テンプレから外れた「生意気なメスガキ」ですが多元宇宙規模の神様を敵に回しました

蓮實長治

文字の大きさ
上 下
4 / 10
先に言っとくけど、私は人をイラつかせるのが得意なんだ

(4)

しおりを挟む
「……え? いや……その……言われてみれば……えっと……」
「何だ、何も聞いてないのか?」
「は……はい……」
「そうか……。私は自分が人間の屑だって事は自覚してる。でも、私にも美点の1つぐらい有る。努力家だって事だ」
「……え……えっと……あの……?」
「恐怖という感情を身に付けるのは無理でも、持ってる演技は出来るかも知れない。その神様のお気に召すように努力してみよう。協力してくれ」
「協力しますので……え……えっと……まずは……」
 別の世界版の私は、両手に刺さっているナイフを交互に見る。
「あ……なるほど」
 自分で言うのも何だが、私にだって親切心ぐらいは有る。
 私は、ヤツの右手に刺さっているナイフを抜く為に、そのナイフをと……。
「ぎゃああ……方向が違いますぅ……」
「この刺し方からして逆方向に動かしたら……抜けないぞ。見ての通り、このナイフは片刃だ」
「逆じゃなくて、逆じゃなくて……水平方向じゃなくて、垂直方向に動かしてえええッ‼」
「垂直方向か……理解したが……本当にそれで良いのか?」
「いいですいいですいいです……早くやって……」
台詞セリフだけ聞いてると……私が別の事をやってるみたいだ……。まあ、いいか」
 私は、思い切り、
「変だな。お前の言う通りにしたのに全然抜けないぞ」
「やめて~ッ‼ 馬鹿のフリして酷い嫌がらせをするのはやめて~ッ‼」
「でも、一足先に楽になったお前の仲間の言う事が本当なら、私はお前達より能力が低い筈だ。多分、知力もな。馬鹿なのは仕方ない。怨むなら、そんな『設定』にした神様とやらを怨め」
「い……いやあ……誰がだずげで~ッ‼」
「考えてみれば、他人が恐怖を感じた時にどうなるかを、ちゃんと観察した事は無かったな。恐怖を感じた人間に、まず、起きる現象は……いや、気が早過ぎる。もう少し様子を見てから結論を出そう。ところで、軽い世間話だ。利き手はどっちだ?」
「へっ?」
「子供の頃から自分で、両手を同じように使えるように訓練してきた。今じゃ、どっちが元々の利き手か忘れてしまったんでな」
「え? え? え? え?……右手ですけど……」
「なるほど。こう見えて、私にだって情けや慈悲ぐらい有る。ブッ壊すなら左手か……。右手を失うより、今後の日常生活に支障は少ないだろう」
「いやいやいやいや……なななな何を……言って……」
「わかった。嫌なら、妥協案として左手をブッ壊すなりに、ブッ壊し方は最小限にしよう。ちゃんと私は、他人から異論を言われた場合に備えて、いつも、代案も考えてる。『お前が死にたくないなら、代りに家族の命を差し出すってのはどうだ?』とかな」
「うわあああああッ‼」
「更に代案だ。私の質問に対して、正解を答えられたら、これ以上の傷を与えずに解放してやろう」
「え……? え……? え……? 本当ですか?」
「本当だ。私は正直な女だ」
「じゃ……じゃあ……早く質問を……」
「嫌がらせの為に、他人の片手の指を2本だけ切り落すなら……どの指にする?」
「えええええええええッ?」
「早く答えないと……自分自身の体で正解を知る事になるぞ」
「ああああ……え……えっと……良く使う指……えっと……1つは人差し指?」
 私は天を仰いだ。
「なるほど……恐怖と言う感情に囚われたら、どうなるか、概ね理解出来た。まずは、知性や思考能力の大幅な低下か……。知性や思考能力の低下の度合は……怒りで頭に血が上った場合よりも酷く、他人を嘲笑・冷笑している時と同等ぐらい……と。残念ながら、のっけから不正解だ」
「へっ?」
「残念だったな……答は……」
 私は、で、奴の左手の小指を切り落す。
「ぎゃあああああ……」
「この指を失なうと、握力が大幅に低下する」
 続いて、親指を切り落す。
「うぎゃああああ……」
「もちろん、親指を失なうと、何かを握るのに支障が出る。見てみろ、5本の指の内、たった2本を失なっただけで、お前の左手は多くの機能を失なった」
「うわあああ……ッ‼」
「あと……自分と同じ顔の奴に、こんな事を言うのは何だが……可愛い方かも知れないが、ありがちで個性の無い顔だな……ちょっと美容整形をやってもいいかな?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

雑魚キャラ転生 おっさんの冒険

明かりの元
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...