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幼馴染
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桜田夕人は、幼馴染のことをあまり好きではなかった。
常に傍にいる。友達以上に自分のスペースに入ってくる。そんなところが癇に障ることがあった。
夕人の鋭い目つきが、まだ柔らかかった幼少時代。そのころまでは、幼馴染といるのが一番楽しかった。常に一緒にいて、誰が見ても仲良し。
しかし、思春期になるにつれて、夕人はこの関係性に違和感を抱き始めた。高校生になった今でもその違和感は心に残っており、徐々に大きくなっていった。
もしも、この幼馴染が同じ同性だったならば、こんなにも夕人のストレスにならなかったかもしれない。
「おはよう、夕ちゃん」
「おう」
夕人が玄関のドアを開くと、彼女はインターホンの前にいた。
にこにことほほ笑み、真っすぐ夕人を見つめている。朝の太陽の光に負けないぐらい、眩しい瞳で。
「なんだよ」
「今日から衣替えでしょ?」
六月に入った今日から、高校は衣替えのシーズンを迎えていた。
ついさっき、ニュースに映っていた天気予報士が言っていた。気温はもうすぐ三十度を超えるらしく、熱中症に注意と。
天気予報通り、上空は晴天で日の光が夕人を襲った。
夕人はブレザーを着ておらず、半袖シャツの制服姿だった。
「だから、夕ちゃんのシャツ姿を目に焼き付けておこう、と思って」
「あっそ」
適当に返事をして、そそくさと夕人は歩いていった。
「ちょっと、待って」
彼女は小走りをして、夕人の横に行く。夕人の隣が、彼女にとっての定位置だった。
「私の夏服を見て、感想はないの?」
彼女も同じく夏服で、短めのスカートをはき、シャツの上に薄めのカーディガンを着ていた。髪も今日に合わせてボブにカットしていた。
「別に。何回も見てるし」
「確かにそうだけど」
二人は中学も高校も一緒。中学時代に三回、高校では二年生になった今年度も含めて二回。合計五回も夏服姿を見ている。毎回多少の変化はあるものの、目を輝かせるほどのものではない、と夕人は思っていた。
「あのな、日向。俺はお前が何を着ようがどうだっていい」
「ありのままの私が好きってこと?」
「お前、ポジティブだな」
海沼日向は夕人が自分のことを好きだと思い込んでいる節がある。十年近く一緒にいればそう思っても仕方ないのかもしれない。が、夕人にとってはいい迷惑だった。
実際二人が幼馴染以上に関係性が発展したことはない。夕人は日向を恋愛対象としては見ていなかった。
しかし、夕人がそう思っていても周りは違った。二人の距離感の近さを見たら、誰もが恋人関係なのだと疑うだろう。今も歩いている途中にすれ違う、サラリーマンや学生が勘違いをしているだろう。
まだ通行人などの他人だけなら良かった。しかし、この二人は家族ぐるみで仲がいいため、二人の両親や兄妹の中にも勘違いをしている者がいた。
夕人が住む桜田家と、日向が住む海沼家は、両方とも一軒家でお隣さん。昔から仲が良く、夕人たちが小さい頃は、両方の家族一緒に出掛けたりすることもあった。
それほどまでに、幼少期から仲がいいと思われている夕人と日向。それなら、高校でもそう勘違いされていると思うかもしれない。
しかし、それは少し違う。
「あ、いたいた」
歩いている途中で、日向が大きく前方に手を振る。先には小さな公園があり、その前で一人の女子高生が立っていた。
その女子高生は近づいてくる二人に気付き、小さく手を上にあげる。
彼女は長袖のシャツをまくり、カーディガンを腰に巻き、かなり短いスカートをはいている。艶のある綺麗な黒髪を後ろで結び、ポニーテイルにしている。
彼女の名前は角山夜風。二人の同級生で高校からの付き合いだ。
夜風は、手に持った棒付きアイスをゆっくりと舐めて、二人を待っていた。アイスは日の光を浴びて、今にも溶けそうだった。
「二人ともおはよう」
「おはよ」
「夜風、おはよーう。アイス美味しそうだね」
「家にあったから持ってきたの。食べる?」
夜風は棒付きアイスを日向のほうに差し出す。
ちなみに高校の規則として登下校中の飲食は禁止だが、そんなことを守っている生徒の方が少なかった。
「うん」
日向は元気よく頷き、そのままアイスに食らいついた。日向は、アイスのほぼ半分を食べてしまった。
「そんなに勢いよく食べると、頭痛くなるぞ」
夕人の言った通り、日向はすぐに頭を押さえだした。
「日向は朝から元気ね」
「やかましいだけだ」
「ひどい」
三人は何気ない会話をしながら、高校に向かって足を進める。夕人は、歩幅の狭い日向に合わせて歩いた。
夜風と合流すると、夕人は少し気が楽になる。三人で歩けば、他の人からは日向と恋人同士に見られることはないからだ。
中学では「夫婦」と関わられていたが、高校では夜風がいるおかげで、仲良し三人組として認知されている。
そもそも夜風が一緒にいるようになったのは、高校一年生の頃に三人が同じクラスになったからだった。
高校生になったばかりで同級生のほとんどが落ち着きのない様子の中、夕人と日向は仲良く会話をしていた。
その時に隣の席だった夜風に、夕人から話しかけたのだった。
中学生の頃散々いじられたという経験から、高校生に進学したら、日向以外の女友達を作ろうと決めていた。
夜風はいわゆるギャルと呼ばれるような見た目で、他の生徒たちは特に話しかけづらそうな生徒だった。
しかし、すでに日向という友人がいたことで、夕人には他の人よりも余裕ができていた。
それでも緊張はしたが,「俺、桜田夕人っていうんだけど、よろしく」と声をかけた。
肝心の夜風の反応は「よろしく」と、無愛想なものだったが、この挨拶のおかげでそれからも時々話すような間柄になっていった。
そんな二人を見て、日向は当然いいようには思っていなかった。
今まで周りの生徒たちは遠慮して二人の間には入ってこなかった。しかし、夜風という夕人の新たな友人が入り込んできた。しかもそれが異性となれば、放っておけはしなかった。
そんな高校生活の序盤の頃、ある噂が高校で流れ始めた。それは「角山夜風が援助交際を行っている」や「他行の男子生徒と多数付き合っている」などのいい噂ではなかった。
しかし、この噂はすぐに風化することになった。
夕人と夜風がよく話す中になれば、夜風と日向が会話する機会も必然的に増える。三人でいる時に少し夕人が席を外した場合、日向と夜風の二人でいる場合もある。
そんな中で日向は夜風と二人でいることが、不思議と嫌ではなかった。いいようには思っていない夜風と一緒にいることが、楽しいとさえ感じていた。
その理由は、日向が極端に同年代の女の子と関わってこなかったからだ。常に夕人に傍にいた日向。周りの女子の中には、常に男の傍にいる日向のことを悪く思うものもいた。日向と仲良なろうとする女子もいたが、夕人との邪魔をしてはいけないと遠慮し、深い関係にはならなかった。
つまり、日向は同級生の女子といるという状況がどんなものなのかよく知らなかった。女子同士だからこそ話せる内容、同性ならではの距離感。それは非情に居心地のいいものだと知っていった。
日向と夜風の距離が近くなるにつれて、夜風の噂がデマだったという、新たな噂が流れ始めた。
それから一年間、いつの間にか三人は一緒にいるのが当たり前になっていった。
高校生になった今は日向のみ別のクラスになってしまったが、仲がいいのは変わらずだった。
日向に関しては、夜風がきっかけで他の女子生徒とも会話するようになったため、夕人と違うクラスでも孤立はしていなかった。
それどころか日向はクラスでも人気者の位置を確立していた。というのも、夕人と一緒にいたことが長かったため、男性に対しての免疫が強く、男子生徒とも気軽に話していたからだった。
しかしながら、夕人のことを諦めたわけではない。だが、日向は友人も大切にするようになった。
そんな彼女は、今こうして好意を持っている幼馴染、親友と呼べる女友達と一緒にいれることが一番の幸せに感じていた。
常に傍にいる。友達以上に自分のスペースに入ってくる。そんなところが癇に障ることがあった。
夕人の鋭い目つきが、まだ柔らかかった幼少時代。そのころまでは、幼馴染といるのが一番楽しかった。常に一緒にいて、誰が見ても仲良し。
しかし、思春期になるにつれて、夕人はこの関係性に違和感を抱き始めた。高校生になった今でもその違和感は心に残っており、徐々に大きくなっていった。
もしも、この幼馴染が同じ同性だったならば、こんなにも夕人のストレスにならなかったかもしれない。
「おはよう、夕ちゃん」
「おう」
夕人が玄関のドアを開くと、彼女はインターホンの前にいた。
にこにことほほ笑み、真っすぐ夕人を見つめている。朝の太陽の光に負けないぐらい、眩しい瞳で。
「なんだよ」
「今日から衣替えでしょ?」
六月に入った今日から、高校は衣替えのシーズンを迎えていた。
ついさっき、ニュースに映っていた天気予報士が言っていた。気温はもうすぐ三十度を超えるらしく、熱中症に注意と。
天気予報通り、上空は晴天で日の光が夕人を襲った。
夕人はブレザーを着ておらず、半袖シャツの制服姿だった。
「だから、夕ちゃんのシャツ姿を目に焼き付けておこう、と思って」
「あっそ」
適当に返事をして、そそくさと夕人は歩いていった。
「ちょっと、待って」
彼女は小走りをして、夕人の横に行く。夕人の隣が、彼女にとっての定位置だった。
「私の夏服を見て、感想はないの?」
彼女も同じく夏服で、短めのスカートをはき、シャツの上に薄めのカーディガンを着ていた。髪も今日に合わせてボブにカットしていた。
「別に。何回も見てるし」
「確かにそうだけど」
二人は中学も高校も一緒。中学時代に三回、高校では二年生になった今年度も含めて二回。合計五回も夏服姿を見ている。毎回多少の変化はあるものの、目を輝かせるほどのものではない、と夕人は思っていた。
「あのな、日向。俺はお前が何を着ようがどうだっていい」
「ありのままの私が好きってこと?」
「お前、ポジティブだな」
海沼日向は夕人が自分のことを好きだと思い込んでいる節がある。十年近く一緒にいればそう思っても仕方ないのかもしれない。が、夕人にとってはいい迷惑だった。
実際二人が幼馴染以上に関係性が発展したことはない。夕人は日向を恋愛対象としては見ていなかった。
しかし、夕人がそう思っていても周りは違った。二人の距離感の近さを見たら、誰もが恋人関係なのだと疑うだろう。今も歩いている途中にすれ違う、サラリーマンや学生が勘違いをしているだろう。
まだ通行人などの他人だけなら良かった。しかし、この二人は家族ぐるみで仲がいいため、二人の両親や兄妹の中にも勘違いをしている者がいた。
夕人が住む桜田家と、日向が住む海沼家は、両方とも一軒家でお隣さん。昔から仲が良く、夕人たちが小さい頃は、両方の家族一緒に出掛けたりすることもあった。
それほどまでに、幼少期から仲がいいと思われている夕人と日向。それなら、高校でもそう勘違いされていると思うかもしれない。
しかし、それは少し違う。
「あ、いたいた」
歩いている途中で、日向が大きく前方に手を振る。先には小さな公園があり、その前で一人の女子高生が立っていた。
その女子高生は近づいてくる二人に気付き、小さく手を上にあげる。
彼女は長袖のシャツをまくり、カーディガンを腰に巻き、かなり短いスカートをはいている。艶のある綺麗な黒髪を後ろで結び、ポニーテイルにしている。
彼女の名前は角山夜風。二人の同級生で高校からの付き合いだ。
夜風は、手に持った棒付きアイスをゆっくりと舐めて、二人を待っていた。アイスは日の光を浴びて、今にも溶けそうだった。
「二人ともおはよう」
「おはよ」
「夜風、おはよーう。アイス美味しそうだね」
「家にあったから持ってきたの。食べる?」
夜風は棒付きアイスを日向のほうに差し出す。
ちなみに高校の規則として登下校中の飲食は禁止だが、そんなことを守っている生徒の方が少なかった。
「うん」
日向は元気よく頷き、そのままアイスに食らいついた。日向は、アイスのほぼ半分を食べてしまった。
「そんなに勢いよく食べると、頭痛くなるぞ」
夕人の言った通り、日向はすぐに頭を押さえだした。
「日向は朝から元気ね」
「やかましいだけだ」
「ひどい」
三人は何気ない会話をしながら、高校に向かって足を進める。夕人は、歩幅の狭い日向に合わせて歩いた。
夜風と合流すると、夕人は少し気が楽になる。三人で歩けば、他の人からは日向と恋人同士に見られることはないからだ。
中学では「夫婦」と関わられていたが、高校では夜風がいるおかげで、仲良し三人組として認知されている。
そもそも夜風が一緒にいるようになったのは、高校一年生の頃に三人が同じクラスになったからだった。
高校生になったばかりで同級生のほとんどが落ち着きのない様子の中、夕人と日向は仲良く会話をしていた。
その時に隣の席だった夜風に、夕人から話しかけたのだった。
中学生の頃散々いじられたという経験から、高校生に進学したら、日向以外の女友達を作ろうと決めていた。
夜風はいわゆるギャルと呼ばれるような見た目で、他の生徒たちは特に話しかけづらそうな生徒だった。
しかし、すでに日向という友人がいたことで、夕人には他の人よりも余裕ができていた。
それでも緊張はしたが,「俺、桜田夕人っていうんだけど、よろしく」と声をかけた。
肝心の夜風の反応は「よろしく」と、無愛想なものだったが、この挨拶のおかげでそれからも時々話すような間柄になっていった。
そんな二人を見て、日向は当然いいようには思っていなかった。
今まで周りの生徒たちは遠慮して二人の間には入ってこなかった。しかし、夜風という夕人の新たな友人が入り込んできた。しかもそれが異性となれば、放っておけはしなかった。
そんな高校生活の序盤の頃、ある噂が高校で流れ始めた。それは「角山夜風が援助交際を行っている」や「他行の男子生徒と多数付き合っている」などのいい噂ではなかった。
しかし、この噂はすぐに風化することになった。
夕人と夜風がよく話す中になれば、夜風と日向が会話する機会も必然的に増える。三人でいる時に少し夕人が席を外した場合、日向と夜風の二人でいる場合もある。
そんな中で日向は夜風と二人でいることが、不思議と嫌ではなかった。いいようには思っていない夜風と一緒にいることが、楽しいとさえ感じていた。
その理由は、日向が極端に同年代の女の子と関わってこなかったからだ。常に夕人に傍にいた日向。周りの女子の中には、常に男の傍にいる日向のことを悪く思うものもいた。日向と仲良なろうとする女子もいたが、夕人との邪魔をしてはいけないと遠慮し、深い関係にはならなかった。
つまり、日向は同級生の女子といるという状況がどんなものなのかよく知らなかった。女子同士だからこそ話せる内容、同性ならではの距離感。それは非情に居心地のいいものだと知っていった。
日向と夜風の距離が近くなるにつれて、夜風の噂がデマだったという、新たな噂が流れ始めた。
それから一年間、いつの間にか三人は一緒にいるのが当たり前になっていった。
高校生になった今は日向のみ別のクラスになってしまったが、仲がいいのは変わらずだった。
日向に関しては、夜風がきっかけで他の女子生徒とも会話するようになったため、夕人と違うクラスでも孤立はしていなかった。
それどころか日向はクラスでも人気者の位置を確立していた。というのも、夕人と一緒にいたことが長かったため、男性に対しての免疫が強く、男子生徒とも気軽に話していたからだった。
しかしながら、夕人のことを諦めたわけではない。だが、日向は友人も大切にするようになった。
そんな彼女は、今こうして好意を持っている幼馴染、親友と呼べる女友達と一緒にいれることが一番の幸せに感じていた。
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