この祠壊しちゃった。多分、俺は死ぬ。

蓮實長治

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この祠壊しちゃった。多分、俺は死ぬ。

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「あの……ボク、この近所の者ですけど……」
 嘘だ。本当は、ボクの家は一駅ほど先に有る。
 最寄り駅から2㎞ほど先に有る公立図書館に行く途中だっただけだ。
「もしかして、その祠、壊しちゃったんですか?」
 小さな壊れた祠の前に立って呆然とした表情になってる中年と初老の間ぐらいの男に、ボクは、そう言った。
 しかし、最近流行りのネットミームそのまんまの状況だ。
「俺が壊した訳じゃないんだけどさ……もうすぐ、俺、死んじまうな……。どうしよう?」
 男は妙な事を言い出した。
「えっ? 誰が壊したの?」
「誰になるんだろうなぁ……? 俺なのかなぁ?」
「さっきと言ってる事違いません?」
「あるいは……さっき、ここを通りがかった中学生ぐらいの女の子かなぁ……?」
「その女の子のせいだったら……その女の子は……えっと……」
「ここに祀られてた……しょ~もねえ糞雑魚の神様モドキ程度じゃあ、その女の子には、ちっとも敵わねえのよ。だから、その女の子は祟られない」
「えっ? ええ? 何を言ってるんですか? その話が本当なら、何で、そんな事を知ってるんですか?」
「いやさ、最近流行りの言葉だと、セクハラつ~の? たまたま、この近くを俺の好みのタイプの女の子が通りがかったんで、それをやろうとした訳よ」
 おい……何を言ってるんだ、このおっちゃん?
 それに何かが……変……。
「ところがさ、最近流行りの言葉だとメスガキつ~の? ともかく、
 おっちゃんの姿は……段々、半透明に……って、どうなってんだよ?
「呪詛返しっての知ってる? そのメスガキにイタズラしようとしたら……何十倍か何百倍もの呪詛返しを食っちゃった訳よ……あははは……。ここで、200年ぐらい神様扱いされてきたけど……俺も、年貢の収め時かな?」
 おっちゃんは、一瞬だけ何とも表現し難い化物みたいな姿になると……煙のように消えて居なくなった。
 化物の姿だったので、本当にそうなのかは良く判らない。
 けど、おっちゃんの最後の表情は……まるで地獄の苦しみを受けてるかのようだった。
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