【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!

高見南純平

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第61話 炎と風

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「この姿になった俺は、止まらねぇぜ!」

 魔人、となったデフェロットはいつもよりもテンションがハイになっているようにも見える。
 元々、バトルジャンキーというほどではないが、好戦的な性格ではあるが。

 魔人という種族は、その名の通り魔力に優れた人間である。見た目は今のデフェロットのように、少し人間とは違った部分がある。
 身体能力も高く優秀な種族だが、人間のほうが生産業や武器の扱いが長けているとされている。
 なので、魔人は武器系統のスキルを獲得できない個体が多い。

 だが、魔人となったデフェロットは色の違う双剣を構えている。

 これは、元々彼が【剣適正】などのスキルを所持している影響だと思われる。

「いくぜ、ララク!」

 デフェロットはその場で地面を力強く蹴って、真上に軽くジャンプをした。そしてさらにそこからスキルを発動した。

「【フレイムライド】」

 彼の両足の裏が一気に発火しだす。それは外に向かって放出されており、これを推進力として利用することが出来る。

 細かい爆発音を轟かせながら、その炎を利用してララクの元へと飛んでいく。

 超加速をして近づいたデフェロットは、燃えるような赤い剣をララクへと振り下ろしていく。

「っは、速いですね」

 ララクはゴールデンソードを使ってそれを防ぐ。空を飛んでいるデフェロットは上空から剣を叩きつけているので、その重みが乗ってララクが押され始める。

 つばぜり合いになると、デフェロットの持つ赤き剣から炎が発生しだす。剣の刃を包むように、火炎が燃え盛る。

 この剣は、炎魔剣と呼ばれるもので、外からスキルを発動しなくても魔力を込めれば炎系統の効果を得ることが出来る。
 仕組みとしては、ゼマの持つ【伸縮自在】が付与されたアイアンロッドに酷似している。

「離れなさいよっ!」

 それを見たゼマは、【伸縮自在】を使って伸びる突きを放った。真っすぐ伸びたそれを、デフェロットは上空に移動することで難なくかわす。

「遅いぜっ! 【フレイムスラッシュ・瞬炎】」

 今度は、もう1つの剣でスキルを発動した。緑色に輝くこの片刃の剣は、風魔剣。こちらは、風系統の力を宿している。

 そして彼が放ったスキルの詳細はこうだ。

【フレイムスラッシュ・瞬炎《しゅんえん》】
 獲得条件……【フレイムスラッシュ】と【ウィンドスラッシュ】を所持する。
 効果……風の力で増幅した炎の斬撃を相手に飛ばす

 簡単に言えば、【エアスラッシュ】の炎系統バージョンといったところだ。
 しかし、斬撃には見えず、半月型の揺らめく炎がララクを襲う。

 元々風の力が加わっているスキルなのだが、これをさらに風魔剣で放つことにより、炎の威力とスピードが格段にあがる。

「【ウォーターボール】っ!」

 ララクは超巨大な水の球体を作り出す。普通はこれを相手に放つのだが、ララクたちの体を完全に隠しており、ある種の盾のようになっていた。

 炎系統のスキルに水系統のスキルは強い。

 デフェロットが発動した【フレイムスラッシュ・瞬炎】とララクの【ウォーターボール】がぶつかり合った。
 やはり、徐々に炎の力が弱まっていく。

 それを見たデフェロットは、炎魔剣を使ってスキルを発動した。

「【ウィンドスラッシュ・熱風】」

 今度は炎の剣から、突風が吹き荒れた。さらに風系統のスキルは、白か緑色で発現することが多いが、これは橙色に近い明るい色をしている。

 スキル名通り、この風は熱を持っている。炎魔剣で発動したことにより、その火力が底上げされていた。

 その熱風も【ウォーターボール】にぶつかっていった。すると、熱風を受けた箇所が「ジュジュッ」と音をたてはじめる。
 相当な高熱なようで、急速に沸騰し始めたのだ。そして、すぐに蒸発していく。
 さらに、風力によって水の球が球体を維持できずにいた。四方八方へと水しぶきをあげていき、しまいには魔力で形を保てずに爆散していった。

 その水しぶきを避けようと、ララクとゼマは後ろへと下がった。

 その瞬間、地上にいたあの男が動き出した。
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