ポリコレ反転にも程が有る異世界に生れ変ってしてしまった……/第1部:幻世篇

蓮實長治

文字の大きさ
上 下
18 / 69
第2章:ETERNAL 0 or -1.0

(3)

しおりを挟む
「こ……この男が誰か知ってるの?」
 僕は、突如現われて僕達を助けてくれた謎の女にそう訊いた。
 小柄だ……一五〇㎝台前半……でも妙に筋肉質。
 迷彩模様のような柄の長ズボンの柔道着っぽい外見の服……そんな感じの服装だ。
 セミロングの髪を首の辺りで一本に束ねてて……日本人っぽい顔立ち。
「何だ、全国ニュースにはなってなかったのか?」
「えっ?」
「お前、日本から転生したんだろ? 知らなかったのか、こいつを?」
「だから、誰だよ?」
「出身はどこだ?」
「何で、そんな事を?……一応、関東出身だけど……死んだ時は東北……」
「なるほど……こいつは、九州の大牟田って町のチンケなヤクザの組長の息子だ。私が高校の頃にニュースになったが、もう死刑になってたようだな」
「死刑?」
「保険金殺人か……何か、そんな被害の割に理由はしょ~もない殺人事件で五人か十人殺して、父親・母親・息子2人の一家全員に死刑判決が下ったヤクザの一家だ。あ、ヤクザってのは比喩じゃない。本当に広域暴力団の系列の……下の方だが、組長一家だ」
「危険人物じゃないかッ‼」
「そう、お前が思ってるよりも危険人物だ。……その一家の中でも、こいつは、元相撲取りだった」
「へっ?……そんな馬鹿馬鹿しい奴が……」
「居るから仕方ない。現実ってのは、結構、無茶苦茶だ。そして、それが……お前が、火事場の馬鹿力を出しても敵わなかった理由だ」
「どう言う事?」
「聞いた事ないか? 空手や柔道の無差別級の全国大会出場レベルでは……十両か下手したら幕下の力士にさえ敵わない。そして、こいつは、途中でドロップアウトしたとは言え、元力士だ。鹿。しかも、お前は武道・武術や格闘技の訓練を受けてなくて、体を効率的に使えないようだな。ますます不利だ」
「あ……あの……御二人は何を話していらっしゃるのですか?」
 その時、聖女様の不安気な声。

 えっ……。
 あ……そう云う事って……待って、こいつ、これから……。
 あの感覚……火事場の馬鹿力が出る寸前の……。
「助けてやった礼が欲しい。。あ、チビの男の方は要らん」
「何の為にだッ⁉」
 力は湧いてるのに……いつものような高揚感が無い。
 何かが……おかしい。
 この女は……今、気絶して床に倒れてる力士崩れより危険ヤバい奴だ……そう、僕の中の何かが告げている。
「私は……この世界に居るについて、ある仮説を立てている。その為に、この世界の人間や……白人に見える者達の体を調べた。だが、私の仮説が正しいって確信は……9割って所だ。あと1割が足りない。どうやら、白人に見える者達の中でも純血種に近いらしい上に、しかも、めずらしい成体の……」
「待て……調べるって、どうやってだッ?」
「そりゃ決ってるだろ……解剖……」
 サイコ女が全部言い終える前に、火事場の馬鹿力が発動。
 僕は、聖女様とスナガを抱えダッシュ‼
 あれ?
 さっきの力士を倒した……苦痛をもたらす呪文が……来ない。
「な……何だよ、この世界の転生者は……僕以外は@#$%ばかりか? さっきの力士もサイコ女も」
「あ……あの……勇者ボルグ様……あの女の方は……転生者ではありません」
「えっ? だって、どう考えても……僕と同じ世界の同じ国の出身にしか思えない話をしてたよ……。話してたのも、元の世界で僕が生まれ育った国の言葉……」
「この世界に出現する転生者は……男だけの筈なのです」
 どうなってるの?
 じゃあ、あの女は……?
「あの女の方はです。異世界転生の仕組みを不正に使って、他の世界から、この世界に来た何者かです……目的は判りませんが……」
「どう……なってるの……?」
「それに、あの女の方が使った呪文は……
「そんな馬鹿な……じゃあ、あの呪文は……どこの世界の……?」
 地下の下水道から外に出た時、僕は力尽き、膝をつく……。
 頭の中は「?????」の嵐……。
 そして……。
 更に……無茶苦茶なモノを見付けてしまった……空に……。
 理科の成績が、あんまり良くなかった僕でも知ってるモノが……。
 7つの星が……柄杓かスプーンのような形に並んだ星座が……2つ。
 だった。
 だが……それで終りじゃなかった。
 無数の灯りが、僕達を取り囲んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
恋愛
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...