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第1章:ミッドナイト・ライダー

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 どう考えても……何とかなるとは思えない。
 ともかく、僕は……シュネやローアと合流すべく走った走った走った。
 シュネやローアも殺されてる可能性が高い。
 で……でも……それでも、もし生きてたなら、力を合わせる方が生き延びる事が出来る確率は高くなる筈筈筈筈筈筈筈……。
 ブンッ‼
 突然のその音と共に……ボクの鎧の胸部装甲が切り裂かれる。
 けど……大丈夫だ……鎧だけで済んだ。
 僕の体まで、刃は届いて……ああああ……こ……この人まで……アンデッドになってたのか……。
 僕の目の前に居たのは、「黄金龍の勇者」のパーティーのドワーフの戦士シュヴァルツ・トロンベだ。
 当然ながら……武術近接戦闘の腕前は……天と地ほどの差が有り……そして、聖剣の力は、さっき使い切った。
 マズい……マズい……マズマズマズズママズい……。
 でも、ドワーフの身長は、小人症の人間ほどしかない。
 だって、今の時代のドワーフの大半は、小人症の人間を改造して作ってんだから。
 だから……さっきと同じだ。
 僕たちのパーティーのドワーフ戦士のシュタールが、鬼強い謎の看板娘に(新しいシュタールを調達する費用の事は後で考えよう)時と同じだ。
 注意すべきは胴体や足を狙った攻撃。
 あの身長で僕の頭や首を狙うなら……体勢に無理が出て、威力やスピードは落ちる……。
 ガチャン。
 ……筈。
 ガチャン。
 って、何だよ、この音?
 えっ?
 シュヴァルツ・トロンベの鎧の手足の部分が展開し……でも、中に有るのは生身の手足じゃない……。
 おい……。
 ガチャン。ガチャン。ガチャン。
 今晩、何度目の「嘘嘘嘘嘘嘘」だ?
 シュヴァルツ・トロンベの両手両足は……機械からくり仕掛けの義手・義足だった。
 それが……伸びた。
 手足ともに倍ぐらいに……。
 もちろん、もう既に「普通の人間より背が低いんで、普通の人間の首や頭部を狙うのは困難」なんて弱点は消えている。
 しかも……良く見ると……手首と肘の間、肘と肩の間、股関節と膝の間、膝と足首の間……計8個の……生身の人間には無い関節まで有る。
 ああああ……う……うそ……これが……黒いシュヴァルツ竜巻トロンベっての由来か……。
 ごおッ‼ ごおッ‼ ごおッ‼ ごおッ‼
 並の戦士なら、両手を使わないと巧く扱えないような重戦斧を片手に1つづつ。二刀流ならぬ二斧流。
 そして……腕の力だけじゃなくて、全身の筋肉(義手・義足の人工筋肉含む)を総動員した動き。
 更に、脚と腕の関節は増えてるんで……竜巻トロンベそのもののスピード……。
 思わず、腰を抜かしたから……ギリギリで避ける事が……。
「ぐがっ?」
「あがっ?」
 シュヴァルツ・トロンベの斧の斬撃は……僕を追って来た「黄金龍の勇者」の脳天をカチ割り……。
「がががが……」
 アンデッドになっても、まだ、仲間意識が有るのか……かつての仲間を誤射してしまったシュヴァルツ・トロンベは……うろたえ……そして……。
「ぐがあッ‼」
 僕の憧れの人の成れの果ては……怒りの声と共に剣を振ると、闇の霊気オーラの刃を飛ばし……。
 シュヴァルツ・トロンベの体は真っ二つになり……でも、「黄金龍の勇者」の体も……力を使い果たしたのか……煙と腐汁に変わってゆき……。
 何が……起きたのか理解するまでじかんがかかった。
 でも、もう……ああ、ぼくのあたまはさえてる。
 ぼくが……さいきょうパーティーのリーダーとドワーフせんしをひとりでたおしたんだ。
 あははは……。
 ぼくがさいきょうだ。
 ぼくが……ぼうけんしゃになるっていったときに「なにゆめみてんだよ」とばかにしたじもとのやつらのいうことにみみをかたむけなくてよかった。
 ゆめじゃない。
 ゆめじゃない。
 ゆめじゃない。ゆめじゃない。ゆめじゃない。そうだ、ゆめじゃない。
 こんばん、このとき、このただいま……ぼくたちのパーティーこそがだいばんじゃくふどうのランキング1いになった。
 うきゃきゃきゃきゃッッッッ♥
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