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第三章:絶地7騎士 ― The Magnificent Seven ―

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「小僧はどうした?」
 「おっちゃん」と呼ばれてる六〇ぐらいの、ビミョ~に滑舌が悪い、黒白入り混じって灰色に見える短かい髪の小柄な男の人はそう言った。
「帰した。夕方に姐御の送り盆が有るんで、それに間に合うように」
 そう答えたのは、新しく応援に来た一八〇㎝ぐらいの身長の二〇代前半ぐらいの男の人。
 どうやら「小僧」ってのは、瀾って子の事らしい。瀾は「今年、初盆だ」とか言ってたので、その「姐御」ってのが、何かの理由で死んだ瀾の家族なのだろう。
 あたし達は「有楽町」と「九段」の間あたりに有るカラオケ屋に集合していた。
 後方支援が、ヒゥ君と望月君。
「また、あんたと一緒?」
 そう言ったのは「猿丸」と名乗る二〇代後半ぐらいの女の人。猿1匹と人間1人で「1組」の「魔法使い」。「魔法を使える」のは猿の体を通してだけみたいで、この人は、その「猿」と感覚を共有出来るけど、その間は動けない。だから、この人も「作戦」時には安全な場所で待機。
「何で、そう、毎度、嫌そうな顔すんの?」
 新顔の男の人がそう言う。
「だって、コードネームが被ってるでしょ、猿絡みで」
 新しく来た男の人のコードネームは「ハヌマン」。インド神話の猿の姿の神様にちなんだ名前らしい。
「ところで『小坊主』、お前はいいのか?」
 そう言われたのは、新しく応援に来た、もう1人の人。二〇代半ばぐらい。髪が短かい上に作務衣姿なので、本当にお坊さんかも知れない。
「一番、忙しい時期は過ぎましたので」
 前線に出るのは、「おっちゃん」、「ハヌマン」、「猿丸」の猿の方、「小坊主」、今村君こと「早太郎」、荒木田さんこと「ダークファルコン」、あたしこと「ルチア」の合計7人。
 肉弾戦や銃撃戦の担当が、「おっちゃん」、「ハヌマン」、今村君。残りの4人が魔法っぽいモノの担当。
「で……成功の保証は?」
 あたしは、リーダー格らしい「おっちゃん」に、そう聞いた。
「不確定要素が多過ぎる……。でも、今回失敗しても、俺達の仲間がこの件を追い続ける。失敗した場合は、後は、大人に任せろ」
「でさぁ、どう考えても、裏に『神保町』の自警団が居るっぽいんだけど……奴らの目的は何なの?」
「あの『神保町』の自警団のリーダー……見た事が有る」
「えっ? どこで?」
「一〇年前……富士の噴火の後」
「どう云う事?」
「富士の噴火の時に、石川智志さとしが助けた子供の1人を引き取った。どうも、そいつの姉だか兄だかの娘だったらしい」
「いや……ちょっと待ってよ。何で、そんな事を知ってるの?」
 あたしは、「おっちゃん」にそう聞いた。そう言えば、この「おっちゃん」の顔に……見覚えが……。
「あの時、俺達は……富士の噴火の救援に行っていた。……まぁ、俺は……人殺ししか能がえんで、大して役に立たなかったがな……。そして、そこで……」
 そう言って、「おっちゃん」は携帯電話Nフォンの画面を見せた……。
 画面に表示されている写真には……火山灰に覆われた廃墟を背景に、2つの銀色の「鎧」と1つの「水城みすき」、そして、他の2つの「鎧」とは明らかに設計が違う、二〇世紀のTVの子供向けヒーロー番組に出て来てもおかしくない外見のくすんだ色の「鎧」が映っていた。
 銀色の「鎧」の1つは、残り2つの「鎧」や「水城みすき」より一回り大きい。
 1つだけ外見が違う「鎧」の左胸には、「本土」の警察機構「レコンキスタ」のマークである「菊水」の刻印が有るけど、ネットで見た「レコンキスタ」のレンジャー隊の強化服パワードスーツとも、見た目が全く違う。
 銀色の2つの「鎧」は、実用本位のいかにも工業製品と言った感じのシンプルな外見で、肘や手首や膝に格闘用らしい「棘」さえ無ければ、「表面の装甲部分の割合が大きいだけの民生用の強化服パワードスーツ」にも見えない事も無い。
 それに、3つの「鎧」の外見は、どれも明らかに変だ。「水城みすき」や「レコンキスタ」のレンジャー隊の強化服パワードスーツの強化服には、バッテリーなんかを格納する為の大き目の「バックパック」が有るが、3つの「鎧」には、バックパックらしい部品は有るけど……バッテリーを格納出来るほどの大きさが無い。
 一体全体、この3つの「鎧」の動力源は何なんだろう?
 そして、「水城みすき」の着装者はヘルメットを取っており……。
「こ……これって……」
 後に欠ける事になる、勇気のお父さんの「水城みすき」の左肩の装甲には、この時、既に大きな傷が有った。
「レナと言ったな……。ひょっとしたら、あんた……あの時、俺達が、石川智志さとしに預けた子供なのか?」
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