59 / 113
第58話 団体戦
しおりを挟む
ここはキューシャ平原。冒険者ギルド「平原の狩人」でのクエストは、ほとんどがここが指定されている。
以前、疾風怒濤がオーク退治を行ったのもこの平原である。
その際は夜だったが、今日は朝方だ。
遮蔽物がないので、朝日が大量に刺し込んでいる。もしも、【条件強化・朝日】というものがあれば、ここほどその効果を発揮できる場所もないだろう。
そんな平原に、2つの冒険者パーティーがやってきている。
クエストのためではなく、勝負を行うためだ。
オークを討伐したことで、首都の近くには魔物はほとんどいない。さらに誰にも迷惑をかけないので、デフェロットはここを指定した。
「ちょっとデフェロット、クマひどくない?」
目の冴えているレニナが、目の下が黒ずんでいるデフェロットに声をかける。
「気にすんな。体調は万全だ」
デフェロットは肩を回しだす。装備も整えて、準備万端だ。
「大方、楽しみすぎて眠れなかったのだろう」
宿屋で同室だったガッディアは、彼があまり寝つけていなかったことを知っていた。
「分かります。次の日に何かあると、眠れませんよね」
緊張しいのジュタもそういった経験が何度もあるようだ。
「ようやくお前を倒せるぜ。おいララク、準備はいいな?」
疾風怒濤とハンドレッドは少し離れて対面している。それぞれ、軽く体を動かして、戦闘準備をしていた。
「はい、ボクも体調は万全です」
「私も。あんたのこと、ボコボコにしてあげる」
好意的な態度をとる2人だったが、ゼマはわざとらしくデフェロットにウィンクをする。どうもこれが彼には気色悪いらしく、かなり顔が引きつっていた。
「マジであいつ苦手だぜ」
「お前が得意な相手などいないだろう」
ほとんどの相手と適切なコミュニケーションをとれないことをガッディアは知っているので、静かにツッコんだ。
「じゃあ、ルールの確認をしましょうか。まず、ボクとゼマさんのコンビと、デフェロットさんとガッディアさんのコンビでの2対2の戦い」
「ああ。時間制限はなし。相手が気絶、それか降参したら負けでいいだろ。お前がぶっ倒れるまで叩きのめしてやるよ」
やる気十分のデフェロットは、始まる前から対戦相手を挑発している。
「あの、もちろん致命傷を与えるのは無しですよ?」
「そんなの分かってるよ。まぁ、手が滑ってやりすぎるかもしれねぇから、早めに降参すんだな」
「りょうかいです」
戦闘前のあおりも、ララクにはあまり効果がない。だが、自信満々のデフェロットを見て、ますますその理由が気になっていた。
「おいジュタ、戦闘開始の合図だけ言ってくれ」
「僕ですか? は、はい」
ジュタとレニナは戦わないので離れた位置で観戦することになっている。スタートは大事なので、デフェロットではなく第三者に言って貰うのが公平だ。
「そ、それでは皆さん、戦う準備はよろしいでしょうか?」
戦わないジュタが一番緊張しているように見える。
彼の言葉を聞いた4人は、それぞれ武器を構える。
ガッディアはハンマーと大盾を構えており、デフェロットは黒剣のヘルソードを抜いた。
ララクはまだ武器を作り出さずにいた。相手の出方を見てから創造するようだ。
ゼマはアイアンロッドを両手で握り始める。
4人の準備が出来たことを確認すると、ジュタは合図を出す。
「それでは、戦闘開始です!」
ついに、疾風怒濤とハンドレッドのパーティー戦が始まった。
以前、疾風怒濤がオーク退治を行ったのもこの平原である。
その際は夜だったが、今日は朝方だ。
遮蔽物がないので、朝日が大量に刺し込んでいる。もしも、【条件強化・朝日】というものがあれば、ここほどその効果を発揮できる場所もないだろう。
そんな平原に、2つの冒険者パーティーがやってきている。
クエストのためではなく、勝負を行うためだ。
オークを討伐したことで、首都の近くには魔物はほとんどいない。さらに誰にも迷惑をかけないので、デフェロットはここを指定した。
「ちょっとデフェロット、クマひどくない?」
目の冴えているレニナが、目の下が黒ずんでいるデフェロットに声をかける。
「気にすんな。体調は万全だ」
デフェロットは肩を回しだす。装備も整えて、準備万端だ。
「大方、楽しみすぎて眠れなかったのだろう」
宿屋で同室だったガッディアは、彼があまり寝つけていなかったことを知っていた。
「分かります。次の日に何かあると、眠れませんよね」
緊張しいのジュタもそういった経験が何度もあるようだ。
「ようやくお前を倒せるぜ。おいララク、準備はいいな?」
疾風怒濤とハンドレッドは少し離れて対面している。それぞれ、軽く体を動かして、戦闘準備をしていた。
「はい、ボクも体調は万全です」
「私も。あんたのこと、ボコボコにしてあげる」
好意的な態度をとる2人だったが、ゼマはわざとらしくデフェロットにウィンクをする。どうもこれが彼には気色悪いらしく、かなり顔が引きつっていた。
「マジであいつ苦手だぜ」
「お前が得意な相手などいないだろう」
ほとんどの相手と適切なコミュニケーションをとれないことをガッディアは知っているので、静かにツッコんだ。
「じゃあ、ルールの確認をしましょうか。まず、ボクとゼマさんのコンビと、デフェロットさんとガッディアさんのコンビでの2対2の戦い」
「ああ。時間制限はなし。相手が気絶、それか降参したら負けでいいだろ。お前がぶっ倒れるまで叩きのめしてやるよ」
やる気十分のデフェロットは、始まる前から対戦相手を挑発している。
「あの、もちろん致命傷を与えるのは無しですよ?」
「そんなの分かってるよ。まぁ、手が滑ってやりすぎるかもしれねぇから、早めに降参すんだな」
「りょうかいです」
戦闘前のあおりも、ララクにはあまり効果がない。だが、自信満々のデフェロットを見て、ますますその理由が気になっていた。
「おいジュタ、戦闘開始の合図だけ言ってくれ」
「僕ですか? は、はい」
ジュタとレニナは戦わないので離れた位置で観戦することになっている。スタートは大事なので、デフェロットではなく第三者に言って貰うのが公平だ。
「そ、それでは皆さん、戦う準備はよろしいでしょうか?」
戦わないジュタが一番緊張しているように見える。
彼の言葉を聞いた4人は、それぞれ武器を構える。
ガッディアはハンマーと大盾を構えており、デフェロットは黒剣のヘルソードを抜いた。
ララクはまだ武器を作り出さずにいた。相手の出方を見てから創造するようだ。
ゼマはアイアンロッドを両手で握り始める。
4人の準備が出来たことを確認すると、ジュタは合図を出す。
「それでは、戦闘開始です!」
ついに、疾風怒濤とハンドレッドのパーティー戦が始まった。
10
お気に入りに追加
1,168
あなたにおすすめの小説

良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる