上 下
23 / 78
第二章:Fair Game

シルバー・ローニン(4)

しおりを挟む
 私とあさひは腕に印刷されているタトゥーをレスキュー隊員に見せる。
 一見、普通のタトゥーだ。
 私のもあさひのも昔の子供向けアニメに出て来た恐竜の絵柄。
「あれ? 一緒か?」
 一応、別の恐竜だが、兄弟と云う設定らしい。
 実のところ、絵柄は何でもいい。重要なのは、このタトゥーの正体がマイクロ・マシンで構成されたGPS機能付発信機と身分証を兼ねた電子回路だと云う事だ。
 皮膚の下の毛細血管から栄養分を少しだけ「横取り」する事で機能しているので、もし、皮膚ごとタトゥーを剥がされたり、最悪、私達が死んだ場合、この「タトゥーに見える電子回路」の機能は失なわれる。
 レスキュー隊員は私達のIDを確認。
「3時間毎にこの抗不安薬を飲ませて下さい。急なパニック症状が起きた場合は、こちらの即効性の薬を注射。ただし、注射の方の薬を使うのは最低限でお願いします。不明点が有れば、そちらの所属チームの後方支援要員サポートメンバー経由で、我々に問い合わせをお願いします」
 私達はレスキュー隊員から説明を受ける。
了解Affirm
了解Affirm
「薬は半分づつ分けて持つか」
「そうだな……」
「じゃ、これ使って下さい」
 私達の会話を聞いていたレスキュー隊員は、そう言って、ファスナー付きの透明なプラスチックパックを取り出した。
「あのさ……そのとしでタトゥーって……その……」
 TCAから来た少女は、困惑したようにそう言った。
「何か問題でも有るのか?」
 私は、そう聞き返した。
「学校の校則とか……」
「問題ない。ウチの学校では別に禁止されてない」
 そう答えたのはあさひ
「訳有って、学校に行ってない」
 続いて、私も答える。
「親が見たら泣くんじゃないの?」
「死んだ」
「居ない。それより、行くぞ」
 そう言って、私は男の子の、あさひは女の子の手を取る。
「ちょっと、ま~くんは私が……」
「駄目だ」
「何で?」
「歩いていく時に、お前らと車道の間に常にあたし達が居るようにする為だ」
 あさひは、そう説明する。
「ああ、それと……あんたも車道側には出るな」
 続いて2人の子供の「保護者」にそう説明。
「えっ……えっと……」
「ちゃんと説明した方がいいかな? 君達が車道側に出るべきでない理由を……」
「どう云う事?」
「何か有ったら……私達の体を盾にしろ」
「へ?」
「あと、見通しの悪い場所を曲がる時は、私達のどちらかが様子を見る前に、絶対に曲がるな」
「あ……あの……まさか……何か変だと思ってたけど、貴方達……えっと……」
「御想像にお任せする」
「息がピッタリだけど……その……慣れてるの?」
「……残念だが、君達を不安にしてしまう事実が1つ有る」
「何?」
「私達は、数日前に初めて会ったばかりで、今日が初任務だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Neo Tokyo Site 01:第二部「激突‼ 四大魔法少女+2‼ − Asura : The City of Madness −」

蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」で始まる……4人の「魔法少女」と、1人の「魔法を超えた『神の力』の使い手」……そして、もう1人……「『神』と戦う為に作られた『鎧』の着装者」の戦い。 様々な「異能力者」が存在し、10年前に富士山の噴火で日本の首都圏が壊滅した2020年代後半の平行世界。 1930年代の「霧社事件」の際に台湾より持ち出された「ある物」が回り回って、「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo Site01」の「九段」地区に有る事を突き止めた者達が、「それ」の奪還の為に動き始めるが……。 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)

Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」

蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」の千代田区・秋葉原。 父親の形見である強化服「水城(みずき)」を自分の手で再生させる事を夢見る少年・石川勇気と、ある恐るべき「力」を受け継いでしまった少女・玉置レナは、人身売買組織に誘拐された勇気の弟と妹と取り戻そうとするが……。 失なわれた「正義」と「仁愛」を求める「勇気」が歩む冥府魔道の正体は……苦難の果てにささやかな誇りを得る「英雄への旅路」か、それとも栄光と破滅が表裏一体の「堕落への旅路」か? 同じ作者の「世界を護る者達/御当地ヒーロー始めました」「青き戦士と赤き稲妻」と同じ世界観の話です。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 こちらに本作を漫画台本に書き直したものを応募しています。 https://note.com/info/n/n2e4aab325cb5 https://note.com/gazi_kun/n/n17ae6dbd5568 万が一、受賞した挙句にマルチメディア展開になんて事になったら、主題歌は浜田省吾の「MONEY」で……。

Neo Tokyo Site04:カメラを止めるな! −Side by Side−

蓮實長治
SF
「お前……一体全体……この『東京』に『何』を連れて来た?」 「なぁ……兄弟(きょうでえ)……長生きはするもんだな……。俺も、この齢になるまで散々『正義の名を騙る小悪党』は見てきたが……初めてだぜ……『悪鬼の名を騙る正義』なんてのはよぉ……」 現実の地球に似ているが、様々な「特異能力者」が存在する2020年代後半の平行世界。 「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo」の1つ……壱岐・対馬間にある「Site04」こと通称「台東区」の自警団「入谷七福神」のメンバーである関口 陽(ひなた)は、少し前に知り合った福岡県久留米市在住の「御当地ヒーロー見習い」のコードネーム「羅刹女(ニルリティ)」こと高木 瀾(らん)に、ある依頼をするのだが……。 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)

青き戦士と赤き稲妻

蓮實長治
SF
現実と似た歴史を辿りながら、片方は国家と云うシステムが崩れつつ有る世界、もう一方は全体主義的な「世界政府」が地球の約半分を支配する世界。 その2つの平行世界の片方の反体制側が、もう片方から1人の「戦士」を呼び出したのだが……しかし、呼び出された戦士は呼び出した者達の予想と微妙に違っており……。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 同じ作者の「世界を護る者達/第一部:御当地ヒーローはじめました」と同じ世界観の約10年後の話になります。 注: 作中で「検察が警察を監視し、警察に行き過ぎが有れば、これを抑制する。裁判所が検察や警察を監視し、警察・検察にに行き過ぎが有れば、これを抑制する」と云う現実の刑事司法の有り方を否定的に描いていると解釈可能な場面が有りますが、あくまで、「現在の社会で『正しい』とされている仕組み・制度が、その『正しさ』を保証する前提が失なわれ形骸化した状態で存続したなら」と云う描写だと御理解下さい。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

鋼月の軌跡

チョコレ
SF
月が目覚め、地球が揺れる─廃機で挑む熱狂のロボットバトル! 未知の鉱物ルナリウムがもたらした月面開発とムーンギアバトル。廃棄された機体を修復した少年が、謎の少女ルナと出会い、世界を揺るがす戦いへと挑む近未来SFロボットアクション!

特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』

橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。 それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。 彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。 実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。 一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。 一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。 嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。 そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。 誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

処理中です...