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第89話 鉄の雨
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「こいつ、後ろに目でもついてんの?」
死角から放ったはずの攻撃が、簡単に避けられたことが解せない様子。
「っは! ……ゼマさん、その通りみたいですよ」
再び魔晶石へと移動したディバソンを見て、ララクは驚愕した。
急遽跳んだので姿勢が不安定だったようで、一時的にディバソンの背が2人のほうに向いていた。
「き、きもちわるっ!」
思わず声を漏らすゼマ。
ディバソンの背中に、普通はあるはずのない目玉がいくつも浮かび上がっているのだ。それは人間の目ではなく、アイアンデーモンの目玉だ。
「どうやら、複数のアイアンデーモンに寄生されているみたいです。それで、戦闘能力が格段に上がっているんだと思います」
ララクも奇妙に感じながら冷静に敵を分析する。
この背にある目の力により、背後からの攻撃にも対応できたのだ。
「集まれ! お前たち!」
正面をララクたちの方へ向けたディバソンは、地中に転がったアイアンデーモンの破片に呼びかける。するとそれらは小刻みに揺れだす。バラバラになりながらもまだ活動できるようで、ディバソンの元へと移動していく。
地面から魔晶石の山を登っていき、ディバソンの元へと辿り着く。
そして、その鋼鉄の体とさらに合体をしていく。
もはや中に人がいるとは考えられず、ただのモンスターと化している。
「これがアイアンデーモンの真の力なのか」
ララクはモンスター図鑑で、ある程度の情報を掴んでいた。しかし、別の個体同士が合体することや、人間との同化のことは知らなかった。
事の発端はディバソンが、彼らを受け入れたことだ。しかし、今はもはやディバソンの面影は全くない。
彼の意志も感じなくなってしまった。
「テンズ【アイアンショット】!」
魔晶石に登っているディバソン、いやアイアンデーモンは、土系統のスキルを発動する。それも10回連続で。
巨大な鉱物の塊がいくつも現れ、そして同時にはじけ飛んでいく。下にいるララクとゼマをターゲットにして、それらは鉄の雨となって彼らを襲う。
「【シールドクリエイト・ハード】!」
それを防ぐために、ララクは金色の巨大な盾を作り、その底を地面に突き刺し固定した。ララクが小柄なこともあって、それに身を潜めることは簡単だった。
金属の盾に、無数の鉄破片がぶつかってははじかれていく。もともと【シールドクリエイト】で作り出す盾は、攻撃力がほとんどない代わりに防御力と耐久値が高い。それをさらに【耐久値強化】で頑丈にしているので、丈夫なのは間違いない。
彼はこれをゼマの前にも出そうとした。
しかし、すでに彼女が防御態勢に入っているのを見て、自分の分だけ作ることにした。普段だったら簡単に作れるが、今は魔力消費を少しでも抑えたい。
「なんのこれしき!」
ゼマはアイアンロッドを縦に持ち構える。そしてそれを両手を器用に動かして回転させていく。
これでゼマの正面に、円状の防壁が作られる。
回転速度が襲いと【アイアンショット】が通り抜けてしまう。
しかし、どうやらその心配はないようだ。
彼女に飛んでいった破片たちは、ほぼ全てアイアンロッドに弾き飛ばされていく。いくつか漏れて彼女に当たったとしても、ヒーラーなのでさほど問題はない。
(どうする?。これが降りやめば攻撃を仕掛けるか? でも魔力が……)
ララクは魔力を回復するために道具に頼ることにした。さいわい、この【アイアンショット】が終了するまでまだ少しだけ時間はある。
「【ポケットゲート】」
ララクは亜空間の収納スペースを呼び出すと、そこからマジカポーションを取り出す。小瓶に入った水色の液体を、喉に流し込んでいく。
これで魔力が回復するのだが、彼が今日消費した魔力はかなり激しい。
この【ポケットゲート】を使用するだけでも魔力がかかる。
彼は今日、大量に魔力を消費する【テレポート】を、何度も使っていた。
まず、首都から鍛冶屋に行くときに2人分。そしてまた首都に戻った際に2人分。そして、カリーエと冒険者6人に使用したことで、+7。
計11人分使用したことになる。
時間経過で回復していくとはいえ、膨大な魔力が失われたのをすぐには取り戻せない。
他にもクリエイト系や、鉱物を収納するのに【ポケットゲート】も頻繁に使用した。こんな強敵と戦う予定がなかったとはいえ、かなり使いすぎている。
(こうなったら、分身で一気に攻め崩すか)
ララクは【アイアンショット】が全弾うち尽くされたのを見計らって、分身で一気にアイアンデーモンを破壊しようとしているようだ。
そんなララクの姿を、ゼマは防御しながらも横眼でチラッと見ていた。マジカポーションを飲んだこともしっかりと確認していた。
死角から放ったはずの攻撃が、簡単に避けられたことが解せない様子。
「っは! ……ゼマさん、その通りみたいですよ」
再び魔晶石へと移動したディバソンを見て、ララクは驚愕した。
急遽跳んだので姿勢が不安定だったようで、一時的にディバソンの背が2人のほうに向いていた。
「き、きもちわるっ!」
思わず声を漏らすゼマ。
ディバソンの背中に、普通はあるはずのない目玉がいくつも浮かび上がっているのだ。それは人間の目ではなく、アイアンデーモンの目玉だ。
「どうやら、複数のアイアンデーモンに寄生されているみたいです。それで、戦闘能力が格段に上がっているんだと思います」
ララクも奇妙に感じながら冷静に敵を分析する。
この背にある目の力により、背後からの攻撃にも対応できたのだ。
「集まれ! お前たち!」
正面をララクたちの方へ向けたディバソンは、地中に転がったアイアンデーモンの破片に呼びかける。するとそれらは小刻みに揺れだす。バラバラになりながらもまだ活動できるようで、ディバソンの元へと移動していく。
地面から魔晶石の山を登っていき、ディバソンの元へと辿り着く。
そして、その鋼鉄の体とさらに合体をしていく。
もはや中に人がいるとは考えられず、ただのモンスターと化している。
「これがアイアンデーモンの真の力なのか」
ララクはモンスター図鑑で、ある程度の情報を掴んでいた。しかし、別の個体同士が合体することや、人間との同化のことは知らなかった。
事の発端はディバソンが、彼らを受け入れたことだ。しかし、今はもはやディバソンの面影は全くない。
彼の意志も感じなくなってしまった。
「テンズ【アイアンショット】!」
魔晶石に登っているディバソン、いやアイアンデーモンは、土系統のスキルを発動する。それも10回連続で。
巨大な鉱物の塊がいくつも現れ、そして同時にはじけ飛んでいく。下にいるララクとゼマをターゲットにして、それらは鉄の雨となって彼らを襲う。
「【シールドクリエイト・ハード】!」
それを防ぐために、ララクは金色の巨大な盾を作り、その底を地面に突き刺し固定した。ララクが小柄なこともあって、それに身を潜めることは簡単だった。
金属の盾に、無数の鉄破片がぶつかってははじかれていく。もともと【シールドクリエイト】で作り出す盾は、攻撃力がほとんどない代わりに防御力と耐久値が高い。それをさらに【耐久値強化】で頑丈にしているので、丈夫なのは間違いない。
彼はこれをゼマの前にも出そうとした。
しかし、すでに彼女が防御態勢に入っているのを見て、自分の分だけ作ることにした。普段だったら簡単に作れるが、今は魔力消費を少しでも抑えたい。
「なんのこれしき!」
ゼマはアイアンロッドを縦に持ち構える。そしてそれを両手を器用に動かして回転させていく。
これでゼマの正面に、円状の防壁が作られる。
回転速度が襲いと【アイアンショット】が通り抜けてしまう。
しかし、どうやらその心配はないようだ。
彼女に飛んでいった破片たちは、ほぼ全てアイアンロッドに弾き飛ばされていく。いくつか漏れて彼女に当たったとしても、ヒーラーなのでさほど問題はない。
(どうする?。これが降りやめば攻撃を仕掛けるか? でも魔力が……)
ララクは魔力を回復するために道具に頼ることにした。さいわい、この【アイアンショット】が終了するまでまだ少しだけ時間はある。
「【ポケットゲート】」
ララクは亜空間の収納スペースを呼び出すと、そこからマジカポーションを取り出す。小瓶に入った水色の液体を、喉に流し込んでいく。
これで魔力が回復するのだが、彼が今日消費した魔力はかなり激しい。
この【ポケットゲート】を使用するだけでも魔力がかかる。
彼は今日、大量に魔力を消費する【テレポート】を、何度も使っていた。
まず、首都から鍛冶屋に行くときに2人分。そしてまた首都に戻った際に2人分。そして、カリーエと冒険者6人に使用したことで、+7。
計11人分使用したことになる。
時間経過で回復していくとはいえ、膨大な魔力が失われたのをすぐには取り戻せない。
他にもクリエイト系や、鉱物を収納するのに【ポケットゲート】も頻繁に使用した。こんな強敵と戦う予定がなかったとはいえ、かなり使いすぎている。
(こうなったら、分身で一気に攻め崩すか)
ララクは【アイアンショット】が全弾うち尽くされたのを見計らって、分身で一気にアイアンデーモンを破壊しようとしているようだ。
そんなララクの姿を、ゼマは防御しながらも横眼でチラッと見ていた。マジカポーションを飲んだこともしっかりと確認していた。
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