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第1章:Stand by Me

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「え~ですか、テンノ~ヘ~カ様」
 僕の駄目な点を寄せ集めて白人男にしたよ~な奴は……僕が殺した「白い肌の蛮族」と「有色人種の文明人」が持っていた金品を奪うと、そう言い出した。
「だから、その呼び方やめて」
「では……何とお呼びすれば……?」
「適当でいい、適当で」
「わかりましただ、テンノ~ヘ~カ様」
「それ以外で……」
「では、『ボルグ』様はどうでしょうか?」
 そう言い出したのは……ブルカっぽい服に身を包んだ「聖女」。
「えっ? どう云う意味の名前なの?」
「我々『ウルク族』の伝説の英雄の息子です。人間は、この伝説を知らないので名前の意味は判らず、ウルク族が聞けば『伝説の英雄の後継者』の意味だと判る筈です」
「な……なるほど……」
「ああ、そりゃええお考えだ。流石は聖女様、学が有りなさる」
 何か……こいつ、僕を誉める時は明らかに性的興奮状態なのに……この「聖女」を誉める時は……ええっと……義理で誉めてるよ~な感じがするんだけど……。
「じゃあ、君達は何て呼べばいいの?」
「オラの事は『スナガ』と呼んでくだっせ~」
 え……えっと……白人にしか見えないのに、日本人の名字みたいな名前だなぁ……。
「では、私は、アシュトとお呼び下さい」
「うん、わかった」
「でだ、ボルグ様、この世界ではオラ達、白い肌のウルク族は人間扱いされてね~だ。なので、人前でオラ達を人間扱いすると困った事になるだ」
「あ……なるほどね……」
「とりあえず、あの町の近くまで行ったら、オラ達を奴隷として扱ってけんろ」
 そう言ってスナガは遠くの方に見える城壁に囲まれた町を指差す。
「でも、具体的にどうやれば……?」
「じゃ、オラが手本を見せるだ」
 そう言って、スナガは、折角ほどいた縄を再び聖女の手に巻き付けて……。
「ほら、さっさと歩くだ。この卑しい白い雌豚がぁ~ッ‼」
「ちょ……ちょっと待って、君達にとって、その人は……『聖女』なんじゃ……」
「芝居だ、芝居。ほら、何、人間様の男を見とるだ? どんなにお前が盛りのついた雌豚じゃろ~と、人間様が豚に欲情される筈が無かろうが~ッ‼」
「だ……だから、芝居は、もういいよ」
「気になさらないで下さい、ボルグ様。私がウルク族の聖女である事がバレると、私の身に危険が及びます。卑しい奴隷として扱われた方が、私の身は安全なのです」
「は……はぁ、そうですか……」
 何か、納得いかないけど……そういうモノなんだろうか?
 あと、何で、スナガは、あんな嬉々とした様子で「お芝居」をやってるんだろうか?
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