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挿話 救出作戦 Part1
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武器を新調し終え、ハンドレッドは新たな国へと目指す。はずだったのだが、それはゼマの一言により、一気に方向転換することとなる。
「あ、ダメだ」
突然のその言葉に、ララクはガクッと腰を下げた。あばらにパンチを入れられた気分だった。
少し冷や汗をかきながら、ララクは質問する。
「ど、どういうことでしょうか? まだ準備が足りませんか?」
ゼマが武器を修復したい、ということで、これまでそれに務めてきた。先程クリスタルロッドを得たことで解決したように思えたが、彼女はまだ何か心残りがあるようだ。
「準備っていうか、ちょっと試し殴りしてみたいな、って思ってさ」
「た、試し殴りですか?」
意味は何となく理解できたが、物騒な言葉だったので聞き返してしまった。
「そうそう。手には馴染んでいる気はするけど、実際に戦ってみないとね」
「なるほど、そういう物なんですね」
即席でいつも武器を作っているララクには、あまり共感のできないことだった。
ゼマのように試し切りのようなことをしたいと考える者たちはそれなりに多い。その場合はパーティー内などで、模擬戦を行ったりする。
「あんたと戦ってもいいけど、戦闘力が違いすぎるし。やっぱ、丁度良さそうなモンスターと戦うのが良いかな」
「じゃあ、クエストに行くってことですか?」
ララクはなんとなく、ゼマの要望が分かってきた。
「そうだね。旅の道中でモンスターにも出会うだろうけど、丁度いい相手が見つかるとは限らないし。
まぁ、必須じゃないから、別にいいんだけど」
ダメ、とは言ったがそこまでこだわりがあるというわけではないようだ。出来れば、前もって戦闘を行っておきたいのだろう。
彼女にとっても、新たな国は訪れたことのない未知の領域。そういった不安が、彼女の中にも僅かながら存在するのかもしれない。
「いえいえ、そうおっしゃるなら行きましょう。ボクもそれの性能が気になりますし。
それと、そもそもボクのわがままに付き合わせてしまっているわけですから、いくらでも付き合いますよ」
ララクは、ゼマにとって世界を旅することは、そこまで重要ではない、と考えていた。パーティーを組んだ相手が、たまたま旅をしたいと言い出した。断る理由が特にないのでそのまま在籍している、そんな風に捉えている。
なので、ゼマの要望には出来るだけ答えたいと思っていた。彼にとって彼女は、長く付き合うことになるかもしれない貴重な仲間なのだから。
「そう? じゃあ、首都にでも戻ってクエスト探そうか」
隣国へは海路を使わない限り、首都を通る。なので、結局戻ることになるので、ジンドの街ではなく、首都でクエストを探そうとしていた。
あちらのほうが、クエストの種類も多い。
「ですね。じゃあ、【テレポート】使います」
少し道は反れるが、新たな旅のために、ララクたちは首都へと戻っていくのであった。
◇◇◇
首都サーザー 北東地区。
ショッピング街とはまた雰囲気が違く、多くのギルドが点在している。外装を凝っているギルドも多いので、迫力が結構ある。
それぞれ特色があるので、それが建物にも反映されているのだ。
ここではないが、山仕事専門のマウンテンウォリアーは、自然を感じさせる外装をしている。
その他にも、川仕事であれば水色といった色が使われていたり、盗賊などの悪党退治専門の場所は、かしこまった事務所のような形になっている。
ハンドレッドの2人は首都観光でいくつかは周ったが、全てを内見できたわけではない。クエストも行わなく酒場も利用しないので、冷やかしだと思われたくない、とララクが感じたからでもある。
しかし、首都には上京してくる冒険者も多く、どんなギルドがあるのか確認する冒険者は意外に多い。ので、ギルド側はあまり気にしていなかったりする。
「ここにしようか。森はよく行っているし」
とあるギルドの看板を見たゼマは、ここでクエストを受けることを決める。名前は、フォレストウォー。
森仕事専門のギルドである。
それに合わせて、ギルドの建物は木造で、しかも生い茂る木々に囲まれていた。人によっては、扉や看板が分からなかったりするだろう。
「ですね。これから行くファンシーマも自然が溢れる国ですから、デモンストレーションにもなるかもしれません」
2人が一緒に行ったことのあるフィールドは、山に鉱山、それと平原だ。
自然が多いという点では、山などと変わらない。
しかし、森は視界が悪い上に、坂がない。
坂がないと、疲れにくいが、迷う危険性がある。山は上を目指せば、とりあえずは見晴らしのいいところまで出ることが出来る。
しかし、森は平坦な道が続きやすく、草木を避けながら歩いていると迷うこともある。
特に初めて訪れる森の場合は、目印を把握しづらい。
お互いは、それぞれ森に訪れたことは何度もある。が、ソロとパーティーだと、何かと勝手が違うだろう。
「よし、じゃあ決定」
すぐにでもクエストをしたいようで、ゼマは早々と扉を開けて中に入っていく。
「あ、ダメだ」
突然のその言葉に、ララクはガクッと腰を下げた。あばらにパンチを入れられた気分だった。
少し冷や汗をかきながら、ララクは質問する。
「ど、どういうことでしょうか? まだ準備が足りませんか?」
ゼマが武器を修復したい、ということで、これまでそれに務めてきた。先程クリスタルロッドを得たことで解決したように思えたが、彼女はまだ何か心残りがあるようだ。
「準備っていうか、ちょっと試し殴りしてみたいな、って思ってさ」
「た、試し殴りですか?」
意味は何となく理解できたが、物騒な言葉だったので聞き返してしまった。
「そうそう。手には馴染んでいる気はするけど、実際に戦ってみないとね」
「なるほど、そういう物なんですね」
即席でいつも武器を作っているララクには、あまり共感のできないことだった。
ゼマのように試し切りのようなことをしたいと考える者たちはそれなりに多い。その場合はパーティー内などで、模擬戦を行ったりする。
「あんたと戦ってもいいけど、戦闘力が違いすぎるし。やっぱ、丁度良さそうなモンスターと戦うのが良いかな」
「じゃあ、クエストに行くってことですか?」
ララクはなんとなく、ゼマの要望が分かってきた。
「そうだね。旅の道中でモンスターにも出会うだろうけど、丁度いい相手が見つかるとは限らないし。
まぁ、必須じゃないから、別にいいんだけど」
ダメ、とは言ったがそこまでこだわりがあるというわけではないようだ。出来れば、前もって戦闘を行っておきたいのだろう。
彼女にとっても、新たな国は訪れたことのない未知の領域。そういった不安が、彼女の中にも僅かながら存在するのかもしれない。
「いえいえ、そうおっしゃるなら行きましょう。ボクもそれの性能が気になりますし。
それと、そもそもボクのわがままに付き合わせてしまっているわけですから、いくらでも付き合いますよ」
ララクは、ゼマにとって世界を旅することは、そこまで重要ではない、と考えていた。パーティーを組んだ相手が、たまたま旅をしたいと言い出した。断る理由が特にないのでそのまま在籍している、そんな風に捉えている。
なので、ゼマの要望には出来るだけ答えたいと思っていた。彼にとって彼女は、長く付き合うことになるかもしれない貴重な仲間なのだから。
「そう? じゃあ、首都にでも戻ってクエスト探そうか」
隣国へは海路を使わない限り、首都を通る。なので、結局戻ることになるので、ジンドの街ではなく、首都でクエストを探そうとしていた。
あちらのほうが、クエストの種類も多い。
「ですね。じゃあ、【テレポート】使います」
少し道は反れるが、新たな旅のために、ララクたちは首都へと戻っていくのであった。
◇◇◇
首都サーザー 北東地区。
ショッピング街とはまた雰囲気が違く、多くのギルドが点在している。外装を凝っているギルドも多いので、迫力が結構ある。
それぞれ特色があるので、それが建物にも反映されているのだ。
ここではないが、山仕事専門のマウンテンウォリアーは、自然を感じさせる外装をしている。
その他にも、川仕事であれば水色といった色が使われていたり、盗賊などの悪党退治専門の場所は、かしこまった事務所のような形になっている。
ハンドレッドの2人は首都観光でいくつかは周ったが、全てを内見できたわけではない。クエストも行わなく酒場も利用しないので、冷やかしだと思われたくない、とララクが感じたからでもある。
しかし、首都には上京してくる冒険者も多く、どんなギルドがあるのか確認する冒険者は意外に多い。ので、ギルド側はあまり気にしていなかったりする。
「ここにしようか。森はよく行っているし」
とあるギルドの看板を見たゼマは、ここでクエストを受けることを決める。名前は、フォレストウォー。
森仕事専門のギルドである。
それに合わせて、ギルドの建物は木造で、しかも生い茂る木々に囲まれていた。人によっては、扉や看板が分からなかったりするだろう。
「ですね。これから行くファンシーマも自然が溢れる国ですから、デモンストレーションにもなるかもしれません」
2人が一緒に行ったことのあるフィールドは、山に鉱山、それと平原だ。
自然が多いという点では、山などと変わらない。
しかし、森は視界が悪い上に、坂がない。
坂がないと、疲れにくいが、迷う危険性がある。山は上を目指せば、とりあえずは見晴らしのいいところまで出ることが出来る。
しかし、森は平坦な道が続きやすく、草木を避けながら歩いていると迷うこともある。
特に初めて訪れる森の場合は、目印を把握しづらい。
お互いは、それぞれ森に訪れたことは何度もある。が、ソロとパーティーだと、何かと勝手が違うだろう。
「よし、じゃあ決定」
すぐにでもクエストをしたいようで、ゼマは早々と扉を開けて中に入っていく。
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