった。そして、拐われた国民が助けられ、アリサと息子も、と思っていたアーガンだが、もう既に遅かった。
アリサは病気で死に、息子は何処かに逃げて行方がわからなくなったことを知ったアーガンは、俺達を買った貴族の一族の首をはねたそうだ。




簡単にまとめると全部の出来事は、売国しようとしたアーガンの次兄と手を組んだガイヤードルのせいで、アーガンと母上と俺は不幸になったと……。

「……」

「……」

なんだか、ガイヤードルをぶっ壊したくなってきた。本当、ろくなことしかしてないな。まーあ、あいつら糞貴族達がいなくなったのはよかった。アーガンに感謝だな。
ん?……あれ?ちょっとまてよ。俺が逃げた後ってことは、10歳以降だよな?一緒に暮らし始めた頃、アークはいつも一緒にいてくれたし、アーガンも暇さえあれば俺と遊んでくれていた。どこか遠くに行く様子も慌ただしくすることもなかった……じゃあ、アークが母上と俺の居場所を見つけたのは俺が逃げてすぐのこと?
……そっか……後、少しだったんだな……。もう少し早ければ母上は……。

「ジン、大丈夫か?」

「えっ、あっ、ううん、大丈夫。続きお願いします」

「……その後、アーガンはアリサの遺体を探し出して、メルゾーラ城の敷地に墓を作って埋葬した後、今度は息子を探し始めた。が、手がかりが全くなかった……」

アーガン、ちゃんと俺も探してくれてたんだな。そう言えばどうして俺が息子と分かったんだろう?

「あのさ、どうして、俺が息子だと分かったの?」

「ジンが……スタンピードで亡くなった時、アーガンも駆けつけてくれて……ジンの首に掛けてあったあの青い涙型のネックレスに気付いたんだ。見たことのあるネックレスにアーガンの青かった顔が更に青ざめていた。ネックレスを裏返し彫られてあった文字を見て、アーガンはジンが自分の子だと気付き、泣き叫んだ……」

「そう、なんだ」























しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした

Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話 :注意: 作者は素人です 傍観者視点の話 人(?)×人 安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ
BL
転生者であるセラータは宮廷魔導師団長を義父に持ち、自身もその副師団長を務めるほどの腕のいい魔導師。 幼馴染みの宮廷騎士団副団長に片想いをしている。 その幼馴染みに自分の見た目や噂のせいでどうやら嫌われているらしいと思っていたが・・・・・・。 ※竜人の番い設定は今回は緩いです。独占欲や嫉妬はありますが、番いが亡くなった場合でも狂ったりはしない設定です。 普通に女性もいる世界。様々な種族がいる。 魔法で子供が出来るので普通に同性婚可能。 名前は日本名と同じくファミリーネーム(苗字)・ファーストネーム(名前)の表記です。 ハッピーエンド確定です。 R18は*印付きます。そこまで行くのは後半だと思います。 ※番外編も終わり、完結しました。

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

天翔ける獣の願いごと

asagi
BL
16歳の誕生日。天翔悠里は突如、異界に放り込まれた。なぜこんなことになったのかは分からない。 親切な老夫婦に拾ってもらって、異界に馴染んだ数年後、悠里は山の中で死にかけていた男、狼泉に出会う。 狼泉を看病し、その後も共に過ごす中で芽生えた想い。 『僕は、あなたに出会うために、ここに来たのかもしれない――』 孤独な二人が出会い、愛することを知る物語。 中華風(?)の異世界ファンタジー。もふもふなお友だちがいます。

処理中です...