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しおりを挟む当惑していると、急に肩から頭が離れた。そして、肩を引っ張られたかと思うと、くるりとアークの方向へ振り向かされ、俺は驚いた。
アークが片足を地面につき、真面目な表情で俺を見ていた。アークは数秒見つめた後、両手を優しく握るとニッと楽しそうに笑った。
「ジン、俺の息子にならないか?絶対に後悔はさせない」
「……俺が、アークさんの、息子に?」
また、アークと家族になれる……それは、嬉しい。でも、俺なんかが、また息子になってもいいのか?アークにまた迷惑をかけてしまうのではないか。それに、前世の時みたいに先に死んで悲しませるかもしれない……。
ぎゅっと目をつぶり、無言のまま俯いていると、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
「俺としてはすぐにでも頷いて欲しいが、ジンにも色々あるだろう。すぐに返事はしなくていいから、頭の片隅にでも置いといてくれ」
「どうして、俺なんかに……」
ポツリと思っていた言葉が音に出る。
アークが握っていた手を離したかと思うと、立ち上がり両手で俺の頬を優しく包み込む。
自然と互いに目が合い、真っ直ぐな瞳に見つめられ、俺の目が泳ぐ。
「ジン、俺を見ろ。いいか、俺なんか、なんて卑下するな。俺はジンだから家族になりたいんだ」
「……でも、俺には価値なんて、ない」
「価値なんてもんは個人の思想だろうが。ジンが、自分には価値がないと思っていても、俺にとっては、ジンがこうして生きているだけでも価値があるんだ。価値がねぇなんて思うのは、俺にも、ジンを必要としてる奴にも、失礼だろうが。それにな、価値観つぅのは生きていく中で少しずつ変わっていくもんだ。価値がねぇと思ってんなら、変わればいい。変わりたいが変われねぇなら、ジンが変われるまで俺が側にいて手伝ってやる」
アークの強い眼差しに、言葉に、目が涙で滲んでいく。
「ジンの全てを受け止めてやる。だから安心して俺の息子になれ!」
あぁ、アークのこの瞳は、言葉は、嘘じゃない。本気で言ってくれている。……でも、だからこそ、聞いてみたい。
「ねぇ、アークさん。……どうして、俺を息子にしたいと思ったの?理由を、教えて」
「んー、理由か……。そうだな、前に言ったことがあるが、ジンが心配でほっとけないんだ。確かにジンは息子に似てる。顔じゃなく、ふとした仕草や雰囲気がな。でも、だからと言ってジンの代わりじゃないぞ。ジンと一緒にいたいと、俺のここが、心がそう言っている。それじゃダメか?」
グーにした片手で胸をトントンと叩いた後、愛おしそうに見つめるアークの瞳に俺が写る。
……あぁ、俺、笑ってる。嬉しいんだ。
答えは、もう、出てる。
「ダメ、じゃない。俺を、アークさんの息子にしてくれますか?」
「あぁ!ジン、大歓迎だ」
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