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第二章:Fair Game
シルバー・ローニン(4)
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私と旭は腕に印刷されているタトゥーをレスキュー隊員に見せる。
一見、普通のタトゥーだ。
私のも旭のも昔の子供向けアニメに出て来た恐竜の絵柄。
「あれ? 一緒か?」
一応、別の恐竜だが、兄弟と云う設定らしい。
実のところ、絵柄は何でもいい。重要なのは、このタトゥーの正体がマイクロ・マシンで構成されたGPS機能付発信機と身分証を兼ねた電子回路だと云う事だ。
皮膚の下の毛細血管から栄養分を少しだけ「横取り」する事で機能しているので、もし、皮膚ごとタトゥーを剥がされたり、最悪、私達が死んだ場合、この「タトゥーに見える電子回路」の機能は失なわれる。
レスキュー隊員は私達のIDを確認。
「3時間毎にこの抗不安薬を飲ませて下さい。急なパニック症状が起きた場合は、こちらの即効性の薬を注射。ただし、注射の方の薬を使うのは最低限でお願いします。不明点が有れば、そちらの所属チームの後方支援要員経由で、我々に問い合わせをお願いします」
私達はレスキュー隊員から説明を受ける。
「了解」
「了解」
「薬は半分づつ分けて持つか」
「そうだな……」
「じゃ、これ使って下さい」
私達の会話を聞いていたレスキュー隊員は、そう言って、ファスナー付きの透明なプラスチックパックを取り出した。
「あのさ……その齢でタトゥーって……その……」
TCAから来た少女は、困惑したようにそう言った。
「何か問題でも有るのか?」
私は、そう聞き返した。
「学校の校則とか……」
「問題ない。ウチの学校では別に禁止されてない」
そう答えたのは旭。
「訳有って、学校に行ってない」
続いて、私も答える。
「親が見たら泣くんじゃないの?」
「死んだ」
「居ない。それより、行くぞ」
そう言って、私は男の子の、旭は女の子の手を取る。
「ちょっと、ま~くんは私が……」
「駄目だ」
「何で?」
「歩いていく時に、お前らと車道の間に常にあたし達が居るようにする為だ」
旭は、そう説明する。
「ああ、それと……あんたも車道側には出るな」
続いて2人の子供の「保護者」にそう説明。
「えっ……えっと……」
「ちゃんと説明した方がいいかな? 君達が車道側に出るべきでない理由を……」
「どう云う事?」
「何か有ったら……私達の体を盾にしろ」
「へ?」
「あと、見通しの悪い場所を曲がる時は、私達のどちらかが様子を見る前に、絶対に曲がるな」
「あ……あの……まさか……何か変だと思ってたけど、貴方達……えっと……」
「御想像にお任せする」
「息がピッタリだけど……その……慣れてるの?」
「……残念だが、君達を不安にしてしまう事実が1つ有る」
「何?」
「私達は、数日前に初めて会ったばかりで、今日が初任務だ」
一見、普通のタトゥーだ。
私のも旭のも昔の子供向けアニメに出て来た恐竜の絵柄。
「あれ? 一緒か?」
一応、別の恐竜だが、兄弟と云う設定らしい。
実のところ、絵柄は何でもいい。重要なのは、このタトゥーの正体がマイクロ・マシンで構成されたGPS機能付発信機と身分証を兼ねた電子回路だと云う事だ。
皮膚の下の毛細血管から栄養分を少しだけ「横取り」する事で機能しているので、もし、皮膚ごとタトゥーを剥がされたり、最悪、私達が死んだ場合、この「タトゥーに見える電子回路」の機能は失なわれる。
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私達はレスキュー隊員から説明を受ける。
「了解」
「了解」
「薬は半分づつ分けて持つか」
「そうだな……」
「じゃ、これ使って下さい」
私達の会話を聞いていたレスキュー隊員は、そう言って、ファスナー付きの透明なプラスチックパックを取り出した。
「あのさ……その齢でタトゥーって……その……」
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「何か問題でも有るのか?」
私は、そう聞き返した。
「学校の校則とか……」
「問題ない。ウチの学校では別に禁止されてない」
そう答えたのは旭。
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続いて、私も答える。
「親が見たら泣くんじゃないの?」
「死んだ」
「居ない。それより、行くぞ」
そう言って、私は男の子の、旭は女の子の手を取る。
「ちょっと、ま~くんは私が……」
「駄目だ」
「何で?」
「歩いていく時に、お前らと車道の間に常にあたし達が居るようにする為だ」
旭は、そう説明する。
「ああ、それと……あんたも車道側には出るな」
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「えっ……えっと……」
「ちゃんと説明した方がいいかな? 君達が車道側に出るべきでない理由を……」
「どう云う事?」
「何か有ったら……私達の体を盾にしろ」
「へ?」
「あと、見通しの悪い場所を曲がる時は、私達のどちらかが様子を見る前に、絶対に曲がるな」
「あ……あの……まさか……何か変だと思ってたけど、貴方達……えっと……」
「御想像にお任せする」
「息がピッタリだけど……その……慣れてるの?」
「……残念だが、君達を不安にしてしまう事実が1つ有る」
「何?」
「私達は、数日前に初めて会ったばかりで、今日が初任務だ」
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