30 / 36
第三章:自由と平和の護り手
(11)
しおりを挟む
「韓国映画の『羅刹』って知ってます?」
昼食を食べながら前田君が、そう言い出した。
こちらでも、北九州の現場と同じく、食事は基本的に温かいケータリングだ。
「……いや……。でも、どうしたんだ?」
「その映画の悪役の好物が……祝い事で出る仕出しのコムタンクッパなんですよ。それも特定の仕出し屋が作ったヤツが……」
「ああ、コムタンクッパって、今、君が食べてるヤツ?」
「はい……。やっぱり、本場のは美味いですね」
「じゃあ、夕食は、それにするか」
「ところで……変な事聞きますけど……眞木さんの親類と何か有ったんですか?」
「……すまん……気楽に出来る話じゃなんでな……。いつか話す機会が有れば、その時にしてくれ」
「えっ?」
「オリジナル版で、出演者が事故死したって噂を知ってるか?」
「ちょ……ちょっと待って下さい。どう云う事ですか?」
「彼女と俺の関係を話すには……その事に言及しないといけなくなるが……俺にとってはキツい思い出でな……」
前田君の手に有った匙の動きが、一瞬だけ止まった。
それから……慎重に言葉を選んだかのような口調になった。
「複雑な気持ちです……。俺もTVの特撮モノに出てましたけど……その時に、怪我せずに済んだのも……過去に有った事故から教訓を得た訳ですよね……」
「そっか……今は……俺達の頃みたいな事故は……流石に減ってるのか……」
昼食を食べながら前田君が、そう言い出した。
こちらでも、北九州の現場と同じく、食事は基本的に温かいケータリングだ。
「……いや……。でも、どうしたんだ?」
「その映画の悪役の好物が……祝い事で出る仕出しのコムタンクッパなんですよ。それも特定の仕出し屋が作ったヤツが……」
「ああ、コムタンクッパって、今、君が食べてるヤツ?」
「はい……。やっぱり、本場のは美味いですね」
「じゃあ、夕食は、それにするか」
「ところで……変な事聞きますけど……眞木さんの親類と何か有ったんですか?」
「……すまん……気楽に出来る話じゃなんでな……。いつか話す機会が有れば、その時にしてくれ」
「えっ?」
「オリジナル版で、出演者が事故死したって噂を知ってるか?」
「ちょ……ちょっと待って下さい。どう云う事ですか?」
「彼女と俺の関係を話すには……その事に言及しないといけなくなるが……俺にとってはキツい思い出でな……」
前田君の手に有った匙の動きが、一瞬だけ止まった。
それから……慎重に言葉を選んだかのような口調になった。
「複雑な気持ちです……。俺もTVの特撮モノに出てましたけど……その時に、怪我せずに済んだのも……過去に有った事故から教訓を得た訳ですよね……」
「そっか……今は……俺達の頃みたいな事故は……流石に減ってるのか……」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる