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しおりを挟む「あの、さ、俺……ジンが死んでどのぐらい経ったかわかったりする?」
『んー、ごめんなさい。わからないわ』
『俺達精霊は、時間の観念があまりないからな』
『人間達の時の流れは早すぎてわからないのよ。ジン、ごめんね』
「いや、いい。じゃぁ、俺のダチだったバル……バルトを覚えてる?」
『もちろんよ。この間もこっそり手伝ってあげたんだから』
「そっか……生きてるんだな」
前世の大親友で相棒のバルトが生きている。それだけでやる気がでてきた。最後(別れ)がアレだったからな、絶対に逢いたい。んで、出来るならもう一度相棒になりたい。前世みたいに一緒に戦って、笑って、酒を酌み交わして、馬鹿騒ぎしたいな。
あれから何年経ったかはわからないが、またバルトの隣にいたい。一度死んで転生してもそう思うほど、俺はバルトのことが……。
俺は無言で立ち上がり、両手で赤くなった頬をパチパチと叩く。
「よし、行くか」
『どこにいくの?』
「んー、まずは、メルゾーラのバクスかな」
『バクスって以前ジンがいたとこだよね?』
「ん、どっちの方角だろう?」
『あっちだ』
フウマが左方向を指す。
うん、建物なんて見えないな。全部森だらけだ。
「どんだけ遠いんだよ……」
肩を落とし、苦笑いを浮かべている俺にフウマが何気なく答える。
『ベルの泉まででよかったら、送ってやる』
「えっ、いいの?」
『あぁ、ここから結構距離があるからな。魔法を使うにしても、子供には酷だ』
「いや、だから俺は子供じゃ……ん?今は子供か?」
『そうそう、ジンは子供なんだから甘えときなさい』
優しい、慈愛に満ちた表情でよしよしとベルとフウマに頭を撫でられる。久しぶりの優しさにふれ不覚にもうるっときた。
「ありがとう」
ハニカミながら言う俺にベルとフウマは目を大きくさせた。俺がお礼を言ったので驚いているのだろうか。失礼な、お礼ぐらい言えるわ。
『……か、可愛い!!ヤバイわ!!』
ベルがぎゅーと抱きつく。うっ、嬉しいが苦しい。ベルの大きな胸で窒息しそうだ。助けを求めるべくフウマを見るがこちらはこちらで顔を片手で覆って『なんだ、この可愛いものは。ヤバいだろ、コレ』とブツブツ何かを言っている。
えっ、俺って可愛いの?
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