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第三章:絶地7騎士 ― The Magnificent Seven ―

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「これで『九段』の港まで行くの?」
 「おっちゃん」と「猿丸」さんと「ハヌマン」さんが、この「島」に来るのに使った3台のトラックには、計8台のバイクが積まれていた。
 良く見ると、インホイール・モーター式のエンジンレスの電動バイク。
「ああ、ギアチェンジの必要が無いんで、運転方法は、基本は原付と同じだが、速度は、最大で時速一二〇㎞は出る。加速性能は最大で、走り出してから5秒で時速八〇㎞」
「ざっと計算すると……等加速度と仮定して……0・5G弱ですか……。最大加速でも何とかなりますね」
 そう言ったのは今村君。
「何とかなるって、どう云う意味の『何とかなる』?」
「ちゃんと運転出来るかはともかく、加速度による体への負担は何とかなる、って事」
「運転出来ないヤツは居るか?」
「原付と同じなら何とか」
「同じく」
「俺も」
 声を上げたのは、あたしと荒木田さんと今村君。
「で、もし、大量の子供が居たら……」
「この車を遠隔操作で運転して『九段』まで行かせる……。最悪は……先方が使ってる船を奪う」
「船の運転って……」
「俺が出来る」
 手を上げたのは「おっちゃん」。
「あと、最悪、バイクは捨ててもいい。ナンバープレートは偽装してるし、販売記録も、どこにも残っていない筈だ」
「そう言や、確かに見た事無い車種だなぁ……」
「とは言っても、部品から足が付く可能性が有るんで……捨てる場合は自爆装置を起動させろ。起動方法は……」
 そう言って、「おっちゃん」は自爆の方法を説明した。
「自爆機能が有るって事は……このバイクを爆弾代りに使うとか……」
「不可能じゃないし、やった事は以前に何度も有る」
「車の遠隔操作は?」
『今、追従機能をONにした。1台だけ操作すれば、残りの2台は、それを追っていく筈だ』
 無線経由で望月君の声。なるほど、自動運転式の大型トラックで使われてるアレか。
『あと……あいつの事は……何て呼べばいいんですか? たしか、基本、コードネームでしたよね?』
「あいつか……」
『じゃあ、「スーちゃん」で……』
 無線から聞こえたのは、瀾って子の声。
「帰り付いたの?」
『ああ。二一時以降なら手助けぐらい出来る』
「お前の師匠にバレたら、また、ややこしい事になるぞ」
『覚悟の上です』
「あの……ところで『スーちゃん』って……」
『昔のアニメに出てきた恐竜の名前だが、何か?』
『ところで、えっと「スーちゃん」が、以前、言ってた車両の遠隔操作機能は流石にまだ実装されてませんよね』
 続いて望月君の声。
「何の事だ?」
『えっと……以前、「スーちゃん」が四輪バギーATVを遠隔操作でドリフト走行させろって』
「何の為にだ⁉」
 複数の口が同時に同じ疑問の声を上げた。
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