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第二章:未来昔日 ― Days of Future Past ―
(ⅱ)
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「おい、レナ……あの……さっきの事、謝りたくて……ええっと……居るか?」
レナの部屋の中からは返事が無く、電話にも出ない。
「居ません。この部屋の中には誰も。余程、とんでもない隠形術の使い手なら話は別ですが」
俺に付いて来た2人のスキンヘッドの片方が、携帯電話で連絡する。
「ええっと……『魔法使い』も、こう言う時には携帯電話を使うの?」
「当り前だろ。あと、この辺りに結界が張られてるが、どう云う事だ?」
返事と質問をやったのは、もう1人のスキンヘッド。
「え?……いや待って、たしか、『本土』から来た『御当地ヒーロー』の中に、その手の『魔法使い』が……。ところで結界って、どんなの?」
「『魔法使い』や強力な呪物を持ったヤツが出入りした事を検知するタイプのヤツだ。多分、俺達がここに来た事はバレてる。で、その『本土』から来た『魔法使い』は、どんな奴だ? 流派なんかは判るか?」
「ええっと……猿の方しか見てない……」
「猿?」
「なんか、猿と人間の1人と1匹で1組の『魔法使い』で……人間の方は見てない。で、魔法が使えるのは猿の方だとか……」
「聞いた事有るか、そんな流派?」
もう片方のスキンヘッドは首を傾げる。
「あと、他の 『本土』から来た他の連中って、どんなヤツらなんだ?」
「後方支援が2人」
「後方支援?」
「よく判んないけど、ドローンの操作とかみたい」
「他には?」
「変身能力者が1人、よく判んないけど魔法みたいな力を使えるのが、ええっと……『本土』から来たのが1人で、元から『秋葉原』に居たのが1人。あと1人は、どんなのか聞いてない」
「何だ、その『魔法みたいな力』って?」
「良く判んない。本当に魔法みたいにしか見えないけど、魔法とは別だとか言ってた」
「具体的には、どんな真似が出来るんだ?」
「爆発を起したり、監視カメラなんかを熱で壊したり、人間の体温を上げて気絶させたり……」
「待て。それって、元から燃えてる炎を操ったとか、火薬やガソリンなんかを燃やしたり爆発させた火種だけが『魔法』だったとかじゃなくて、何も無い所で爆発を起したのか?」
「え……ああ、そうだけど……」
「それ、本当に『魔法』か? 爆発の規模にも依るが、普通の魔法使いは……物理現象を起す『魔法』より、何て云うかな……普通の人間からすると『呪い』みたいに見える魔法の方を覚えようとするモンなんだが……」
「どう云う事?」
「つまり、人を殺したりするだけなら、物理現象を起こす魔法は効率がクソ悪いんだ。例えば、同じ程度の素質の奴が、2人居て、片方が人を呪い殺す『魔法』を、もう1人が熱を操る『魔法』を覚えようとしたとする。そして、両方が同じ位の努力をして、何年か経つ……。人を呪い殺す『魔法』を学んだ方は、一般人を簡単に呪い殺せるようになってるが、熱を操る『魔法』を学んだ方は、ようやくライターの火ぐらいの熱量を生み出せるようになっただけ……。こう云う感じが普通だ」
「威力は良く判んないけど……爆発は、結構大きい爆音と爆風が起きてた。……どうも、生まれ付きか……ある日突然使えるようになったみたい……いや……あいつらが言ってた事から推測すると、だけど」
「普通の『超能力』だとしても変だな……。俗に言う『超能力』も『魔法』の一種みたいなモノだ。生まれ付きだとしても、魔法と同じ原理に基く能力の筈なんで、そこまで強力な物理現象を起せるとは考えにくいんだが……」
「あの……まさか……アレじゃ?」
「『アレ』? 何の話だ?」
「一〇年前の富士山の噴火の原因だとか言われてる……その『魔法使いにとっての魔法使い』みたいな連中じゃ……?」
さっきまで、電話でリーダー格と話してたスキンヘッドがそう言った。
「……いや……流石に都市伝説だろ……」
「でも、『靖国神社』が『本土』に進出しないのは、博多かどっかに、その手の『御当地ヒーロー』が居るからだ、って噂が有りませんでしたっけ? 何でも、他の『死霊使い』が呼び出した『死霊』の支配権を無条件で奪う能力が有る『他の全ての死霊使いにとっての天敵』みたいな『死霊使い』が居るって話ですよ」
「それが?」
「だから、その博多の『死霊使い』が、言うなれば『魔法使い』にとっての『魔法使い』みたいなヤツだとしたら……」
「いや、そりゃ、その噂が本当だったらの話だろ」
「でも……その……3月に久留米で起きたアレも……」
「あれも……ヤクザ同士の抗争じゃないのか? 迫撃砲やガトリング砲や国防戦機まで使った馬鹿が居たらしいだろ」
どう云う事なんだ? 話は半分ぐらいしか理解出来ないが……おい……待て……まさか……一〇年前の富士の噴火の原因は……レナなのか?
レナの部屋の中からは返事が無く、電話にも出ない。
「居ません。この部屋の中には誰も。余程、とんでもない隠形術の使い手なら話は別ですが」
俺に付いて来た2人のスキンヘッドの片方が、携帯電話で連絡する。
「ええっと……『魔法使い』も、こう言う時には携帯電話を使うの?」
「当り前だろ。あと、この辺りに結界が張られてるが、どう云う事だ?」
返事と質問をやったのは、もう1人のスキンヘッド。
「え?……いや待って、たしか、『本土』から来た『御当地ヒーロー』の中に、その手の『魔法使い』が……。ところで結界って、どんなの?」
「『魔法使い』や強力な呪物を持ったヤツが出入りした事を検知するタイプのヤツだ。多分、俺達がここに来た事はバレてる。で、その『本土』から来た『魔法使い』は、どんな奴だ? 流派なんかは判るか?」
「ええっと……猿の方しか見てない……」
「猿?」
「なんか、猿と人間の1人と1匹で1組の『魔法使い』で……人間の方は見てない。で、魔法が使えるのは猿の方だとか……」
「聞いた事有るか、そんな流派?」
もう片方のスキンヘッドは首を傾げる。
「あと、他の 『本土』から来た他の連中って、どんなヤツらなんだ?」
「後方支援が2人」
「後方支援?」
「よく判んないけど、ドローンの操作とかみたい」
「他には?」
「変身能力者が1人、よく判んないけど魔法みたいな力を使えるのが、ええっと……『本土』から来たのが1人で、元から『秋葉原』に居たのが1人。あと1人は、どんなのか聞いてない」
「何だ、その『魔法みたいな力』って?」
「良く判んない。本当に魔法みたいにしか見えないけど、魔法とは別だとか言ってた」
「具体的には、どんな真似が出来るんだ?」
「爆発を起したり、監視カメラなんかを熱で壊したり、人間の体温を上げて気絶させたり……」
「待て。それって、元から燃えてる炎を操ったとか、火薬やガソリンなんかを燃やしたり爆発させた火種だけが『魔法』だったとかじゃなくて、何も無い所で爆発を起したのか?」
「え……ああ、そうだけど……」
「それ、本当に『魔法』か? 爆発の規模にも依るが、普通の魔法使いは……物理現象を起す『魔法』より、何て云うかな……普通の人間からすると『呪い』みたいに見える魔法の方を覚えようとするモンなんだが……」
「どう云う事?」
「つまり、人を殺したりするだけなら、物理現象を起こす魔法は効率がクソ悪いんだ。例えば、同じ程度の素質の奴が、2人居て、片方が人を呪い殺す『魔法』を、もう1人が熱を操る『魔法』を覚えようとしたとする。そして、両方が同じ位の努力をして、何年か経つ……。人を呪い殺す『魔法』を学んだ方は、一般人を簡単に呪い殺せるようになってるが、熱を操る『魔法』を学んだ方は、ようやくライターの火ぐらいの熱量を生み出せるようになっただけ……。こう云う感じが普通だ」
「威力は良く判んないけど……爆発は、結構大きい爆音と爆風が起きてた。……どうも、生まれ付きか……ある日突然使えるようになったみたい……いや……あいつらが言ってた事から推測すると、だけど」
「普通の『超能力』だとしても変だな……。俗に言う『超能力』も『魔法』の一種みたいなモノだ。生まれ付きだとしても、魔法と同じ原理に基く能力の筈なんで、そこまで強力な物理現象を起せるとは考えにくいんだが……」
「あの……まさか……アレじゃ?」
「『アレ』? 何の話だ?」
「一〇年前の富士山の噴火の原因だとか言われてる……その『魔法使いにとっての魔法使い』みたいな連中じゃ……?」
さっきまで、電話でリーダー格と話してたスキンヘッドがそう言った。
「……いや……流石に都市伝説だろ……」
「でも、『靖国神社』が『本土』に進出しないのは、博多かどっかに、その手の『御当地ヒーロー』が居るからだ、って噂が有りませんでしたっけ? 何でも、他の『死霊使い』が呼び出した『死霊』の支配権を無条件で奪う能力が有る『他の全ての死霊使いにとっての天敵』みたいな『死霊使い』が居るって話ですよ」
「それが?」
「だから、その博多の『死霊使い』が、言うなれば『魔法使い』にとっての『魔法使い』みたいなヤツだとしたら……」
「いや、そりゃ、その噂が本当だったらの話だろ」
「でも……その……3月に久留米で起きたアレも……」
「あれも……ヤクザ同士の抗争じゃないのか? 迫撃砲やガトリング砲や国防戦機まで使った馬鹿が居たらしいだろ」
どう云う事なんだ? 話は半分ぐらいしか理解出来ないが……おい……待て……まさか……一〇年前の富士の噴火の原因は……レナなのか?
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