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しおりを挟むボスフロア内から出た瞬間、バルトが「『結界・指瞬転移』」と呟くと、一瞬で俺の部屋についた。
「『浄化』」と呟いた後、スタスタとベッドに近付き、バルトに股がるよう向かい合わせに座らされ、ぎゅっと強く抱き締められた。
「……」
怒ってる?やっぱ、無視したのが悪かった?どっ、どうしよう!
「あっと、えっ、と、まずは怪我を……」
「もう……を……お……い……で……れ」
後頭部を軽々と片手で押さえられ、バルトの胸に体を押し付けられたまま、ぎゅっと抱き締められているので、バルトの声がよく聞こえない。
ポタッと上から水滴が落ちてきた。
えっ、バルト?
「バルト……泣いてるの?」
「……泣いてねぇ」
ズズと鼻をすする音が聞こえたが知らないふりをしよう。
「怪我してる、痛くないの?」
「いてぇに決まってる」
抱き締められたまま、光魔力を練る。
バルトの傷が癒えますように。
「『治癒』」
傷があるところが一瞬光り消えていく。
「ねぇ、バルト、ごめんね」
「……何の事に対して、ごめんと、言っている」
うむ、バルトさんご機嫌斜めだ。
「勝手に閉じ込めたことに対して、かな。怒ってるよね」
「怒ってるが、そこじゃねぇ」
うむ、じゃぁどこのことに怒ってるんだ?
バルトがゆっくり離れ、俺をじっと見つめる。
「わかんねぇのか?」
「うん、よかったら、おしえ……っん!」
手で後頭部を押さえられ、バルトの顔が近くなったかと思うと、俺の唇に噛みつかれた。
「んっ……はぁっ……あっ……」
後頭部を掴んだ手を軽く上に向けさせられ、上からぐっとバルトの口が俺の口を、無理やり大きく開けさせられた。バルトの舌が乱暴に口内を動き回り、俺の舌や口内を犯す。
くちゅくちゅと卑猥な音と俺とバルトの息使いが部屋に響き渡る。
「んっ……はあっ……はっ、ばっるっ……んっ」
強引に吸われ、離れたかと思ったらまた吸われ、舌と舌が何度も絡み合い、息ができないほど口内の性感という性感を丁寧に、何度も何度も舌でなぞられる。
次第に時間の感覚がわからなくなっていく。
「んっ、やぁっ……ふあっ、はぁ……んっ……」
あまりにも気持ちがよくて溶けていきそうと、体の力が抜けた瞬間、お尻に固いものが……。
「んっ!バルッ……んふ……」
バルトのモノが俺のお尻の割れ目に丁度当たり、グイグイと突かれるように前後に小刻みに揺れ始める。
「んっ……はぁん……ばるっ……やぁんっ!」
舌を強く吸われ、唇をなめられ、歯の裏と一緒に歯茎もなぞられる。下の方も揺さぶれながら突かれたかと思うと、バルトのモノをぐっと押し付けられたままグリグリと回され、俺のモノとバルトのモノが服の上から擦れ合う。
もう、おかしくなりそう……。
「んっ……はぁ、はぁっ、もうっ……ダメっ……」
揺れが激しくなって、俺の腰も自然と動いていく。
「我慢するなっ、はぁっ、いけ」
耳元で、そんな声で言われたら、もう!
「あっ、あっ……はぁっ、んんんっ!」
あぁ……絶頂に達して、いってしまった……。
ガクンと体が仰け反ったのを、バルトが危なげなく支える。そして、また同じように優しく抱き締め、頭を撫でられた。
疲れた……眠い……もう、指一本動かせない。
ダランとバルトの胸に寄りかかりながらウトウトと目蓋が落ちる。
「バル……」
ぎゅっと強く抱き締められ、顔が見えない……。
「……ジン、頼むから……もう、俺を置いていかないでくれ……」
「ん……バル、ごめ……」
バルトへの返事を最後に眠りに落ちた。
すーとジンの規則正しい寝息が耳に聞こえ、ふと我に返り冷静になる。
「やって、しまった……」
満足感と後悔が混ざり合い複雑な気分だ。まぁ、やってしまったのは仕方ない。直接じゃなかったからセーフということにしよう。でも、いつか、最後まで……と思ってしまうのは、反省する気がないから、なんだろうな。
『浄化』をかけ、綺麗にすると、ゆっくりとジンを抱え上げ、ベッドに寝かせる。
「ジン……」
ジンが魔力の塊を消している最中に、見たことのある精霊がいた。
昔ジンが一人になった時、ブツブツと独り言を言っている時があった。癖かと思ったがそれにしてはあまりにも不自然で、直接本人に聞いてみた。すると「バルトなら……」と精霊を紹介してくれた。
「契約している闇の精霊クロだよ」
『名はジンがつけてくれた。ダサイが』
「えっ、そうなの!じゃぁ変える?」
『いや、いい。この名はシロとお揃いみたいで気に入っている』
そう親しそうにジンを後ろから抱き締め、目を細めながら俺を見る闇の精霊にカチンときた。何かを感じたのか闇の精霊がキョトンとした後、ニヤッと笑った。
それからだ、精霊の姿が見るようになったのは……。見せつけているだけなのか、嫌がらせなのか、必ず姿が見えるようになった。どうやら、闇の精霊から精霊が見えるように魔法を掛けられたらしい。
だから、あの時、精霊達が現れ、ジンが驚きながら、「クロ、シロ」と精霊の名前を叫んだ瞬間、ジンは前世の記憶を持っているのだと確信した。精霊の契約は名前を授ける必要がある。そして、精霊は名前を授けた者以外から名を呼ばれるのを忌み嫌う。
闇の精霊がジンに抱き付き、チラリと俺を見たとき、すぐにでもジンから引き剥がしたくなった。
ジンは俺のだ!と叫びたい気持ちと、どうして、記憶があることを俺に言ってくれなかったのか!と怒りと悲しみが同時に込み上げてきた。
ジンが闇の精霊に頬にキスをされた瞬間、今にも問いただしたいと言う気持ちが強くなり、一歩踏み出した時だった。
光が激しくなり、パッとジンが焦ったように振り返ると、俺達に『範囲指定結界防御』を掛けた。
俺達は透明な板に囲まれ、その場から出れなくなった。
「なんだこれ、ジン!ジン!ふざけんな!」
そう叫びながら、結界防御を魔力を込めて力一杯叩くが、割れもしない。
ドーンとものすごい音と共に、強烈な光と爆風がボスフロア内に広がり、ジンの姿が見えなくなった時、絶望を感じた。
「俺は、また、ジンを亡くすのか……」
いや、そんなこと、絶対にさせない!
俺はありとあらゆる方法で結界防御を壊しにかかり、やっとヒビが入った時には全てが終わっていた。
あぁ、ジン、ふざけるなよ。もう俺を置いて行くなんて許さない!
気付いたら欲望に負け、ジンを拉致し、キスをし、性行為まがいなことをしてしまった。
ジンも気持ち良さそうにしていたから嫌ではなかったはずだ。
疲れて眠りについているジンの唇を親指で左右に触れた後、チュッと軽いキスをした。
「ん……」
ジンの顔が横を向き、首筋があらわになる。そこに吸い寄せられるように吸い付き、歯を立て噛みつく。
「んっ……はぁ……」
起きたか?と顔を上げると気持ち良さそうに眠っている。
「ジン……」
歯形のついた首筋をゆっくりなめ強く吸い付くと、ジンの襟元のボタンを外し、キスマークがつくまで強く吸い付いた。
「ジン。絶対、逃がさねぇ」
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