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第二章:Fair Game
シルバー・ローニン(10)
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「や……やった……止まってくれた……」
TCAから来た少女は、車を出た途端にへたり込んだ。
私達を追っていた爆弾付きの車は……筑紫野のキャンプ場に誘い込んだ所で停止した。
遠隔操作をしていたトラックを突き止め……そのトラックを仲間が襲撃したらしい。
「後は爆弾処理チームの仕事だね」
「『スカーレット・モンク』そちらも無事か?」
『無事だ……心臓に悪い事が色々と起きたけど』
「そちらが保護している2人も無事か?」
『大丈夫』
「どうなの?」
「無事だそうだ。2人とも」
「『ビンガーラ』何やったの?」
『色々とね』
コードネーム「ビンガーラ」とコードネーム「ハヌマン・エボニー」はプライベートでは夫婦か恋人同士らしく、早速、ハヌマン・エボニーは爆弾付き車両の遠隔操作を行なっていた者を特定する際にビンガーラが引き起した「不測の事態」が何だったかを問い詰めていた。
「そう言えば、『クリムゾン・サンシャイン』部隊に襲撃された時に居た恐竜型のロボットは、どこ行ったの?」
「彼らは爆弾車両を遠隔操作した者への襲撃に加わっていた」
「えっ?」
「爆弾車両を遠隔操作している者が乗ってる車両にも爆弾が仕掛けられてる可能性が有るだろう」
「あ……言われてみればそうか……」
「あと、着替え持ってきた。町中に戻った時に返り血だらけだと目立つ」
ハヌマン・シルバーは、そう言って、車の荷台から衣服を1セット取り出した。
その衣服の中には……。
「師匠、あのコート、私にくれるのか?」
瀾師匠が若い頃に愛用していた青い迷彩風の模様のインバネス・コート。
『お前、その内、どうせ私よりデカくなるだろ。いつかは入らなくなるぞ』
「そうか……」
『お前が向こうに帰る時に、新しいのを2~3着作ってやる。それまで大事に使え』
「了解」
「太宰府駅前で別れたメンバーと合流する。その後、『敵』の襲撃を避ける為に車で移動しながら……君の弟の治療を行なう」
ハヌマン・エボニーは、TCAから来た少女に、そう説明していた。
そうだ……まだ、何も終っていない。
そして、この姉弟をTCAに帰すか……こちらで生活させるかは……私では関与出来ない「政治的解決」が必要になるだろう。
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「そちらが保護している2人も無事か?」
『大丈夫』
「どうなの?」
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「そう言えば、『クリムゾン・サンシャイン』部隊に襲撃された時に居た恐竜型のロボットは、どこ行ったの?」
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「えっ?」
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「あ……言われてみればそうか……」
「あと、着替え持ってきた。町中に戻った時に返り血だらけだと目立つ」
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その衣服の中には……。
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「そうか……」
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「了解」
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そうだ……まだ、何も終っていない。
そして、この姉弟をTCAに帰すか……こちらで生活させるかは……私では関与出来ない「政治的解決」が必要になるだろう。
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