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しおりを挟む「薬草採集終わりー」
依頼用と自分用のポーションを作るための薬草をインベントリへと入れた。
同じ姿勢で作業していたため、両手を上げ、体を伸ばす。
「うー、はぁー。今日は天気悪いな……」
採集前はカラリと晴れていたのにいつの間にか空が曇り、薄暗い。
「雨でも降るかな?急いで帰っ!!」
ピリリッと肌に何かを感じた瞬間、反射的に後ろに跳び跳ねた。
「何だ……これ……魔力か……」
森の奥から大きな魔力の塊を感じ、鳥肌が立つ。脳内が、逃げろ!と警告してくる中、その場に留まり戦闘態勢に入った。その数秒後ぶわりっと黒い何かが溢れでてきたのを目にした。
「これ……スタンピードの……予兆……」
冒険者時代、一度経験したことがある。あの時はもっと魔力が弱かったが、間違いない。スタンピードの予兆だ。
たらりと汗が流れ落ちる。
どうする……一度様子を見に行くか。まだ少しは時間の余裕があるはず。
身体強化を全身にかけ、腰に着けてあるポシェットにポーションを補充し、槍を持つ。
警戒しながら森の奥へ数分後、ダンジョンらしき岩の入口があった。
そこからちょっと離れた場所に、数十名怪我をし、倒れこんでいる人がいた。前世では使ったことがないが、光魔法を持っている今なら使えるはず。
急いで駆け寄り倒れている人に光の治癒魔法を掛けた。
「すまん、助かった」
ダンジョンの受付兼見張りの人が、何とか木を背にして起き上がる。
「ダンジョンで何があったんですか?」
「あぁ、それが、ダンジョンにいるはずのない魔物、バジリスクが出たんだ」
バジリスク……蛇の姿した鳥みたいな魔物だ。毒をもっていて目を合わせると石化する、ランクBの魔物。
「倒せたの?」
「いや、無理だった。何とか逃げ切ったが……逃げている際に、魔物が20体ぐらい現れた。ダンジョンにいた冒険者達が魔物を倒しつつ外に出たんだが……」
ドンッドンッと大きな音に驚き、ダンジョンの入り口を見ると……。
「見ての通りだ。魔物も一緒についてきた」
透明な板みたいなものが入口を塞いでいた。とっさに見張りの人が防御魔法で蓋をしたらしい。いい判断だと思う。だが、防御魔法が弱いのか今にも魔物が飛び出してきそうだ。時間の問題かも。
もう一度ドンッとデカイ音が鳴り響き、ヤバイ!と思った瞬間、大きな音と振動と共に防御魔法が破られた。反射的に魔力を練り、ダンジョンの入口へと手の平を向ける。
「ッ、『結界防御』!」
できた!
前世では結界防御が扱える属性を持っていなかったが、今は全属性を持っているので出来る!と、一か八かでやってみたが上手くいったようだ。だが、入口を結界防御で囲み、再度蓋をしたが、数体取り逃がした。急いで逃げた魔物の後を目で追うと、冒険者達が対応してくれている。流石冒険者。
魔物と冒険者の戦いを目で追いつつ、見張りの男性に声を掛ける。
「ギルドに連絡は?」
「っ!いや、まだだ。今からする!」
見張りの男性がネックレス型通信機でギルドに連絡しているのを確認。
よし。これでアークに連絡が行き対応してくれるだろう。俺はそれまで魔物でも倒しに行きますか。
ペロリと上唇を舐め、片足に力を入れ地面を蹴った。
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