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しおりを挟むバッシャンっと音と共に俺はずぶ濡れになった。
「……冷たい」
『あー、すまん』
あの後、ヤバコレ後、フウマが深いため息をついたと同時に、指がパチンと鳴ったと思ったらこの有り様。
はい、そうです。泉に落ちてびしょ濡れです。
『ジン、大丈夫?』
心配そうに俺の頭上から尋ねるベル。そう、抱きついていたベルは濡れていない。彼女は水の精霊なので基本浮いているし、落ちても濡れないようになっている。っと言うか、ベルそのものが水でできているらしいので、吸収するらしい…。まぁ、なんにせよ、ベルの泉まで転移できたので何も言うまい。
泉から出るとベルが俺に向けて人差し指をくるんと回す。あら不思議、濡らしていた水が集まり、服や髪がすべて乾いた。
「ありがとう、ベル」
『どういたしまして』
『おい、俺にはナシか?』
「……」
にこにこと笑いながら自分を指すフウマ。
確かにここまでこれたのはフウマのお陰なので、しぶしぶお礼を言った。
さて、これで目的地であるメルゾーラまで近くなった。歩いて3時間ってとこだろうか。ちなみにこの世界の1日は32時間。朝昼夜との間が大体8時間だ。
ベルの泉はマルマータという森の中央らへんにあり、魔物もそこそこ強い。丸腰で歩こうなんてもっての他だ。
早速、異空間無限収納(インベントリ)の中に入っているものを確認してみる。
インベントリと呟くと、俺の目の前にステータスと同じ透明な板(面倒なのでスクリーンと呼ぼう)、スクリーンが現れた。
ずらりと並ぶアイテム名。
うわぁ、いっぱいあって探すの面倒……あっ、そうだった。
武器、防具、服、検索と呟くと、スクリーンにそれらが表示された。インベントリは出したいものを細かく言うか脳裏に浮かべることで検索でき、簡単に出し入れが可能だ。
俺は武器、防具、服を適当にチョイスし、指でタッチするとドサドサと目の前に落ちてきた。
あぁ、そうだった。タッチして手を広げるか、結界指定しないといけなかったんだ。忘れてたわ。
なんせブランク16年だもんな。魔法や剣も前世みたいに使えないだろうな……。うん、練習あるのみだ。
早速、服と防具を付け、武器である槍を手に持ち、軽く振ってみる。ビュンビュンと音がなり、空気を切る。
ヤバイ、遅すぎだろ。
何とか感覚を掴もうとするが、どうもしっくりこないな。頭ではわかっているのに、体が思ったように動かない。
「はぁ……体めっさ硬い。何か運動すればよかった……」
今まで運動してこなかったのが悔やまれる。仕方ないので今度は身体強化し、槍を振ってみる。
うん、先程より大分ましになった……気がする。
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