1 / 5
プロローグ
ピーチガール
しおりを挟む
『誰かの人生をクローズ・アップで撮影すれば悲劇に見えるが、ロング・ショットで撮影すれば喜劇になる』
チャールズ・チャップリン
「ふざけんじゃね~ぞ、脳味噌に蛆が湧いてるクソボケのオカルト軍人がッ‼ 今時、ハリー・ポッターになりたがってる中学生が居るかッ‼」
学年で一番ガラが悪いけど、成績も一番の境晴香は、校長室から出た途端に、そう毒突いた。
ごめん……僕、少し憧れてた……ハリー・ポッターにも、ホグワーツみたいな「魔法学園」にも……。
彼女は、模擬試験で県内の公立進学校ではトップ3に入る久留米のM学園の理数科に余裕で入れる成績を叩き出してて、しかも、希望してる進学先の3番目までのどれか1つにでも合格出来たなら、北九州のハイテク企業「高木製作所」……規模はそれほどでも無いが、技術力では日本トップクラスと言われてる所だ……の創業者一族が運営するNGO「彩雲基金」から返済不要の奨学金がもらえる筈だった。
「聞こえるって……」
「うるせえ、あのナチ野郎の耳に入って強制入学が取消になるんなら、願ったり叶ったりだ」
1時間ほど前、僕と境は、校長室に呼び出された。
そして、そこに居たのは特務憲兵隊の魔法士官だった。
その魔法士官の説明では、どうやら、中二の頃から健康診断に追加された「魔力検査」で、僕と境は、この学校内どころか、市内すら超えて、福岡県南半分の同じ学年の子供達の中でも有数の「魔力量」の持ち主だと判明したらしい。
どうも、今の内閣は「魔法・心霊術の産業化や国防分野への大規模適用」を計画してるようで、魔力検査で高い評価が出た中学3年の子供は、半強制で国立魔法学園に進学する事になる……そうだ。
つまり、エンジニアや工学系の研究者になるって境の夢は、国家権力によって、あっさり潰された。
「しかし、何で、僕達なんだろうね?」
「何が?」
「いや……何で、魔法使いとか呪術師とか心霊能力者の家系じゃない僕達に、そんな凄い魔力が……」
「阿呆か?」
「へっ?」
「聞いた事無いのか? その手の家系や流派・宗派では……わざと自分とこの子供に魔力検査を阻害するような『魔法』をかけてるって話を」
「え……いや、それって……どこで聞いた噂? SNSのデマとかじゃないの?」
「呑気だな……」
「な……何を知ってるの?」
「もし、ガチの『魔法使い』系の連中にとって、国立魔法学園ってのが、自分の子供を到底預けられねえような場所だとしたら?」
「で……でも、いくら何でも、国立だよ? 学園の運営は国だよ? そんな変な所の筈が……」
ああ、そうだ。
この時点での僕は、とんだ甘ちゃんだった。
しかも……同じ市内に僕達の進学先「国立第5魔法学園」が有るのに……何も気付いていなかったのだ。
チャールズ・チャップリン
「ふざけんじゃね~ぞ、脳味噌に蛆が湧いてるクソボケのオカルト軍人がッ‼ 今時、ハリー・ポッターになりたがってる中学生が居るかッ‼」
学年で一番ガラが悪いけど、成績も一番の境晴香は、校長室から出た途端に、そう毒突いた。
ごめん……僕、少し憧れてた……ハリー・ポッターにも、ホグワーツみたいな「魔法学園」にも……。
彼女は、模擬試験で県内の公立進学校ではトップ3に入る久留米のM学園の理数科に余裕で入れる成績を叩き出してて、しかも、希望してる進学先の3番目までのどれか1つにでも合格出来たなら、北九州のハイテク企業「高木製作所」……規模はそれほどでも無いが、技術力では日本トップクラスと言われてる所だ……の創業者一族が運営するNGO「彩雲基金」から返済不要の奨学金がもらえる筈だった。
「聞こえるって……」
「うるせえ、あのナチ野郎の耳に入って強制入学が取消になるんなら、願ったり叶ったりだ」
1時間ほど前、僕と境は、校長室に呼び出された。
そして、そこに居たのは特務憲兵隊の魔法士官だった。
その魔法士官の説明では、どうやら、中二の頃から健康診断に追加された「魔力検査」で、僕と境は、この学校内どころか、市内すら超えて、福岡県南半分の同じ学年の子供達の中でも有数の「魔力量」の持ち主だと判明したらしい。
どうも、今の内閣は「魔法・心霊術の産業化や国防分野への大規模適用」を計画してるようで、魔力検査で高い評価が出た中学3年の子供は、半強制で国立魔法学園に進学する事になる……そうだ。
つまり、エンジニアや工学系の研究者になるって境の夢は、国家権力によって、あっさり潰された。
「しかし、何で、僕達なんだろうね?」
「何が?」
「いや……何で、魔法使いとか呪術師とか心霊能力者の家系じゃない僕達に、そんな凄い魔力が……」
「阿呆か?」
「へっ?」
「聞いた事無いのか? その手の家系や流派・宗派では……わざと自分とこの子供に魔力検査を阻害するような『魔法』をかけてるって話を」
「え……いや、それって……どこで聞いた噂? SNSのデマとかじゃないの?」
「呑気だな……」
「な……何を知ってるの?」
「もし、ガチの『魔法使い』系の連中にとって、国立魔法学園ってのが、自分の子供を到底預けられねえような場所だとしたら?」
「で……でも、いくら何でも、国立だよ? 学園の運営は国だよ? そんな変な所の筈が……」
ああ、そうだ。
この時点での僕は、とんだ甘ちゃんだった。
しかも……同じ市内に僕達の進学先「国立第5魔法学園」が有るのに……何も気付いていなかったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
マスゴミは、何で、このニュースを報道し……えっ??
蓮實長治
ライト文芸
TVの昼のワイドショーで、あまりに変な事を言い出した司会者。
果たして、その真意は?
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
あなたの意見が非論理的なのは、あなたが論理学を学んだせいです
蓮實長治
SF
長期政権を維持し続けるある国の与党。
その秘密は政策立案AIだったが……?
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。
阿吽
ファンタジー
クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった!
※カクヨムにて先行投稿中
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる