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第一章:宿怨 ― Hereditary ―
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「で……あの人達も……死んだの?」
「1人だけ生きてる奴が居る。あのトラックの陰だ」
荒木田さんが指差したトラックは業務用みたいで、「飲食店用消耗品 卸売 イワサキ商店」と云うロゴが描かれていた。
「さっきのビルの奴らから奪った拳銃、まだ有るか?」
「はい」
「居るのは判ってる。出て来い。こいつらを呪い殺したのもお前か?」
荒木田さんは、あたしから受け取った拳銃を構えると、そう大声でそう言った。
「素人の構え方だな。何で覚えた? アニメか? アクション映画か? それとも、何かのゲームか?」
若い男の声。そして、声の主らしい男がトラックの陰から姿を見せた。
明る目の灰色の作業着に同じ色の帽子。作業着の胸のポケットの辺りと、帽子には、トラックに描かれているのと同じロゴが入っている。
「この大騒ぎの原因はお前らか? まぁ、いい。逃げ場に困ってるなら助けてやる。ただ、後で事情は聞かせてもらう。あと、少し手伝ってもらえるか?」
「待て……お前……」
勇気が、その男を見て飛び出しかけた。
「落ち着け……そもそも、君の父親を殺したヤツだと言ってたが……奴は君の顔を知ってるのか?」
「……それが……変です。『使い魔』は俺の親父を殺したヤツなのに……あいつは……俺の親父を殺した『魔術師』じゃない。俺の親父を殺したのは……女でした」
「そうか……。おい、そもそも、あんたは誰だ?」
「今からやる事を手伝ってもらえば判る」
そう言って、その作業着の男はトラックの中から何かを取り出し始めた。
「すまん、こっちのホースを、このポリタンクに繋いでくれ」
「判った」
男が取り出したのは、五L入りぐらいのポリタンクと、そのポリタンクと同じ位の大きさで、2本のホースが出ている何かの機械。
「見た事有る?」
「さぁ?」
荒木田さんは、男の指示に従って、機械のセットアップを手伝っているが……高専の機械科の筈のあたしと勇気にも、何の機械か良く判らない。
「すまん、ちょっと離れてくれ。近くに居ると、あんたの服が汚れるかも知れないんでな」
「判った」
男がそう言うと、荒木田さんは、あたし達の所に戻って来た。
「あれ、何の機械でした?」
「判らん……。ただ、ポリタンクには『消毒用エタノール』と書いて……」
『おい……何%のヤツだ?』
携帯電話の向こうの誰かが質問。
「九〇%って書いてあった」
『消毒用にしては濃度が高過ぎる。念の為だ。そっちに向けて、火をブッ放された場合を考えて対処する準備をして……』
「ああ、だけど……自分のトラックに消毒用アルコールをかけてる」
『はぁ?』
するとトラックに描かれていたロゴが段々と流れ落ち……その下から現われたのは……。
「何だ、あのマークは?」
「『秋葉原』の自警団『サラマンダーズ』のマークです」
トカゲにも、ドラゴンにも見える赤いマークだった。
「すまん、反対側もやるんで、これ運ぶの、誰か手伝ってくれ」
男は、あたし達に、そう声をかけた。
「1人だけ生きてる奴が居る。あのトラックの陰だ」
荒木田さんが指差したトラックは業務用みたいで、「飲食店用消耗品 卸売 イワサキ商店」と云うロゴが描かれていた。
「さっきのビルの奴らから奪った拳銃、まだ有るか?」
「はい」
「居るのは判ってる。出て来い。こいつらを呪い殺したのもお前か?」
荒木田さんは、あたしから受け取った拳銃を構えると、そう大声でそう言った。
「素人の構え方だな。何で覚えた? アニメか? アクション映画か? それとも、何かのゲームか?」
若い男の声。そして、声の主らしい男がトラックの陰から姿を見せた。
明る目の灰色の作業着に同じ色の帽子。作業着の胸のポケットの辺りと、帽子には、トラックに描かれているのと同じロゴが入っている。
「この大騒ぎの原因はお前らか? まぁ、いい。逃げ場に困ってるなら助けてやる。ただ、後で事情は聞かせてもらう。あと、少し手伝ってもらえるか?」
「待て……お前……」
勇気が、その男を見て飛び出しかけた。
「落ち着け……そもそも、君の父親を殺したヤツだと言ってたが……奴は君の顔を知ってるのか?」
「……それが……変です。『使い魔』は俺の親父を殺したヤツなのに……あいつは……俺の親父を殺した『魔術師』じゃない。俺の親父を殺したのは……女でした」
「そうか……。おい、そもそも、あんたは誰だ?」
「今からやる事を手伝ってもらえば判る」
そう言って、その作業着の男はトラックの中から何かを取り出し始めた。
「すまん、こっちのホースを、このポリタンクに繋いでくれ」
「判った」
男が取り出したのは、五L入りぐらいのポリタンクと、そのポリタンクと同じ位の大きさで、2本のホースが出ている何かの機械。
「見た事有る?」
「さぁ?」
荒木田さんは、男の指示に従って、機械のセットアップを手伝っているが……高専の機械科の筈のあたしと勇気にも、何の機械か良く判らない。
「すまん、ちょっと離れてくれ。近くに居ると、あんたの服が汚れるかも知れないんでな」
「判った」
男がそう言うと、荒木田さんは、あたし達の所に戻って来た。
「あれ、何の機械でした?」
「判らん……。ただ、ポリタンクには『消毒用エタノール』と書いて……」
『おい……何%のヤツだ?』
携帯電話の向こうの誰かが質問。
「九〇%って書いてあった」
『消毒用にしては濃度が高過ぎる。念の為だ。そっちに向けて、火をブッ放された場合を考えて対処する準備をして……』
「ああ、だけど……自分のトラックに消毒用アルコールをかけてる」
『はぁ?』
するとトラックに描かれていたロゴが段々と流れ落ち……その下から現われたのは……。
「何だ、あのマークは?」
「『秋葉原』の自警団『サラマンダーズ』のマークです」
トカゲにも、ドラゴンにも見える赤いマークだった。
「すまん、反対側もやるんで、これ運ぶの、誰か手伝ってくれ」
男は、あたし達に、そう声をかけた。
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