39 / 78
第三章:Do the right thing
スカーレット・モンク(3)
しおりを挟む
だが……次の瞬間……嫌な気配を感じた。
茶店の入口に男2人に女1人……。
えっ?
「こっち」では、もう、女でもスカートをする人は……中年以上だけだ。
だが……男の1人が……えっと……昔の萌えアニメ風のメイドのコスプレ?
残りの男1人と女1人は……ほぼ同じ格好。
モスグリーンのカーゴパンツに、同じ色のTシャツ、そして、黒い革の上着。
同じ格好だからと言ってもペアルックって訳じゃなさそうだ。
嫌な感じがしたのは……女だ。
隠す気もない「悪霊憑き」だ。多少でも霊感が有るなら、何か剣呑い霊に取り憑かれてるのが丸判りだ。
今はまだ良いが……3~4年後には、取り憑いてる霊に生命力を吸い付くされるか、脳か体がおかしくなって、「魔法使い」以外にも判り易い言い方をするなら「憑り殺され」るだろう。
3人は手を懐に差し込み……。
輝とビンガーラは席から飛び出す。
「動くな」
「えっ?」
「オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ」
私はTCAから来た女の子に簡易式ではあるが「魔法防御」と「隠形」の術をかける。
そして、3人が拳銃を取り出した次の瞬間……。
「やめなさいッ‼ 銃をしまって、ここから去りなさいッ‼」
「あ、馬鹿、何してる?」
「えっ?」
「折角、『気配を消す』呪法をお前にかけたのに、お前が『力』を使ったら、その術の効力が……」
「で……でも、多少は効いてるみたいよ」
3人は全員、ビクッとして……。
メイド服の男は、やがて、何度も首を横に振り……。
「御坊ちゃま……これだから、貴方は駄目なのです。私が代りに、御坊ちゃまの使命を果たしますわ」
もう1人の男は、何度も瞬きを続け……。
「兄ちゃん……やっぱり、兄ちゃんは俺が居なきゃ駄目だな……。兵役に行くのが嫌で『外』に逃亡しやがった弱虫は引っ込んでろ」
最後の1人の女……。
「おや? そこの奴は『魔法使い』か? なら、判るだろ?」
そうだ……「魔法」的な方法で何かを探ろうとする時、探った相手も「魔法」「超能力」に類する力を持つ者か霊的な存在なら……探った事を気付かれる。
そして、どうやら、女の体に取り憑いていた霊が、表層人格まで支配したようだった。
「太宰府のレスキュー隊に出動要請を頼む。怪我人が出るかも知れん」
ビンガーラが後方支援チームに無線連絡。
「だから、やめてって言ってるでしょッ‼」
TCAから来た女の子が、再度、精神操作能力を行使。
3人の体に、再び一瞬の痙攣……。
しかし……。
「お……おい、僕のアズサに何をするんだッ‼ 許さないぞっ‼」
「お……弟のくせに……おおお……俺を馬鹿にしやがって……。お……俺は……長男だぞ……」
男2人は、また、意味不明な事を言い出し……そして……何かの霊に人格まで支配されていた女は……。
「あれっ? あっ……」
どうやら、元の人格が体と脳の制御を取り戻したらしい。
その時、ビンガーラが何かに気付いたような表情になった。
「もう一度、同じ事をやってくれ」
「で……でも……私の……能力が効いてないみたいな……」
TCAから来た女の子は混乱気味。
今日だけで、何回も精神操作能力が効かない相手に出喰わし……しかも、どう効かないかのパターンが毎回のように違う。
よくよく考えたら、この女の子は、たった数時間の内に、何度も「人生初体験の事態」を経験した事になる。
混乱するのも当然だ。
「一瞬だけ隙を作ってくれ」
ビンガーラがそう言ってる最中に、あたし達は、ハンドサインで誰が誰を狙うかを取り決める。
「わ……判った……。やめなさい、やめて、やめて、やめて」
自分に向けられたモノじゃないのに、渾身の力を込めているのが判る精神操作。
3人は再び体を痙攣させ……さっきよりも長い時間だ。
「我、身命を愛さず、但、無上道を惜しむ」
輝が「火事場の馬鹿力」を引き出すキーワードを唱える。
そして、輝の髪は銀色に、瞳の色は琥珀色に変る。
続いて、ビンガーラの髪が赤く……肌が青く変る。角こそ無いが……「鬼」の姿だ。
そして、あたしは丹田に気を溜め……。
輝の体当りでメイド服の男の体が店の外に吹き飛ばされる。
「吽ッ‼」
あたしの「気弾」が悪霊憑きの女に命中。悪霊は消え去り……。
「ぎゃああああッ‼」
残る1人は、ビンガーラによって、一瞬にして押さえ込まれ……そして「雷を操る青い鬼」の一族の持つ異能によって、高圧電流を全身に流し込まれる。
「こ……これって、一体?」
「次から次へと……面白い手を……考え付きやがるな……」
茶店の入口に男2人に女1人……。
えっ?
「こっち」では、もう、女でもスカートをする人は……中年以上だけだ。
だが……男の1人が……えっと……昔の萌えアニメ風のメイドのコスプレ?
残りの男1人と女1人は……ほぼ同じ格好。
モスグリーンのカーゴパンツに、同じ色のTシャツ、そして、黒い革の上着。
同じ格好だからと言ってもペアルックって訳じゃなさそうだ。
嫌な感じがしたのは……女だ。
隠す気もない「悪霊憑き」だ。多少でも霊感が有るなら、何か剣呑い霊に取り憑かれてるのが丸判りだ。
今はまだ良いが……3~4年後には、取り憑いてる霊に生命力を吸い付くされるか、脳か体がおかしくなって、「魔法使い」以外にも判り易い言い方をするなら「憑り殺され」るだろう。
3人は手を懐に差し込み……。
輝とビンガーラは席から飛び出す。
「動くな」
「えっ?」
「オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ」
私はTCAから来た女の子に簡易式ではあるが「魔法防御」と「隠形」の術をかける。
そして、3人が拳銃を取り出した次の瞬間……。
「やめなさいッ‼ 銃をしまって、ここから去りなさいッ‼」
「あ、馬鹿、何してる?」
「えっ?」
「折角、『気配を消す』呪法をお前にかけたのに、お前が『力』を使ったら、その術の効力が……」
「で……でも、多少は効いてるみたいよ」
3人は全員、ビクッとして……。
メイド服の男は、やがて、何度も首を横に振り……。
「御坊ちゃま……これだから、貴方は駄目なのです。私が代りに、御坊ちゃまの使命を果たしますわ」
もう1人の男は、何度も瞬きを続け……。
「兄ちゃん……やっぱり、兄ちゃんは俺が居なきゃ駄目だな……。兵役に行くのが嫌で『外』に逃亡しやがった弱虫は引っ込んでろ」
最後の1人の女……。
「おや? そこの奴は『魔法使い』か? なら、判るだろ?」
そうだ……「魔法」的な方法で何かを探ろうとする時、探った相手も「魔法」「超能力」に類する力を持つ者か霊的な存在なら……探った事を気付かれる。
そして、どうやら、女の体に取り憑いていた霊が、表層人格まで支配したようだった。
「太宰府のレスキュー隊に出動要請を頼む。怪我人が出るかも知れん」
ビンガーラが後方支援チームに無線連絡。
「だから、やめてって言ってるでしょッ‼」
TCAから来た女の子が、再度、精神操作能力を行使。
3人の体に、再び一瞬の痙攣……。
しかし……。
「お……おい、僕のアズサに何をするんだッ‼ 許さないぞっ‼」
「お……弟のくせに……おおお……俺を馬鹿にしやがって……。お……俺は……長男だぞ……」
男2人は、また、意味不明な事を言い出し……そして……何かの霊に人格まで支配されていた女は……。
「あれっ? あっ……」
どうやら、元の人格が体と脳の制御を取り戻したらしい。
その時、ビンガーラが何かに気付いたような表情になった。
「もう一度、同じ事をやってくれ」
「で……でも……私の……能力が効いてないみたいな……」
TCAから来た女の子は混乱気味。
今日だけで、何回も精神操作能力が効かない相手に出喰わし……しかも、どう効かないかのパターンが毎回のように違う。
よくよく考えたら、この女の子は、たった数時間の内に、何度も「人生初体験の事態」を経験した事になる。
混乱するのも当然だ。
「一瞬だけ隙を作ってくれ」
ビンガーラがそう言ってる最中に、あたし達は、ハンドサインで誰が誰を狙うかを取り決める。
「わ……判った……。やめなさい、やめて、やめて、やめて」
自分に向けられたモノじゃないのに、渾身の力を込めているのが判る精神操作。
3人は再び体を痙攣させ……さっきよりも長い時間だ。
「我、身命を愛さず、但、無上道を惜しむ」
輝が「火事場の馬鹿力」を引き出すキーワードを唱える。
そして、輝の髪は銀色に、瞳の色は琥珀色に変る。
続いて、ビンガーラの髪が赤く……肌が青く変る。角こそ無いが……「鬼」の姿だ。
そして、あたしは丹田に気を溜め……。
輝の体当りでメイド服の男の体が店の外に吹き飛ばされる。
「吽ッ‼」
あたしの「気弾」が悪霊憑きの女に命中。悪霊は消え去り……。
「ぎゃああああッ‼」
残る1人は、ビンガーラによって、一瞬にして押さえ込まれ……そして「雷を操る青い鬼」の一族の持つ異能によって、高圧電流を全身に流し込まれる。
「こ……これって、一体?」
「次から次へと……面白い手を……考え付きやがるな……」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
Neo Tokyo Site 01:第二部「激突‼ 四大魔法少女+2‼ − Asura : The City of Madness −」
蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」で始まる……4人の「魔法少女」と、1人の「魔法を超えた『神の力』の使い手」……そして、もう1人……「『神』と戦う為に作られた『鎧』の着装者」の戦い。
様々な「異能力者」が存在し、10年前に富士山の噴火で日本の首都圏が壊滅した2020年代後半の平行世界。
1930年代の「霧社事件」の際に台湾より持ち出された「ある物」が回り回って、「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo Site01」の「九段」地区に有る事を突き止めた者達が、「それ」の奪還の為に動き始めるが……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)
Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」
蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」の千代田区・秋葉原。
父親の形見である強化服「水城(みずき)」を自分の手で再生させる事を夢見る少年・石川勇気と、ある恐るべき「力」を受け継いでしまった少女・玉置レナは、人身売買組織に誘拐された勇気の弟と妹と取り戻そうとするが……。
失なわれた「正義」と「仁愛」を求める「勇気」が歩む冥府魔道の正体は……苦難の果てにささやかな誇りを得る「英雄への旅路」か、それとも栄光と破滅が表裏一体の「堕落への旅路」か?
同じ作者の「世界を護る者達/御当地ヒーロー始めました」「青き戦士と赤き稲妻」と同じ世界観の話です。
「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。
こちらに本作を漫画台本に書き直したものを応募しています。
https://note.com/info/n/n2e4aab325cb5
https://note.com/gazi_kun/n/n17ae6dbd5568
万が一、受賞した挙句にマルチメディア展開になんて事になったら、主題歌は浜田省吾の「MONEY」で……。
Neo Tokyo Site04:カメラを止めるな! −Side by Side−
蓮實長治
SF
「お前……一体全体……この『東京』に『何』を連れて来た?」
「なぁ……兄弟(きょうでえ)……長生きはするもんだな……。俺も、この齢になるまで散々『正義の名を騙る小悪党』は見てきたが……初めてだぜ……『悪鬼の名を騙る正義』なんてのはよぉ……」
現実の地球に似ているが、様々な「特異能力者」が存在する2020年代後半の平行世界。
「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo」の1つ……壱岐・対馬間にある「Site04」こと通称「台東区」の自警団「入谷七福神」のメンバーである関口 陽(ひなた)は、少し前に知り合った福岡県久留米市在住の「御当地ヒーロー見習い」のコードネーム「羅刹女(ニルリティ)」こと高木 瀾(らん)に、ある依頼をするのだが……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)
青き戦士と赤き稲妻
蓮實長治
SF
現実と似た歴史を辿りながら、片方は国家と云うシステムが崩れつつ有る世界、もう一方は全体主義的な「世界政府」が地球の約半分を支配する世界。
その2つの平行世界の片方の反体制側が、もう片方から1人の「戦士」を呼び出したのだが……しかし、呼び出された戦士は呼び出した者達の予想と微妙に違っており……。
「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。
同じ作者の「世界を護る者達/第一部:御当地ヒーローはじめました」と同じ世界観の約10年後の話になります。
注:
作中で「検察が警察を監視し、警察に行き過ぎが有れば、これを抑制する。裁判所が検察や警察を監視し、警察・検察にに行き過ぎが有れば、これを抑制する」と云う現実の刑事司法の有り方を否定的に描いていると解釈可能な場面が有りますが、あくまで、「現在の社会で『正しい』とされている仕組み・制度が、その『正しさ』を保証する前提が失なわれ形骸化した状態で存続したなら」と云う描写だと御理解下さい。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる