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第三話

12 いちゃもんをつけられました

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しかし、この疑問を突っぱねたのは神高だった。

「言っておかないと、要らぬ面倒がありそうなので断っておきますが。
 僕はこうしたゲームには全く、興味がありませんから。
 鉢巻を集めて、なにが楽しいのかわかりません。
 だからこうしたイベントに、今後僕を巻き込まないでくれるとありがたいです」

この神高の発言に、周りからは「あぁ~」、「まあアイツはそうだよな」という声が漏れ聞こえる。
 うむ、納得! という感じの雰囲気だ。
 神高よ、人となりは周りからちゃんと把握されているんだね。

「……わかりました。
 鉢巻の数を記録しますので、お預かりします。
 では、講堂内でお待ちください」

「はぁい」

というわけで、私は神高と一緒に講堂へ入る。
 あ、ちなみに神高も自分の鉢巻を一本だけ提出したよ。
 一本でも勝ち抜きは勝ち抜きだからね。


講堂内は、そこそこ生徒が集まっていた。
 最前列にいるのが勝ち抜いた生徒の席なようで、男女の比率は半々といったところか。
 まあ能力ありきのこの学校だと、腕力有利の男子が強い、ってことにはならないからな。
 そんな風に考えながら、私たちもそっちに向かう。
 そして空いている席に二人並んで座ると、二つ隣の席の男子がギロッと睨んできた。

「寄生野郎が」

ボソッと言ったその男子の言葉に、私はムッとするんだけど、なにも言い返したりしないで待っていると、やがてすぐに講堂内が全て埋まる。
 私たちは最後の方に来たみたいだ。

「これから結果発表と、表彰式を行います」

そうアナウンスがされると、正面の壇上に生徒会長が出てきた。

「さて、今回のレクレーションは初めての試みだったのだけど。
 一年生諸君は楽しんでいただけただろうか?」

そう挨拶した会長は、私を見ている気がする。
 まあそうだよね、このゲームってほぼ私が切っ掛けみたいなもんよね。
 大丈夫、私は精一杯楽しみましたから!
 その気持ちを込めて、ニパッと笑みを返すと、会長はふっと微笑んだ。

「これで評判が良ければ、今後のレクレーションとして行事に組み込むのもアリだと考えている。
 今回は見学だった二、三年生も、機会があるかもしれない」

これに、会場内にいたらしい先輩たちから、「やりぃ!」という声が上がった。
 そうだよね、楽しいことは自分もやりたいよね!

「では、前置きはこれくらいにして。
 気になって仕方がないだろうし、結果発表と行こうか」

会長の言葉に、講堂内がシーンとなる。

「じゃあ、いっそ一位から言ってしまおう。
 一位はダントツの強さを見せつけてくれた生徒。
 安城明日香」

おお、やった!
 私一位だってさ!
 私が思わず神高の腕をバンバンと叩くと、彼は嫌そうにしつつ。

「そりゃあ、一年生徒の半分の数の鉢巻を集めれば、そうでしょうよ」

そんな風に言ってくる。
 そうなんだけど、同じように半分集めた人がいるかもじゃんか。

 会場内から。「おお」とか「マジか」とか、一部から「やっぱりな」という声が漏れる中。

「嘘だ!」

そう叫んだのは、あの「寄生野郎」と言った男子だった。

「どうせ寄生プレイだろう!?
 そんな奴を一位にするなんて、クソだな、アンタら!」

そして彼は壇上の会長に噛みついた。

「君の意見の正しさは置いておくとして、そもそもグループでの行動は禁じていないんだけどね」

噛みつかれた会長は、困ったような顔になる。
 この男子のセリフに、講堂内がざわつく。

「アイツの言いたいことはわかるけど……」

「でもなぁ」

雰囲気的には、困惑が強いといったところか。
 能力で序列を決めてきたこの学園で、無能が活躍するなんて信じられないとか?
 頑張りが頑固に認められないことに、私もちょっとムカムカしてくるぞ。

「ゲームに最後まで残った連中は、ある意味一番現状に疎いですからね。
 放っておくことです」

すると神高がフォローみたいなことを言う。
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