『お告げの西田』の色診断〜地味女子と元不良男子と、時々トラブルの日々

黒辺あゆみ

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第一話 予定が狂った夏休み

18 アルバイト三日目・相性診断してみた

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「休み始まりたてだから、どこも多いんじゃねぇの?」
「けど夏休み一発目の日曜は、やっぱ出かけたいだろー!」
「でも、男三人はムサイよなぁ」
「言うなよそれ、泣きたくなるから」

こんな風に男子トークが盛り上がっているのを聞き流していると、由紀の近くに座っている男子が声を掛けてきた。

「なあなあ、『お告げの西田』って相性診断が当たるんだって?」

 ――相性診断ってか。

 女子トークだとたまに振られる話題だが、男子から来るとは思わなかった。男子も意外と恋バナが好きなのだろうか。

「まあ、そこそこ?」

曖昧に答える由紀に、彼はかぶりついてきた。

「一年の永野愛花ちゃん、俺脈あると思うか!?」

永野愛花は学校で有名な美少女で、学校のアイドル的存在である。

「お前、まだ言ってんのか」
「無理だって、ぜってぇ競争率たけぇぞ」
「聞かぬが花かもしれんぞ」

呆れ顔の他の三人に、彼はバンバンとテーブルを叩く。

「だって可愛いじゃんかよぅ!」

 ――まあ、確かにね。

 由紀も田んぼ仲間の野次馬に付き合って見に行ったことがあるが、永野愛花は確かに可愛い。そして彼は彼女と同じ中学出身らしい。買い物で使うスーパーマーケットが同じで、そこでたまに見かけるのだという。

 ――あの娘は確か、青系統の色か。

 そして彼の色も青系統だ。

「相性としては、いい方だと思うけど」
「え、マジで!?」

ボソッと由紀が呟くと、彼は表情を輝かせる。

「もし愛花ちゃんを誘い出すのに成功したら、案外アリかもよ?」

由紀のアドバイスに、男子どもがざわつく。

「うおぉお、やる気出た!」
「おいおい」
「本気か?」
「……」

慄く男子を横目に、由紀はアイスコーヒーをズズっと啜った。
 そんな風に賑やかな三人組がツーリングに出かけると、もうじきオープン時間となる。由紀が由梨枝を手伝ってお皿を準備したりしていると、近藤がもの言いたげな視線を向けていることに気付く。

「なに?」

由紀が「昨日とは逆だな」と思いつつ向き直ると、近藤は一瞬悩むようなそぶりを見せて、口を開いた。

「……相性診断はなにが根拠かと思ってな」

ボソボソと近藤が喋る。今までも似たような疑問を持たれたが、占いみたいなものだと説明してきた。

「根拠ね、色」

だがこの時の由紀は、何故か本当のことがスルリと口から出る。

「……は、色?」
「そう、その人たちの色」

 ――なに言ってるんだろ、私。

 呆れられるか馬鹿にされるだろうに、自分から教えてどうするのだ。

「ふぅん、色か」

けれど近藤は何故か頷いた。

「え、信じるの?」

まさか納得されると思っていなかったので、由紀は反対にビビる。一方の近藤はスッキリした顔をしていた。

「信じるも信じないも 色占いっていうのは、雑誌なんかでたまに見るだろ? ソレを当てにするかは本人の勝手だ」

占いだと思われたのはいつものことだが、「色で判断する」というのを、しかも近藤に受け入れられるとは驚きだ。

 ――ていうか、占いが載っている雑誌を読むのか。

 由紀にはそっちの方が驚きかもしれない。


それにしても、日曜日はやはり客が多い。由紀が慌ただしく働いていると、いつの間にやら昼を過ぎていた。

 ――忙しいと時間が経つのが早いわ。

 気が付けば腹ペコ状態の由紀に、昼休憩の呼びかけがある。だが今日は客が多いので、近藤とは別時間だった。圧のない隣がホッとするような寂しいような、変なカンジだ。
 そうして休憩後、午後のティータイムになった頃。

「おーい、西田さん!」
「「やっほー」」

由紀の田んぼ仲間三人組が来店した。

「おお、ようこそ!」

由紀は彼女らと手を取りあう。ここでバイトすることを伝えていたので、偵察に来たのだろう。

「早速来ちゃったよー」
「チェーン店と違って、雰囲気あるねー」
「純喫茶ってカンジ」

入り口でキョロキョロする三人を、由紀はお喋りしやすいようにと、角のボックス席に誘導する。
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