Storm Breakers:第一部「Better Days」

蓮實長治

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終章:一週間後

シルバー・ローニン(1)

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「護国軍鬼が必要な理由がコレか?」
 約一週間後の夜、私達は山口県内に有る長門ながとTCAに居た。
「ああ。この野郎を『外』に持ち出した事を……こいつを改造した奴に気付かれたら、こいつの脳内の機器を遠隔操作されて、この野郎は死ぬ。そうなったら、得られる情報が減る」
 あさひの「魔法」の師匠である関口ひなたは、私にそう説明した。
 その人物を拉致したのは、何年もこの「稼業」をやっているベテランのメンバー達だ。
 対象ターゲットは、この長門ながとTCAの「東京派」の政治家。
 麻酔薬で意識を失なっている。
「音声記録スタート。確保時に金属探知機で検査した結果、頭部に金属を検出。この対象ターゲットも脳改造をされている可能性が高い。ただし、筑豊TCAの『東京派』の政治家より、頭部内の金属成分は少ない可能性あり。では、CTスキャナを起動する」
 護国軍鬼のエネルギー源である「幽明核カーネル」が生み出す馬鹿げた大電力が、大型トラックに積まれているに供給される。
『かなり馬鹿デカい線量のX線が出る筈だ。「護国軍鬼」の装甲で防げる筈だが、あと2年間は、月に1度は健康診断を受けろ』
 後方支援の瀾師匠より無線連絡。
了解Affirm
 この半月ほどの間で……日本各地に有る二〇箇所近いTCAのほぼ全てで、「東京派」と呼ばれる政治勢力が優勢になり、対立する「大阪派」は、ほぼ壊滅状態になっていた。
 「東京派」は全を脳改造する事で、「大阪派」は全を魔法・超能力などによる精神操作や古典的な洗脳を行なう事で、「約二〇年前の富士山の噴火で旧政府が壊滅する以前の日本」を取り戻そうとしていた。
 「『脳改造』や『精神操作』『洗脳』の対象は、被支配層で、支配者層は脳改造も洗脳も精神操作もされないままとなる」……それこそが、TCAの政治家達がやろうとしている事だ……誰もがそう思っていた。
 多分、TCAの政治家達本人も……。
 だが……筑豊TCAの「東京派」の政治家達を博多で起きたテロの主犯として逮捕した時、とんでもない事が判明した。
 
『マズい。更に想定外の事態が起きた』
「どうした?」
『最低1名は、長門ながとTCAの「東京派」の政治家を外に持ち帰ってくれ。首から上に重大な損傷が無ければ、死んでても構わん。「敵」にこちらの動きを気付かれる可能性も気にするな』
「だから……どうしたんだ?」
『CT画像を見る限り、脳改造されてるのは確かだが……脳改造の方式が明らかに筑豊TCAの政治家とは違う。……それが現時点での医療チームの見解だ』
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