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しおりを挟む深呼吸を何度か繰り返した後、頭上にある魔力の塊に近付くよう数十歩前に出る。集中して光魔力を手の平に集め、光の塊へ放った。
数分後、光魔力を当て続けながら、ふと、もっと効率のいいやり方はないかなと考える。
そう言えばサザンさんが、俺の光魔法で攻撃しても吸収されるって言ってたな。
光で思い出すのは太陽や雷。
太陽ってどうやて出来たんだっけ?確か水素やヘリウムなどの元素や微小な塵粒子からできた分子雲の中で重力が働いて、いろんなものが集まって核融合反応が起こるようになったから、だったんだよな?
えっ、なんかちょっとやばそうだな。却下。
じゃぁ、雷の光はどうだったけ?
上にある氷と粒と下の氷の粒がぶつかることで静電気が出来て、その電気が曇の中で溜まっていって、雲が溜めきれなくなった電気を地面に逃がすときに出来るんだよな。で、雲から放出された電気の通り道が超高温になることによって光るっと。
あれ、そういえば、光魔法って光エネルギーなのか?
うむ、色々考えたけど、俺には難しい。なら、イメージして魔法を作った方が早いか。
光魔力を放ったまま、MPポーションを2つほど飲み魔力を回復。さて、やってみるかと思っていた所に、突然声が聞こえてきた。
『ちょっと、待て』
低音ボイスにピクリと肩が跳ねる。
『クロ、ジンがびっくりしちゃうから急に声をかけちゃダメよ』
優しい声と共に何もない所から現れたのは、全身黒の服を纏った黒色の長髪と瞳のイケメン男性と、全身白の服を纏った金色の長髪と瞳の優しそうな綺麗な女性。
「クロ!シロ!」
闇の精霊王のクロと光の精霊王のシロだ。前世で水の精霊王ベルと暮らしていた時に仲良くなった精霊王達。ちなみに名前は俺がつけた。クロは契約できたが、シロはできなかった。だが、シロから『どうして私だけ!』と泣かれ「仮名なら」とつけた。
『久しぶりだなジン』
『会いたかったわよ、ジン』
クロとシロからふわりと抱き締められ、思わず魔力が弱まる。
『ダメよジン。魔力はそのままに』
シロに言われ、慌てて魔力を保つ。
『今止めると闇が弱ったとこから溢れ出すぞ。魔物と一緒にな』
クロにも言われ、気合いをいれた。
『いいか、よく聞け。ジンが囲っている黒いものは闇魔力の塊だ。スタンピードは殺された魔物の負の感情と、人間が使った全ての魔力の残りが混ざりあってできている。闇魔力は全ての魔力の集まりでできているからな』
ん?あれ、今大事なことをさらっと言ったような……。
『いいか、それを小さく出来るのは、大量の光魔力が必要だ』
「小さく?完全には消えないの?」
『えぇ、闇魔力を完全に消すことはできないわ。闇は光。光は闇だから。2つで1つなの。私達のようにね』
クロとシロは仲がいいもんね。納得。
『消すことはできないけど、目立たないように小さくすることが出来るわ』
『ジン、俺達が力を貸そう』
「クロ、シロ、ありがとう」
『ふふ、いい、今からジンの最高の光魔法を放ってちょうだい。そしたら、私がジンの光魔法を増加させるわ。それを当てれば闇魔力の塊が小さくなるはず』
『そこに、闇魔力と光魔力で作った糸で小さくする』
「俺が作るの?」
『そうだ。簡単だから、その時に教えよう。あぁ、一つ注意がある。完全に閉じるとダンジョンがなくなるからな。次にダンジョンを拝めるのは数百年後だ』
うむ、それはバクスにとって損害になる。責任重大だな。はぁー、できるかな俺。
『ジン、心配しないで。失敗してもジンだけは絶対守るから』
「俺だけ?」
『あぁ、俺達はもう、あの時のようにジンに命令されても、他の人間は守らないことにした』
『もう、突然ジンがいなくなるのは嫌……』
眉間に皺を寄せるクロ、悲しそうに目に涙を溜めているシロ。
精霊は基本、人のする事に興味がない。感心があるものだけに興味を示す。
俺は愛し子だったから……。だからこそ俺はあの時、最後の日に、精霊王達にお願いではなく、命令を出したんだ。『俺ではなく、皆を守れ』と。愛し子の命令は絶対だ。契約できなかった精霊王達も仮でも、唯一無二の名前を授けたからこそ、俺の命令を聞いてくれた。
本当は命令なんてしたくなかった。俺の友達に……。
なのに、そんな俺をまた守りたいと言ってくれている。
「そんな守ってもらう資格はないのに……」
『ジン、そんな悲しいこと言わないで……』
『俺達が』
『私達が守りたいと、一緒にいたいと思うのは』
『『ジンー愛し子ーだけだから』』
「クロ……シロ……ありがとう。俺もだよ。また、友達になってくれる?」
2人は笑って頷くと、優しく俺の頭を撫でた。
『ジンに光の加護を』
『ジンに闇の加護を』
チュッと右頬にシロから、左頬にクロから、キスをされ、ふわりと暖かい何かが全身を包み込む。俺の魔力とシロとクロの力が混ざり合い一つになっていくのを感じた。
『全力でやるといい』
『私達がフォローするわ』
「……クロ、シロありがとう」
よしっと気合いを入れて光魔力を過去最大に練り魔法を放つ。
「『閃光波動・超最大』」
『いくわよー』
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