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第一章:屍病汚染
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「今、何かが、走っていかなかった? すごく小さい……」
「画像分析、お願い」
『とりあえず、さっきの映像をコマ落としで再生してみる』
その無線通信と共に、モバイルPCの画面にカクカクした映像が表示される。
「ネズミ?」
「映像が不鮮明だから何とも言えないけど……変じゃない? 血塗れに見えるのに……普通に走ってる。この血……このネズミのモノじゃなくて返り血?」
「このネズミの推定速度は?」
『映像が不鮮明だから、かなり不正確な値しか出せない。最低でも時速二五㎞、時速五〇㎞超えてる可能性も有る』
「それって、ホントにネズミが走る速さ?」
『推定下限ぐらいなら……瞬間的にそれ位の速度は……出せるかも知れないけど……』
「このネズミが病気の媒介なら……どうする?」
『問題は、ネズミだけじゃない。中世ヨーロッパで流行ったペストを媒介したのは、ネズミに付いてたノミだった筈。謎の病気の媒介がネズミなら……ネズミの寄生虫や排泄物や死体からも病気が広まる可能性が有る』
「正義の味方」の後方支援要員が解説してくれた。
「サンプル分析回収班は……単なるN・B・C用の防護服じゃなくて、ネズミに噛まれても大丈夫なモノを着用する必要あり……か……。用意有る?」
後方支援要員に問い合わせるピンガラーラ。
「最悪、あたし達が回収する。回収時の注意点を、あたし達の拠点宛に連絡しといて」
続いて、あたしは、そう言った。
「それと……アカリちゃん……えっと……」
「ネズミは、人間に比べて『気』が小さい。『気』の量が体重に比例するなら、多分、ネズミ1匹で、人間1人分の気の一〇〇分の一以下ぐらいだと思う」
「それで見落しちゃったか……」
失敗と言えば失敗だけど……情報が少ない状況では仕方ない。
「畜生……やりにくい……。町1つ一瞬で滅ぼせる怪獣か何かの方が……まだ、打てる手はいくらでも有りそう……」
ピンガーラが、そうボヤいた。
それは、あたし達「異能レスキュー隊」も同じ……。
この世界には……ほんのわずか……通常の「異能力者」や「魔法使い」に比べてさえ、超レアものだけど、でも、確かに「1人で町1つ滅ぼせる」ほどの超弩級の「異能力者」が存在している。
そんなのが暴れ出した場合に、せめて、一般人だけでも逃し助ける。
その為に設立されたのが、あたし達「異能レスキュー隊」だ。
でも……。
今回の件は、その逆。
巨大で強力な悪よりも、小さくてしょ~もないモノの方が対処が遥かに難しいなんて。
「画像分析、お願い」
『とりあえず、さっきの映像をコマ落としで再生してみる』
その無線通信と共に、モバイルPCの画面にカクカクした映像が表示される。
「ネズミ?」
「映像が不鮮明だから何とも言えないけど……変じゃない? 血塗れに見えるのに……普通に走ってる。この血……このネズミのモノじゃなくて返り血?」
「このネズミの推定速度は?」
『映像が不鮮明だから、かなり不正確な値しか出せない。最低でも時速二五㎞、時速五〇㎞超えてる可能性も有る』
「それって、ホントにネズミが走る速さ?」
『推定下限ぐらいなら……瞬間的にそれ位の速度は……出せるかも知れないけど……』
「このネズミが病気の媒介なら……どうする?」
『問題は、ネズミだけじゃない。中世ヨーロッパで流行ったペストを媒介したのは、ネズミに付いてたノミだった筈。謎の病気の媒介がネズミなら……ネズミの寄生虫や排泄物や死体からも病気が広まる可能性が有る』
「正義の味方」の後方支援要員が解説してくれた。
「サンプル分析回収班は……単なるN・B・C用の防護服じゃなくて、ネズミに噛まれても大丈夫なモノを着用する必要あり……か……。用意有る?」
後方支援要員に問い合わせるピンガラーラ。
「最悪、あたし達が回収する。回収時の注意点を、あたし達の拠点宛に連絡しといて」
続いて、あたしは、そう言った。
「それと……アカリちゃん……えっと……」
「ネズミは、人間に比べて『気』が小さい。『気』の量が体重に比例するなら、多分、ネズミ1匹で、人間1人分の気の一〇〇分の一以下ぐらいだと思う」
「それで見落しちゃったか……」
失敗と言えば失敗だけど……情報が少ない状況では仕方ない。
「畜生……やりにくい……。町1つ一瞬で滅ぼせる怪獣か何かの方が……まだ、打てる手はいくらでも有りそう……」
ピンガーラが、そうボヤいた。
それは、あたし達「異能レスキュー隊」も同じ……。
この世界には……ほんのわずか……通常の「異能力者」や「魔法使い」に比べてさえ、超レアものだけど、でも、確かに「1人で町1つ滅ぼせる」ほどの超弩級の「異能力者」が存在している。
そんなのが暴れ出した場合に、せめて、一般人だけでも逃し助ける。
その為に設立されたのが、あたし達「異能レスキュー隊」だ。
でも……。
今回の件は、その逆。
巨大で強力な悪よりも、小さくてしょ~もないモノの方が対処が遥かに難しいなんて。
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