Storm Breakers：第一部「Better Days」

第四章：Let There Be Carnage

シルバー・ローニン(6)

「博多駅に現われた奴は……どうやら量産型だったようだ」
　私は後方支援チームに、そう連絡した。
　廃コンビニのバックヤードには４つの死体が転がっていた。
　２つは、私の撃ったレールガンが死因。
　もう２つは……理由は不明。
　レールガンの弾痕も有るが、「鎧」のＡＩは死後に受けた傷と判断した。
　おそらくは……私を「呪詛」したのだろうが、私が着装している「護国軍鬼」は擬似的とは言え着装者に「神の力」を与える「鎧」。「神を呪った」も同じ真似をすれば、結果は「呪詛返し」だ。
　そして、全員が髪の毛をほぼ剃り落されており、頭部には様々な小型の電子機器を埋め込まれている。
　おそらくは、違法薬物などの手段で「霊力」の底上げを行なうと同時に、脳改造によって精神を外部から操作する事で「霊力の底上げ」に伴う暴走を抑止している「（脳）改造『魔法使い』」。
　中々に胸糞が悪くなる代物だ。
『すまんが、死体をどれか持ち帰ってくれ。調べてみた……』
『駄目、駄目、絶対、駄目ッ‼』
　後方支援チームの指示を旭あさひが遮る。
「どうした？」
『すぐそこから出ろ』
「何故？」
『あ……そっか、その「鎧」着けてると……魔法や霊に関するモノは認識出来なくなるのか……』
「そうだが……何か、魔法的な災害でも……」
『そいつらが死に際に使った「魔法」が暴走してる』
「と言うと？」
『剣呑ヤバい「異界」への「門」が開かれてる……。そいつらの死体を持ち帰ったら……「門」を持ち帰る事になり……』
「待て……この先にも敵と遭遇する可能性が有るのだろう？」
『……おい、何を考えてやがる？』
「何と言われても……私達の任務は『陽動』だろう？ 陽動に使えそうな手を思い付いた」