Storm Breakers：第一部「Better Days」

第四章：Let There Be Carnage

スカーレット・モンク(6)

　一端、旧・飯塚市役所に立てこもり、「敵」を引き付ける。
　それが、あたし達の任務だ。
　だが……。
「急停車っ‼」
　あたしはＡＴＶ四輪バギーの制御ＡＩに命令。
「どうした？」
「体が……動か……」
　何者かが、あたしにかけている「呪詛」と、あたしが着装している強化装甲服パワード・スーツ「水城みずき」にかけられている「防護魔法」が……あくまで「喩え」だが……戦っていた。
　あたしの目には、強烈な電撃のように見える「霊力」が「水城みずき」の表面を駆け巡っているように見えるが……「護国軍鬼」は、ほぼ全ての「魔法」を防ぐ代りに、着装者には一切の魔力・霊力・気の類たぐいが認識出来なくなり……それにともなって、着装者が、もし「魔法使い」「超能力者」でも、その手の能力ちからが一時的に使えなくなる……らしい。
　三〇年近く前……護国軍鬼の最初の試作機を試しに着装した「魔法使い」の感想は……「こんなモノ、二度と使いたくない」だったそうだ。
『何者かに呪詛をされているなら、方向・距離は判るか？』
　後方支援チームから連絡。
「ごく近く……１時から２時の……」
　その方向には……。
「有るのは、一般の建物……。外観からして……現在は営業していないコンビニ」
　輝てるは支援用のヴェロキラプトル型ロボットから擲弾筒グレネード・ランチャーを受け取り……炸裂弾を装填。
『待て……念の為……』
「えっ？」
『そのコンビニに突入しろ』
「えええっ？」
「了解Affirm」
　あたしのＡＴＶ四輪バギーは自動操縦に切り替わり……。
「うわああああ～ッ‼」
　数十秒後、さっきまで居た辺りから爆炎と爆音。
　そして、ＡＴＶ四輪バギー２台は、廃コンビニの窓ガラスを突き破り……。