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第四章:Escape Plan 2/Hades

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 俺達は、博多港のフェリー発着所の待合室で、サウナ帰りのクズリと肉屋ブッチャーと落ち合った。
「何だそりゃ……? これで暗い部屋でPCいじってたら、安っぽいドラマに出て来るスーパー・ハッカー様だな」
「うるせえ」
 ヤクザの若旦那はクズリが買って来たフード付の上着を着て、顔をフードで隠していた。
 なにせ、潰れたヤクザの組の元後継りが地元に戻るのだ。
 顔を知ってるヤツに出喰わす可能性が有る。
「で……その医者の自宅はどこだ?」
「JRと西鉄……どっちの久留米駅からも歩きじゃキツいな」
 若旦那がそう言った途端、一瞬、全員、ポカ~ン……。
「ああ、そうか。この辺りのヤツ以外には説明が必要か。久留米駅ってのJRのと西鉄の2つ有って……1㎞以上離れてんだ」
「なるほど……」
 その時、「教祖サマ」がビクっとした表情になる。
「どうし……」
「に……逃げましょう……」
「何がだ……?」
「あ……あれ……」
「あれって、何だ?」
「だから、あれです」
「だから、何の事だ」
「い……いや、指差したらマズいです。あそこに居る女の子の2人連れ……」
 「教祖サマ」の視線の方向には……確かに二十はたち前らしい小娘メスガキが2人……何故か、その2人ともが、急に上着のフードで顔を隠し……。
「あ……あれ……あの眼鏡の方……」
 そう言ったのはヤクザの若旦那。
 そう言や、あの眼鏡のヤツは……。
「『正義の味方』の研修所の精神カウンセラーの助手をやってた……使か……」
?」
「おい、若旦那、何、大声出してんだ? あいつと一緒って事は……もう1匹のメスガキも『正義の味方』だ……。あ、『教祖サマ』、何もやるな。何も呼び出すな……はい、深呼吸」
「ああああ……」
「おい、あの眼鏡っが『魔法使い』ってどう云う事だ?」
「『魔法使い』同士なら……そうだな……『気』みて~なモノで判るんだよ。自分の『気』だの『魔力』を操る訓練をやったヤツかどうかがな」
「お……おい……そんな……」
「おい、あの眼鏡っと何が有った?」
「尻さわって……怒られた……」
「……」
「……」
「……」
「……」
 あまりと言えば、あまりな告白ゲロに唖然とする俺含む4名。
「あのな……この御時世……娑婆でさえ、電車ん中で痴漢したり、職場でパワハラ・セクハラした相手が、どんな特異能力者か知れたもんじゃね~んだぞ。それなのに……あんた……?」
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