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第5話 スキル詳細

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 現れたララクの手には、金色に輝く剣が握られている。彼はヒーラーであり、武器は装備していなかったはずだ。

「皆さん、大丈夫ですか?」

 ついさっきまでパーティーを組んでいた人たちが、酷いありさまなのをララクは確認する。

「はぁ!? なんでお前が。ていうか、なんだよその剣!」

 色々とツッコミどころが多すぎるララクを確認して、怒鳴る元気は出てきた様子のデフェロット。

 ケルベアスは首の痛みがひどいようで、その場で悶えておりこちらから目を離していた。
 そのため、少しだけララクと会話する余裕があった。

「あ、これですか? 【ウェポンクリエイト・ハード】で作りました。これは、創成剣士・アーリズさんのスキルに、あと鍛冶戦士・ゴッドンさんの【耐久値強化】が加わったスキルっぽいです」

 スキルは、特定のスキルを獲得することで、それらが複合したスキルを得ることが出来る場合がある。

 ララクが言った【ウェポンクリエイト・ハード】の元になったスキルは以下の通りだ。

【ウェポンクリエイト】
 効果……魔力を変換させて剣を作成可能。剣の耐久値は、威力に反比例する。

【耐久値強化】
 効果……装備の耐久値をあげる。

 そしてそれらが合わさったスキル【ウェポンクリエイト・ハード】を使用して、ゴールデンソードという威力が高く耐久値も高い武器を作ったのだ。

 ただの【ウェポンクリエイト】だと、ゴールデンソードを作った場合、一撃で壊れてしまう。だが、その強化版のスキルで作ったので、まだ攻撃に使用することが出来るだろう。

 これを使用することによって、【エアスラッシュ】でもケルベアスを斬りつけることが出来たのだ。

「ど、どういうことだ? キミの口ぶりだと、他の人のスキルを使用しているように聞こえるが?」

 ララクの言ったスキルの持ち主である、創成剣士と鍛冶戦士の名前をガッディアはどこかで聞いたことがあったようだ。

「簡単に言えばそういう事です。【エアスラッシュ】もデフェロットさんのですし」

「あぁん? 俺のだと!? てめぇ、どういうこった!」

 状況が理解できないデフェロット。彼が知っているララクは、スキルが1つしか使えない無能だった。
 しかし、今は自分が傷1つつけられなかった相手に大ダメージを与えているのだ。
 そのため、状態の差に混乱しているようだ。

「説明は後で。まだ、倒しきれてませんから」

「なっ、ララク。キミはもしかして、こいつを倒そうとしているのか?」

「はい。さっき確認したら、スキルが300個ぐらいあったので、それを組み合わさればなんとか行けるかと。あと、パッシブスキルで、攻撃力とかもろもろ強化されていますし」

 彼のレベルは、今までと同じ40だ。そのため、スキルをただ使うだけでは、【疾風怒涛】が手も足も出ないケルベアスに勝つのは困難だ。

 しかし今の彼は、効果の強い複合スキルが使え、様々なパッシブスキルで肉体が底上げされている状態だ。

 さらにいうと【追放エナジー】の効果として、被っているスキルは自動的に合わさり強化される。そのためスキル名の横に、強化された度合いを数値で示している。


 名前  ララク・ストリーン
 種族  人間
 レベル 40

 アクションスキル 一覧
【ヒーリング・Ⅰ】【エアスラッシュ・Ⅶ】【フィジカルアップ・Ⅸ】【スピードアップ・Ⅶ】【スラッシュ・ムーブ・Ⅱ】【クイック・カウンター・Ⅱ】【挑発・Ⅴ】【ディフェンスアップ・Ⅶ】【カウンター・ブレイク・Ⅳ】【ギガクエイク・Ⅲ】【シールドアタック・Ⅳ】【ウェイトアップ・Ⅳ】【サーチング・Ⅴ】【ストロングウィンド・Ⅴ】【スピントルネード・Ⅲ】【空中浮遊・Ⅲ】【嗅覚強化・Ⅱ】【ウィンドカッター・Ⅵ】【ウィンドスラッシュ・Ⅷ】……NEXT

 バッシブスキル 一覧
【追放エナジー】【剣適正・Ⅸ】【盾適正・Ⅸ】【魔力上昇・Ⅹ】【スキル効果上昇・Ⅶ】【身体能力上昇・Ⅹ】【防御力上昇・Ⅹ】【俊敏性上昇・Ⅹ】【体力上昇・Ⅶ】……NEXT


 普通はレベルによってスキルは強化されるので、他者のスキル画面にはこういった数値は表示されない。
【追放エナジー】による特別仕様ということだ。

 これを見たララクは、自分の体がレベル以上の動きができると確信している。

 だからこそ、ララクには勝算があるようだ。

「あ、回復しだした」

 ララクは戦闘を続行しようとケルベアスに視線を移すと、その体に異変が起こっていることに気がついたのだ。

「グルゥゥゥゥゥオオ」

 なんと、千切れかけていたケルベアスの首が、元に戻りつつあったのだ。細胞がぼこぼこと動いており、頭と首をくっつけ直していく。

「スキルかな。見てみよう。【サーチング】」

 どのようなスキルで再生しているのかを確認しようとするララク。
 それを見たレニナが口を挟んだ。

「む、無駄よ。あんたのレベルじゃあ……」

 レニナは、ララクの前に現れたスキル画面を見て、喋るのを途中でやめてしまった。彼女の距離からでは正確に読み取ることは出来ないが、確実にスキルの情報が記されていることは、文字の量で分かった。

 名前  不明
 種族  ケルベアス
 レベル 60

 アクションスキル 一覧
【猛烈突進】【ヘルファング】【ヘルクロー】【ケルベアスの咆哮】【フィジカルアップ】【アタックアップ】【スピードアップ】【探知】【嗅覚強化】【フレイムファング】【アイスファング】【サンダーファング】

 パッシブスキル 一覧
【多頭再生】【嗅覚上昇】【身体能力上昇】【呪い耐性】【消化率上昇】【防御力上昇】
【攻撃力上昇】【自然治癒力上昇】

「レベル60か、さすがにスキルが多いな」

 現在のララクのスキル数と比べれば足元にも及ばないが、数10分前まで1個しか持っていなかったので、この数でも多く思えるようだ。

(この【多頭再生】っていうのが今のやつかな)

 ララクは詳細を知りたいと思ったスキルをタッチする。

 【多頭再生】
 効果……首または頭が損傷した際、頭が1つでも残っている場合はすぐに再生する。


(なるほど。これで再生したのか)

 目の前で起こっている現象に合点がいったようだ。
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