魔導狂犬録:I need a hero!!

蓮實長治

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プロローグ

この街捨てる俺を許してくれ

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「おい、葛城のおっちゃん、また、ヘマやったのかッ⁉」
「判りませんッ‼」
「自信有りげに言うんじゃねえッ‼」
 ドゴオッ‼
 俺は、うっかり、である新入りを(そう言や、何て名前だったっけ?)をでブン殴ってしまった。
 こいつは、地元の三流私立高校……要は公立高校に入れなかった場合の滑り止めの中でも、かなり下の方の学校だ……を先月末に卒業したはいいが、阿呆な上に高校時代に「やんちゃ」をやり過ぎて、ヤクザ(ただし、自分で何かを判断しなくてもいい殴り込み専門の使い捨て要員)か警察の特殊部隊(とは言っても、同じく早い話が、頭が残念でも何とかなる殴り込み専門の使い捨て要員)しか就職先が無くて、まあ、長生き出来そうなヤクザの方を選んだボンクラの1人だ。
 俺は、今、形態なんで、身体能力は人間の姿の時の2~3割増しな上に、皮膚は9㎜パラが命中したぐらいだったら骨や内臓まで達しない程度には頑丈になってる。
「あ……すまん……うっかり……」
「え……えっと……大丈夫っす」
 俺の親父が立ち上げた野口組は、小倉に本部が有る「青龍敬神会」の3次団体だ。
 主なシノギは、同じ系列の他の組から依頼された荒事。あと、これまた同じ系列の他の組がやってる芸能興業の手伝い(主に肉体労働)だ。
 今日も今日とて、熊本を拠点にするライバル組織「龍虎興業」がウチの上部組織の縄張りショバに作った橋頭堡 兼 麻薬密売所を潰しに来たら……何と、ライバル組織の構成員はブチのめされ完了。
 どうやら、警察やライバル組織より厄介な通称「正義の味方」「御当地ヒーロー」どもの仕業らしい。
『若ぁ~、後藤が足を切られ……ギャア~ッ‼』
 何とか血路を切り開かせようと下の階に向わせた和田から連絡。
 おい、どうなってんだ?
 ウチの組の唯一の「魔法使い」系である葛城忠雪ただゆきは、かなり強力な「同業者魔法使い」系の気配がしたとか言ってたのに……仲間達は姿が見えない何者かの物理攻撃で次々とやられている……と言っても、殺された訳じゃなくて、戦闘不能になる程度の負傷だが……。
 でも、と、ラノベやマンガやRPGに出て来る魔法は別物だ。魔法に関しては素人の俺でも、それ位は知っている。姿
「葛城の阿呆……どこ行った? どうなってるんだ一体……?」
 この謎を解けるヤツが居るとしたら……ボンクラに関しては残念ながら三流高校を出たばかりの新入りどもとどっこいどっこいの、あの「魔法使い」だけだ。
 ふと……近くの窓から外を見下ろすと……えっ?
 俺達がここまで乗って来た……ネット上で「誘拐犯御用達」扱いされてる車種のバンが走り出し……。
「あの野郎、逃げやがったのかッ?」
 葛城のおっちゃんは、一〇年ばかり前の富士山の歴史的大噴火による旧首都圏壊滅の後に、九州こっちに流れて来たチンピラ魔法使いだ。
 どうやら火山灰に埋まる前の関東に居た頃は魔法使い系暴力団の一員だったらしいが……腕はそこそこだが、ちょっと性格的に問題が有って……ん?
 窓の外に変なモノが居た。
 そいつと目が合った。
 おい、待てよ……。
 ここ町中の雑居ビルの4階だぞ?
 そいつは……ポケットがやたらと多いベストと、ナイフが何本かブラ下ってるベルトを身に付けた……
 猿の口が微かに動き……そして……。
 ごおぉッ‼
 俺は目に見えない「何か」を浴びて、よろけ……嘘だろ……。
 おい、全部、こいつの仕業か?
 こんなフザケた「正義の味方」「御当地ヒーロー」が居てたまるかッ‼
 使……。
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