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第1話 墓参りしてたはずなのに!?
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5月12日。
俺の恋人【下山真里菜】が亡くなってから、今日で丁度1年が経とうとしていた。
一周忌ということで、俺は彼女が眠る墓へと足を運んでいた。
こじんまりとした墓場で、平日の昼間だからか誰1人周りにはいなかった。
線香の香りが辺り一面にたちこめている。
この匂いはそれほど嫌いではない。
実家に仏壇があったからかもな。
大学の講義が丁度入っていなかったので、今日はゆっくり墓参りができる。
3年生の俺は、就活のことはもう少し先のことだし、余裕のある学生ライフ……。
そんな未来を夢見ていたが、この1年間は生きた心地がしなかった。
1年ちょっとの付き合いだったが、俺は本気で彼女に恋をしていた。
美人で礼儀正しくて、俺にはもったいないよくできた彼女だ。
けれど……突然、俺の前から姿を消してしまった。
「会いたいよ……真里菜」
俺は彼女の墓石前でしゃがみ込んだ。そして、目を瞑って静かに拝んだ。
叶うことなら、もう一度でいいから彼女に会いたい。
会ってちゃんと話がしたい。
もし、天国があって、彼女がいるなら俺はいますぐに会いに行きたい。
例え俺が死ぬことになっても。
拝んでいる間、そんな夢みたいな願いを祈った。
すると、不意に頭がクラッとした。
なんだ、立ち眩みか?
気持ちが悪くなってきた。
さらに視界もだんだんとぼやけてくる。
そして、そのまま俺は緩やかに意識を失ってしまった。
「虎頭《ことう》くん、虎頭くん」
寝てしまったのだろうか。
頭が動かせなくて瞼が異様に重く感じる。
「虎頭心火《ことうしんか》、起きなさい」
その声は大人の女性だった。少し離れた場所から俺に向かって声をかけている気がする。
けれど、彼女の言った中二病感のある名前には覚えがない。
「……誰?」
俺は女性に対してと、呼ばれたその謎の名前に対して、2つの意味を込めて呟いた。
そして俺は目を開けることにした。
「誰って、あなたのことよ虎頭心火くん。もう授業始まるわよ」
俺は目の前に広がる光景に仰天した。
あれ、俺はお墓にいたはずだよな。
なのに、ここはまるで、というか完全に
「学校!?」
俺は心の中で思ったはずの言葉を、声に出していた。確かに心の中だったのに。
いつのまにか口が開いたみたいだ。
視界には数十名の学生服を着た生徒が、席に座って俺の方を注目している。
そして、一番前の教卓には、声を出したと思われる女性が立っている。
「大丈夫? 隕石に頭でもぶつけたの?」
女性の声を聞いた学生たちが、くすくすと笑った。
「先生!」
その声は、俺の右隣から聞こえてきた。
はっきりとした若い女の子の声だ。
「心火のやつ、昨日徹夜でテレビ見てたみたいで。どうか、この馬鹿をお許しください」
まさに馬鹿にしているような口調だった。
心火、という言葉は依然として分からないが、なんだか腹が立った。
どんな子なのか気になったので、俺はそのまま右方向に頭を動かした。
すると、赤髪ポニーテールの美少女が席を立っていた。
え? 赤髪?
学生服を着てるし、高校生だよな?
顔は小顔で清楚感があり、髪を染めるようなギャルには見えなかった。
けど、外国人とか、ハーフにも見えない。
なんて言い表したらいいのだろうか。
現実離れした顔立ちだ。とにかく、美人なことには間違いない。
校則緩いんだな、とぼんやりと思いながら彼女を眺めていた。
あ、しかも巨乳じゃん。
ブレザーの上からでもわかるほどだ。
「何よ、心火。寝ぼけすぎじゃない?」
彼女は半笑いな顔を俺に向けた。
おいおい、嘘だろ?
俺は彼女とばっちし目が合って驚いた。
瞳が大きく、しかも青色だ。
どうみても海外の血が入っているようには見えないんだけどな。
目は大きいけど、不思議と不気味さみたいなのはなかった。
「菜乃川《なのかわ》さんに免じて、許してあげるわ」
今度は、おそらく教師と思われる女性に目線をやった。
彼女も相当美人だ。うねうねとした黒髪
ロングヘアーをしている。
また巨乳だ。
というか、彼女たちだけではなかった。
俺のほうを向いている、この教室にいる全員が美男美女ばかりだった。
なんだこの学校。
菜乃川とかいう珍しい苗字の美少女に比べると、周りのみんなに派手さはない。
が、その中にも明らかに異才を放っている少年少女が何名かいたが、とりあえず触れないでおいた。
このままだと、頭がパンクしそうだ。
「すみません。心火には私がきつく言っておきますから」
また心火という人を馬鹿にした態度をとりながら、彼女は着席した。
ようやく場が落ち着き、生徒たちは前に向き直った。
そして、授業が開始された。
先生の話を聞くに、国語の授業だ。懐かしいな。
いや、懐かしがっている場合じゃない。
なんだここは。
身に覚えがなさすぎる。
あれか。夢というやつか。
俺は思いつくポピュラーな対処法、ほっぺをつねるを試してみた。
いた、普通に痛い。
夢じゃない。いや、痛いから夢じゃないという理屈は、よく考えると意味不明だが。
「……ねぇ、心火」
再び隣の女の子が話しかけてくる。
今度はひそひそ声だ。
「な、なんですの?」
心火じゃないけど答えてしまった。
美女に声を掛けられてしまったせいか、変な喋り方になってしまった。
「馬鹿とかいって、ごめんね」
彼女はニキビ1つない頬を少し赤らめていた。こんな分かりやすく人間のほっぺって赤らむんだ。
アン〇ンマンみたいだ。
「ほえ?」
正直、混乱しすぎてさっきの会話はほとんど覚えていなかった。だから、彼女の謝罪がいまいちピンとこなかった。
「だから、さっき先生に言い訳するときに……言っちゃったでしょ。もう、みなまで言わせないでよね」
途中からまた馬鹿にした態度になっていた。
そして、プイッと逆方向を向いてしまった。
授業してるんだから、黒板を見なさいよ。
これはあれか。いわゆる、ツンデーレなるものか。
いるんだな、都市伝説か何かと思ってたわ。
よくわからないけど、とにかくここは墓じゃないことは確かだ。
瞬間移動でもしたというのか。
とりあえず、なんだか体がだるいので、誰かに質問攻めすることはしなかった。
それはまた後でいいだろう。
さっきみたいに騒いで注目されるのは嫌だからだ。
教室にいる全員の視線を浴びるのは精神的にくるものがある。
それと、ヤバい奴と周囲に思われるのは避けたい。
訳の分からない状況を理解することよりも、自分が目立たないことを俺は選んだ。
日本人のさがってやつかな。
とりあえず今は、見たことのある国語の教科書をぼんやりと黙読することにした。
俺の恋人【下山真里菜】が亡くなってから、今日で丁度1年が経とうとしていた。
一周忌ということで、俺は彼女が眠る墓へと足を運んでいた。
こじんまりとした墓場で、平日の昼間だからか誰1人周りにはいなかった。
線香の香りが辺り一面にたちこめている。
この匂いはそれほど嫌いではない。
実家に仏壇があったからかもな。
大学の講義が丁度入っていなかったので、今日はゆっくり墓参りができる。
3年生の俺は、就活のことはもう少し先のことだし、余裕のある学生ライフ……。
そんな未来を夢見ていたが、この1年間は生きた心地がしなかった。
1年ちょっとの付き合いだったが、俺は本気で彼女に恋をしていた。
美人で礼儀正しくて、俺にはもったいないよくできた彼女だ。
けれど……突然、俺の前から姿を消してしまった。
「会いたいよ……真里菜」
俺は彼女の墓石前でしゃがみ込んだ。そして、目を瞑って静かに拝んだ。
叶うことなら、もう一度でいいから彼女に会いたい。
会ってちゃんと話がしたい。
もし、天国があって、彼女がいるなら俺はいますぐに会いに行きたい。
例え俺が死ぬことになっても。
拝んでいる間、そんな夢みたいな願いを祈った。
すると、不意に頭がクラッとした。
なんだ、立ち眩みか?
気持ちが悪くなってきた。
さらに視界もだんだんとぼやけてくる。
そして、そのまま俺は緩やかに意識を失ってしまった。
「虎頭《ことう》くん、虎頭くん」
寝てしまったのだろうか。
頭が動かせなくて瞼が異様に重く感じる。
「虎頭心火《ことうしんか》、起きなさい」
その声は大人の女性だった。少し離れた場所から俺に向かって声をかけている気がする。
けれど、彼女の言った中二病感のある名前には覚えがない。
「……誰?」
俺は女性に対してと、呼ばれたその謎の名前に対して、2つの意味を込めて呟いた。
そして俺は目を開けることにした。
「誰って、あなたのことよ虎頭心火くん。もう授業始まるわよ」
俺は目の前に広がる光景に仰天した。
あれ、俺はお墓にいたはずだよな。
なのに、ここはまるで、というか完全に
「学校!?」
俺は心の中で思ったはずの言葉を、声に出していた。確かに心の中だったのに。
いつのまにか口が開いたみたいだ。
視界には数十名の学生服を着た生徒が、席に座って俺の方を注目している。
そして、一番前の教卓には、声を出したと思われる女性が立っている。
「大丈夫? 隕石に頭でもぶつけたの?」
女性の声を聞いた学生たちが、くすくすと笑った。
「先生!」
その声は、俺の右隣から聞こえてきた。
はっきりとした若い女の子の声だ。
「心火のやつ、昨日徹夜でテレビ見てたみたいで。どうか、この馬鹿をお許しください」
まさに馬鹿にしているような口調だった。
心火、という言葉は依然として分からないが、なんだか腹が立った。
どんな子なのか気になったので、俺はそのまま右方向に頭を動かした。
すると、赤髪ポニーテールの美少女が席を立っていた。
え? 赤髪?
学生服を着てるし、高校生だよな?
顔は小顔で清楚感があり、髪を染めるようなギャルには見えなかった。
けど、外国人とか、ハーフにも見えない。
なんて言い表したらいいのだろうか。
現実離れした顔立ちだ。とにかく、美人なことには間違いない。
校則緩いんだな、とぼんやりと思いながら彼女を眺めていた。
あ、しかも巨乳じゃん。
ブレザーの上からでもわかるほどだ。
「何よ、心火。寝ぼけすぎじゃない?」
彼女は半笑いな顔を俺に向けた。
おいおい、嘘だろ?
俺は彼女とばっちし目が合って驚いた。
瞳が大きく、しかも青色だ。
どうみても海外の血が入っているようには見えないんだけどな。
目は大きいけど、不思議と不気味さみたいなのはなかった。
「菜乃川《なのかわ》さんに免じて、許してあげるわ」
今度は、おそらく教師と思われる女性に目線をやった。
彼女も相当美人だ。うねうねとした黒髪
ロングヘアーをしている。
また巨乳だ。
というか、彼女たちだけではなかった。
俺のほうを向いている、この教室にいる全員が美男美女ばかりだった。
なんだこの学校。
菜乃川とかいう珍しい苗字の美少女に比べると、周りのみんなに派手さはない。
が、その中にも明らかに異才を放っている少年少女が何名かいたが、とりあえず触れないでおいた。
このままだと、頭がパンクしそうだ。
「すみません。心火には私がきつく言っておきますから」
また心火という人を馬鹿にした態度をとりながら、彼女は着席した。
ようやく場が落ち着き、生徒たちは前に向き直った。
そして、授業が開始された。
先生の話を聞くに、国語の授業だ。懐かしいな。
いや、懐かしがっている場合じゃない。
なんだここは。
身に覚えがなさすぎる。
あれか。夢というやつか。
俺は思いつくポピュラーな対処法、ほっぺをつねるを試してみた。
いた、普通に痛い。
夢じゃない。いや、痛いから夢じゃないという理屈は、よく考えると意味不明だが。
「……ねぇ、心火」
再び隣の女の子が話しかけてくる。
今度はひそひそ声だ。
「な、なんですの?」
心火じゃないけど答えてしまった。
美女に声を掛けられてしまったせいか、変な喋り方になってしまった。
「馬鹿とかいって、ごめんね」
彼女はニキビ1つない頬を少し赤らめていた。こんな分かりやすく人間のほっぺって赤らむんだ。
アン〇ンマンみたいだ。
「ほえ?」
正直、混乱しすぎてさっきの会話はほとんど覚えていなかった。だから、彼女の謝罪がいまいちピンとこなかった。
「だから、さっき先生に言い訳するときに……言っちゃったでしょ。もう、みなまで言わせないでよね」
途中からまた馬鹿にした態度になっていた。
そして、プイッと逆方向を向いてしまった。
授業してるんだから、黒板を見なさいよ。
これはあれか。いわゆる、ツンデーレなるものか。
いるんだな、都市伝説か何かと思ってたわ。
よくわからないけど、とにかくここは墓じゃないことは確かだ。
瞬間移動でもしたというのか。
とりあえず、なんだか体がだるいので、誰かに質問攻めすることはしなかった。
それはまた後でいいだろう。
さっきみたいに騒いで注目されるのは嫌だからだ。
教室にいる全員の視線を浴びるのは精神的にくるものがある。
それと、ヤバい奴と周囲に思われるのは避けたい。
訳の分からない状況を理解することよりも、自分が目立たないことを俺は選んだ。
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