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しおりを挟む「おー、アークにバルト、2人とも久しぶり」
「ニルク、相変わらず元気そうで何よりだ」
「父上、お久しぶりです」
「お?ガルバはまだ来てないのか?」
「あぁ、今日の夜が到着予定だったからな。さっき着いたと連絡があった」
「そうか。……ところで気になっているんだが、バルトが抱えてる子は誰だ?」
ん……話し声が聞こえる。バルトとアーク……後、どこかで聞いたことがあるような……誰だっけ?あぁ、それよりも……。
「ん……ふふ」
あたたかくて太陽みたいないい匂い……。
すりすりと温かいものにすり寄ると、大きな何かが頭を優しく撫でてくれた。
気持ちいい。それに、音が一定リズムで聞こえて安心する。まるでバルに抱き締められているみたいな……。
「……女、じゃないな、男か」
ふっと何かが近付いてきたのに気付き、ゆっくりと目を開ける。すると、男性が俺に手を伸ばしていたところだった。
「っ!」
目の前に大きな手の平が俺を襲う。叩かれる!と思い腕でガードし、身体を引こうとするがすぐ何かにぶつかり動けなかった。
あれ?と不思議に思っていると同時に、後ろからガードするように誰かの手が延びてきた。
「父上、怖がっているのでやめください」
俺が求めていた声が聞こえ、ビクッと体が跳ねる。ゆっくりと声の方向、斜め上に顔を上げると、大人になったバルトがいた。
「バル……」
あぁ、バルトだ……逢いたかった。バルトがこんなに近くに……ん?ちょっとまて、バルトが近くに?上に?いる?何で?と言うか、ここどこだ?俺、何してたっけ?
そうだ!バルトの表情が怖くて、ちょっとパニックになって……それからどうしたんだっけ?
……と言うか俺、バルトに座ったままお姫様抱っこされてない!恥ずかしい!
俺はいたたまれない気持ちを押し殺し、上目遣いで顔を上げた。
「バル……トさん、あのぅ……」
「ん?どうし……っ!」
俺と目があった瞬間、バルトは何かに驚いたような顔をした。
「……紫……そうか、あの時の。……幻想じゃ、なかったん、だな……」
「バルトさん?」
「……いや、すまん、何でもない。どうした?」
「あの、ご迷惑をお掛けして、申し訳ないのですが、はっ、恥ずかしいので、下ろしてもらっても、いいですか?」
目を合わせないように視線をちょっとずらす。でもやっぱり気になったので、バルトの方を上目遣いでチラリと見ると、穏やかな優しい表情で笑っていた。
「……そうか。君があまりにも気持ち良く寝てたから、起こすと悪いと思ってな。それに、こんな場所に寝かせたら寝心地が悪いだろ?」
そう言われ辺りを見ると、ボコボコの地面にテーブルとイスがあるだけだった。
確かに寝心地悪いかも。
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