9 / 10
異常体(バケモン)には異常体(バケモン)をぶつけんだよッ!!!!
(4)
しおりを挟む
私は「気配を隠す」呪符を、周囲に居たゾンビどもの何匹かに貼り付けた上で発動させていた。
この「気配を隠す」呪符は効力範囲内の魔力・生命力その他の「力」を効力範囲外から隠す事は出来るが……困った事に「外から中に有るものを隠す」結界そのものの存在は容易に感知されてしまう。
早い話が「中の音を絶対に外に漏らさない壁。ただし、壁そのものは丸見え」みたいな感じだ。
そこで、更に、ゾンビに「こだま」の呪符を貼り付けた。自分の声が、その呪符が有る場所から響いているように錯覚させる効力のある呪符だ。
そして、奴が「声はするが、周囲に気配を隠す結界が有る」ゾンビを間違って狙った隙を突いて、奴を「浄化」属性の魔力が込められた投げナイフで攻撃したはいいが……。
「やれやれ……この多元宇宙の創造主サマは……アイデアが枯渇してたと思ってたのに……面白いモノを思い付くな……」
「そ……そこの人……た……たのむ……私を殺してくれ……」
声の主は……いかにもな「勇者」風の姿をした……手足を仲間の成れの果てらしいゾンビに貪り食われてる最中の男。
すまん。
私にだって人の心ぐらい有るが……この手の同じ鋳型から大量生産されたありがちな奴は……キャラが薄っぺら過ぎて、生きた人間に思えないんだ。
「やるね……いくつもの世界を滅ぼして、やっと気が合いそうな、あたしの派生体に巡り会えたよ。でも、残念だけど……」
私が投げたナイフは奴の手に握られており……そして、その手から煙。
でも、大したダメージも苦痛も与えていないようだ。
「この程度のマジック・アイテムじゃ、あたしは倒せない」
「やっぱり、そうか……」
「あと、1つ誤解が有るけど……あたしは、あたしの意志と努力でこうなった。多少の偶然や幸運は有ったにせよ、あの阿呆な創造主サマの手柄じゃない」
「なるほどな……」
「おい、そこの人、たのむから……殺して……」
「おい、『私』、そこの勇者様、ウザいから殺していいか?」
「駄目だよ~、『あたし』、あたし的には、中々楽しいんだよ♪ すご~く豪華って訳じゃないけど、何故か、たまに食べたくなる料理とか、すご~い名曲じゃないけど、どう云う訳か、たまに聞きたくなる音楽みたいな感じ」
フードの中に有るのは……。
青白い肌。
顔に浮く青黒い血管。
血走った目。
髑髏と見まごう……皮膚の下には肉も脂肪も無さそうな顔立ち。
そして、全身から放たれる嫌な感じの魔力。
「あ……あたしとした事がボケた事言っちゃた~、てへぺろでやんす♥『何故か、たまに食べたくなる料理』って、あたし、もう、普通の食事出来なくなってたの忘れてた~♪」
その「私」は……どう見てもアンデッドと化していた。
しかし、これは、馬鹿だと油断させる為の芝居か? それとも、アンデッドになったせいで、人間性そのものが歪んだのか?
……自分のボケに、自分でツッコミを入れるとは……。
この「気配を隠す」呪符は効力範囲内の魔力・生命力その他の「力」を効力範囲外から隠す事は出来るが……困った事に「外から中に有るものを隠す」結界そのものの存在は容易に感知されてしまう。
早い話が「中の音を絶対に外に漏らさない壁。ただし、壁そのものは丸見え」みたいな感じだ。
そこで、更に、ゾンビに「こだま」の呪符を貼り付けた。自分の声が、その呪符が有る場所から響いているように錯覚させる効力のある呪符だ。
そして、奴が「声はするが、周囲に気配を隠す結界が有る」ゾンビを間違って狙った隙を突いて、奴を「浄化」属性の魔力が込められた投げナイフで攻撃したはいいが……。
「やれやれ……この多元宇宙の創造主サマは……アイデアが枯渇してたと思ってたのに……面白いモノを思い付くな……」
「そ……そこの人……た……たのむ……私を殺してくれ……」
声の主は……いかにもな「勇者」風の姿をした……手足を仲間の成れの果てらしいゾンビに貪り食われてる最中の男。
すまん。
私にだって人の心ぐらい有るが……この手の同じ鋳型から大量生産されたありがちな奴は……キャラが薄っぺら過ぎて、生きた人間に思えないんだ。
「やるね……いくつもの世界を滅ぼして、やっと気が合いそうな、あたしの派生体に巡り会えたよ。でも、残念だけど……」
私が投げたナイフは奴の手に握られており……そして、その手から煙。
でも、大したダメージも苦痛も与えていないようだ。
「この程度のマジック・アイテムじゃ、あたしは倒せない」
「やっぱり、そうか……」
「あと、1つ誤解が有るけど……あたしは、あたしの意志と努力でこうなった。多少の偶然や幸運は有ったにせよ、あの阿呆な創造主サマの手柄じゃない」
「なるほどな……」
「おい、そこの人、たのむから……殺して……」
「おい、『私』、そこの勇者様、ウザいから殺していいか?」
「駄目だよ~、『あたし』、あたし的には、中々楽しいんだよ♪ すご~く豪華って訳じゃないけど、何故か、たまに食べたくなる料理とか、すご~い名曲じゃないけど、どう云う訳か、たまに聞きたくなる音楽みたいな感じ」
フードの中に有るのは……。
青白い肌。
顔に浮く青黒い血管。
血走った目。
髑髏と見まごう……皮膚の下には肉も脂肪も無さそうな顔立ち。
そして、全身から放たれる嫌な感じの魔力。
「あ……あたしとした事がボケた事言っちゃた~、てへぺろでやんす♥『何故か、たまに食べたくなる料理』って、あたし、もう、普通の食事出来なくなってたの忘れてた~♪」
その「私」は……どう見てもアンデッドと化していた。
しかし、これは、馬鹿だと油断させる為の芝居か? それとも、アンデッドになったせいで、人間性そのものが歪んだのか?
……自分のボケに、自分でツッコミを入れるとは……。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。


雑魚キャラ転生 おっさんの冒険
明かりの元
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる