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挿話 フレアレディ Part2

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「いっぱい買っちゃったね」

 ウキウキな様子で喋りだしたのは、他の2人に挟まれた少女だった。ララクよりもぐっと幼い。下手をすると、ダブランファミリー子分のトッドーリやチャミングよりも年下だろう。
 顔が幼いだけではなく、背も低かった。

 特に隣にいる2人の背が高めなので、よりそう感じる。

「宿に帰ったら、ファッションショーしない?」

 おそらくお店で購入したと思われる大量の服が入った手提げ袋の紐を、隣りにいる女性は長い腕にかけていた。
 ここでララクたちは気がつくのだが、彼女たちが出てきたのは子供服のお店だった。そのため、これを着用するのは身長的に少女だ。

 袋を大量に持った女性は、とにかく細長かった。
 彼女は純粋な人間ではない。
 猿人《さるびと》という種族で、手足などが長い傾向がある。

 猿と行っても、人の血が混じっているので毛深かったりするわけではない。少し肌の色が濃いぐらいと、鼻や耳が少しふっくらしているぐらいだ。
 元々同じ猿人類なので、それぐらいの差しかないことが多い。

 逆にスラッとした体形をしているので、人間の女性から憧れる存在だったりする。

 髪はショートカットで、冒険者というよりはモデルのように思える体形をしている。しかし、全体的に茶色く地味で動きやすい恰好をしており、オシャレには興味がなそうだった。

「いいですね。写真に収めましょうか」

 敬語で話している3人目だが、一番年上のように見える。眼鏡をかけていて知性的な面を感じる。
 さっぱりとしたボブカットの彼女もまた、人ではない種族だった。
 耳がツン、と尖っているのが特徴的なエルフだ。

 透明度のある白い肌をしており、身長はそこまで高いわけではないが、バランスのいい体形をしている。

 彼女は神父が着るような布服をアレンジした物を着ていた。これはゼマの着用としているものと同じく、魔力を高めてくれる素材を使った特殊な装備品だった。

 ショッピングをおえて談笑している3人だったが、すぐにララクたちの視線に気がついて、こちらを向いてきた。

 長身の女性、そして眼鏡の女性はあまりピンと来ていない様子だった。

 しかし、真ん中にいる少女はすぐに気がついて、顔を顰めた。

「っげ、あいつ、木偶の棒じゃん」

 急に冷ややかなトーンでボソッと呟く。それを聞いて、隣の2人もララクの存在を思い出した。

 そんなことに気がついていないのか、ララクは挨拶をしようと近づいて来ていた。

「少しぶり。変わらずに元気そうでよかった」

 少女は年下なので、ララクは敬語を使ってはいなかった。彼はその辺の線引きは明確化しており、年上には敬語、同年代より下はタメ口にしている。ゼマのように親密な関係でもそれは基本的には変わらない。
 ディバソンのような例外もあるが。

「気安く喋りかけないで。もう関係ないんだから」

 プイッと首を動かして、そっぽを向いてしまう。

 それを見ていたゼマは、すぐに両者間の関係性が理解できた。

(あのツンツン頭と同じ感じか)

 ゼマはデフェロットがララクに突っかかっていたことを思い出す。しかし、少女はまだ子供なので、彼よりは可愛げを感じていた。

「すいません、パナフェカちゃん」

 少女の名前はパナフェカ。本来は学業に勤めている歳だが、冒険者をすでに行っている変わった経歴の持ち主だ。
 それだけ、精神的に発達している、そして実力があるという事でもある。

「小っちゃいのに、冒険者なんて凄いじゃん」

「背は関係ない。あなた、誰?」

 文字通り上から目線で喋りかけてくるゼマにも、鋭い目つきで対応するパナフェカ。

「私はゼマ。ララクのパーティーメンバーで、一応はヒーラーかな」

 ゼマは短く伝えるべき情報だけ話した。

「ヒーラー!?」

 それを聞いた少女は目を丸くする。ヒーラーはかなり貴重な存在だ。首都には他にもヒーラーはいるだろうが、数が少ないことに変わりはない。

 しかも、それを弱小のララクのパーティーにるということが、引っ掛かっているようだ。

「しかもララクのパーティー? じゃあまさか、ララクがリーダー?」

「そうだよ。パナフェカちゃんと同じになったね」

 邪険に扱われているのには気がついているだろうが、臆せずララクは接していた。

 その会話を聞いたゼマが、眉を上げて驚いた表情をとっていた。

「っえ、この子がリーダーなの? あんたたちの?」

 ゼマは隣で黙っている2人に視線を送る。
 長身の猿人は、笑顔で頷いていた。彼女は特にララクに嫌悪感を抱いてはいないようだ。

 エルフのほうも、眼鏡をクイッと上げて同意していた。

 捕捉するように、猿人の女性が話し始めた。
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