鬼面ソルジャーズ・神(Sin)

蓮實長治

文字の大きさ
上 下
36 / 36
第四章:残酷な神が支配する

(4)

しおりを挟む
 古い民家の庭。
 さして広くは無いが……手入れは行き届いている。
 そこに、1人の老人と、1人の若い男、1人の少女が居た。
 今回も、また照明なしの自然光撮影。
 そして、自然光撮影が最も美しく写ると言われている夕暮れ時……いわゆる「マジック・アワー」に行なわれた。
「何故、俺を助けた?」
 俺がかつて演じた役を、今、演じている前田君がそう言った。
「君の敵から、私達が護ってきた人を護って欲しい。その代りに、君は我が一族の支援を受ける事が出来るようになる」
「私に護り手など必要ない」
 黒炎龍鬼を衝撃波で吹き飛ばした少女は、冷い口調でそう言った。
「こいつの言う通りだ。どう考えても、こいつは俺より強いだろう? 何故、俺が護ってやる必要が有る?」
「理由は2つ有る。1つは……お前を改造した組織が作った『鬼』達は、短時間だが、我々の『姫神』の力を無効化出来る。先代の『姫神』も……その手で命を奪われた。それに対抗するには、奴らと同じ『鬼』の力を持つ者が居た方がいい」
「先代? どう云う事だ? あいつらが『神』と呼んでた連中は……殺せば、それで終りでは無いのか?」
「殺しても、誰かに能力ちからは受け継がれる。大概は家族……と言っても養子でもいいようだ。どうやら、血の繋りの有無に関わらず『家族のように親しい誰か』だ。そして、前回、殺された時の経験も受け継がれる」
「お……おい……待て……。それじゃ……あの組織と、奴らが命を狙ってる『神』とやらの戦いは……」
「おそらく、人類とその文明が存続し続ける限り続く。殺される側は、前回、殺された時の経験を活かし、殺す側は、更にその裏をかかねばならない。殺し合いは続くが……後になればなるほど……激化していく。その内、『神』1人を殺す為に、『神』が居る町ごと核兵器で焼き払うようになるかも知れんが……それは、起きるとしても、まだ先だろう」
「待て……『神』とやらを殺しても、その力は受け継がれると言ったな……。おそらくは、先代の『神』の家族に……。じゃあ、まさか……奴らは……わざと、『神』以外にも被害が出るような戦い方をしているのか?」
「その通りだ。奴らと『神』の戦いに巻き込まれて、『神』の後継者が死んでくれれば……奴らにとっては願ったり叶ったりだ」
「2つ目の理由は……まさか……」
「察しがいいな……」
「『奴らを倒せなくてもいい。奴らに踏み躙られる者を1人でも減らせ』。それが、俺を、あの組織から逃してくれた男の遺言だ……。それを果たせるなら、あんた達に協力する」
「では……明日から戦い方を教えてやろう。我々の『姫神』を狙う者達を撃退する為の戦い方を……。それも、部外者への被害を、なるべく小さくする戦い方をな」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...