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第三章:Do the right thing
スカーレット・モンク(9)
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フードで顔を隠した悪の魔法使い……とだけ言えば、大概のヤツが黒一色の姿を思い浮かべるだろう。
だが……そいつが着ていたのは、何かの魔法がかかってるのは確かだが、サラリーマンが背広の上に羽織っても違和感が無いベージュ色のコートで、ズボンもシャツもスニーカーも……黒っぽい色じゃない。
あくまで、普通。
あくまで、一般人。
そんな感じの服装だった。
そして、そいつは……フードを頭から外すと……。
何だ、ありゃ?
そうだ……あたしも最初は油断してた。
こいつがあの2人を狙ってる殺し屋だとしても、多分、その「殺し屋」を派遣したのは「『魔法使い』には精神操作能力が効きにくい」ってのを知識では知ってても、その理由までは知らない阿呆だと。
「魔法使い」に精神操作能力が効きにくいのは、ほとんどの「魔法使い」が基礎訓練の段階で「自分の心を制御する」方法を身に付けさせられる為。
だが……こいつは、自分の「魔力」をダダ漏れさせていた。「魔力」をコントロール出来ないって事は、何かの理由で、自分の心をコントロール出来なくなった可能性が高い。
いや、下手したら……「魔法使い」にも関わらず精神操作が効くかも知れない。
けど……。
ここに居る2人の精神操作能力者の「来るな、帰れ、近付くな」と云う強力な「精神操作」を受けてるのに、平然と近付いて来るのを見て、戦わずに殺し屋を撤退させる事が出来るかも……そんな甘い考えは……捨てざるを得なくなった。
「紫の……女司祭……なのか?」
ん?
男は……変な名前を口にした。多分……欧米系の流派の「魔法使い」の「魔術師名」。
「い……生きてたの?」
そう口にしたのは、レスキュー隊太宰府支部の「魔法使い」。
「し……知り合い……なの?」
「同じ流派の先輩よ。ただ……十五年ぐらい前に、ある組織に拉致され……見付かった時には大量の違法薬物を投与されていた」
「そうだったな……そう言や……あの時の若造はどうしてる? あの……お前が惚れてた小僧だよ……」
「もう居ない。どこに行ったかも判らない」
「そうか……どこかで野垂れ死んでいる事を祈る事にするか……」
2人が言葉を交す度に……嫌な感じが強まる。
どこからともなく……不協和音が響くような……。
そして……男の頭部に埋め込まれたいくつもの正体不明の小型電子機器は……規則性が全くつかめない謎の点滅を繰り返していた。
「博多区の『御当地ヒーロー』チームとレスキュー隊に支援を要請して。そして、この2人を連れて逃げて」
「了解」
そして……2人の「使い魔」らしい、紫色のサーベルタイガーと赤い鳥が現われ戦いを始めた。
だが……そいつが着ていたのは、何かの魔法がかかってるのは確かだが、サラリーマンが背広の上に羽織っても違和感が無いベージュ色のコートで、ズボンもシャツもスニーカーも……黒っぽい色じゃない。
あくまで、普通。
あくまで、一般人。
そんな感じの服装だった。
そして、そいつは……フードを頭から外すと……。
何だ、ありゃ?
そうだ……あたしも最初は油断してた。
こいつがあの2人を狙ってる殺し屋だとしても、多分、その「殺し屋」を派遣したのは「『魔法使い』には精神操作能力が効きにくい」ってのを知識では知ってても、その理由までは知らない阿呆だと。
「魔法使い」に精神操作能力が効きにくいのは、ほとんどの「魔法使い」が基礎訓練の段階で「自分の心を制御する」方法を身に付けさせられる為。
だが……こいつは、自分の「魔力」をダダ漏れさせていた。「魔力」をコントロール出来ないって事は、何かの理由で、自分の心をコントロール出来なくなった可能性が高い。
いや、下手したら……「魔法使い」にも関わらず精神操作が効くかも知れない。
けど……。
ここに居る2人の精神操作能力者の「来るな、帰れ、近付くな」と云う強力な「精神操作」を受けてるのに、平然と近付いて来るのを見て、戦わずに殺し屋を撤退させる事が出来るかも……そんな甘い考えは……捨てざるを得なくなった。
「紫の……女司祭……なのか?」
ん?
男は……変な名前を口にした。多分……欧米系の流派の「魔法使い」の「魔術師名」。
「い……生きてたの?」
そう口にしたのは、レスキュー隊太宰府支部の「魔法使い」。
「し……知り合い……なの?」
「同じ流派の先輩よ。ただ……十五年ぐらい前に、ある組織に拉致され……見付かった時には大量の違法薬物を投与されていた」
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「もう居ない。どこに行ったかも判らない」
「そうか……どこかで野垂れ死んでいる事を祈る事にするか……」
2人が言葉を交す度に……嫌な感じが強まる。
どこからともなく……不協和音が響くような……。
そして……男の頭部に埋め込まれたいくつもの正体不明の小型電子機器は……規則性が全くつかめない謎の点滅を繰り返していた。
「博多区の『御当地ヒーロー』チームとレスキュー隊に支援を要請して。そして、この2人を連れて逃げて」
「了解」
そして……2人の「使い魔」らしい、紫色のサーベルタイガーと赤い鳥が現われ戦いを始めた。
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