上 下
4 / 8
第一章:屍病汚染

(3)

しおりを挟む
 あたしとアカリちゃんは強化装甲服「水城みずき」の格納室に入った。
 この「水城みずき」には、通常型・パワー型・対NBC型などのタイプが有るが、あたし達「異能レスキュー隊」が使用するのは人命救助仕様だ。
 高校の頃、あたし達が「魔法少女」をやめた日に初めて使った時には、着装者以外に作業員が2名必要で、着装完了まに一〇分以上かかったけど、今では、着装補助装置が開発され、5分以内で済む。
 装甲は「不均一非結晶合金」と言われる特殊素材で出来ていて……理屈はイマイチ理解出来てないけど「合金と複合素材の中間」だそうだ。
 基本は、銀色に近いけど、構造色とか言う虹のような光沢が浮かぶ外見だけど、「水城みずき」の装甲に使われているものは腐食防止用の半透明な塗料が塗られている。
 その塗料の色は「人命救助」を象徴するオレンジ色。救助対象が視認し易い色だ。
 体の各部には緊急時にはサイレンとしても使用出来るライトが取り付けられている。
 両胸と鳩尾みぞおちに有る大き目の円形のライトには、異能レスキュー隊と所属チームのマークと個人識別マークが表示される。
 人工筋肉と筋電位や予備動作を検知するセンサが仕込まれたインナースーツを付け、着装補助装置に入る。
 装甲が次々と装着される。
 最後にヘルメットを装着。ヘルメット内の網膜投影式モニタがONになる。
「制御AI起動。着装者『カヴン∴オブ∴カメリア』所属、遠藤美桜みお
『起動承認。承認者『カヴン∴オブ∴カメリア』所属、藤原葵』
 葵ちゃんの声と共に、起動ログが表示され、最後にヘルメット前面の「目」に相当する位置にある2つの小型カメラから送られる画像が映し出される。
『2人とも、手順通りに軽く動いてみて』
 葵ちゃんからの無線通話による指示に従い、あたしとアカリちゃんは、昔、少しだけやった事が有る武道の型の動きをする。
『大丈夫、「先読み」の適合率は2人とも九五%以上。問題なし』
 「水城みずき」の制御AIには、着装者の癖を学習し、次の動きを予想出来るようになる機能が付いているそうで、言われてみれば、初めて使った時よりも、動きは自然で滑らかなものになっている。
 準備が終ったあたし達の前に、ほぼ無音で2台の電動三輪バイクトライクがやって来た。
「現場まで最短時間で着けるルートの指示をお願い」
了解Affirm
 あたし達は三輪バイクトライクに乗るとサイレンを鳴らしながら走り出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

Neo Tokyo Site04:カメラを止めるな! −Side by Side−

蓮實長治
SF
「お前……一体全体……この『東京』に『何』を連れて来た?」 「なぁ……兄弟(きょうでえ)……長生きはするもんだな……。俺も、この齢になるまで散々『正義の名を騙る小悪党』は見てきたが……初めてだぜ……『悪鬼の名を騙る正義』なんてのはよぉ……」 現実の地球に似ているが、様々な「特異能力者」が存在する2020年代後半の平行世界。 「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo」の1つ……壱岐・対馬間にある「Site04」こと通称「台東区」の自警団「入谷七福神」のメンバーである関口 陽(ひなた)は、少し前に知り合った福岡県久留米市在住の「御当地ヒーロー見習い」のコードネーム「羅刹女(ニルリティ)」こと高木 瀾(らん)に、ある依頼をするのだが……。 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)

青き戦士と赤き稲妻

蓮實長治
SF
現実と似た歴史を辿りながら、片方は国家と云うシステムが崩れつつ有る世界、もう一方は全体主義的な「世界政府」が地球の約半分を支配する世界。 その2つの平行世界の片方の反体制側が、もう片方から1人の「戦士」を呼び出したのだが……しかし、呼び出された戦士は呼び出した者達の予想と微妙に違っており……。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 同じ作者の「世界を護る者達/第一部:御当地ヒーローはじめました」と同じ世界観の約10年後の話になります。 注: 作中で「検察が警察を監視し、警察に行き過ぎが有れば、これを抑制する。裁判所が検察や警察を監視し、警察・検察にに行き過ぎが有れば、これを抑制する」と云う現実の刑事司法の有り方を否定的に描いていると解釈可能な場面が有りますが、あくまで、「現在の社会で『正しい』とされている仕組み・制度が、その『正しさ』を保証する前提が失なわれ形骸化した状態で存続したなら」と云う描写だと御理解下さい。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世界を護る者達/第一部:御当地ヒーローはじめました

蓮實長治
SF
常人が異能の者達と戦う為に生み出された強化装甲服「対神鬼動外殻『護国軍鬼』」を受け継ぐ父親の一族の中で育った姉・高木瀾(たかぎ らん)。 前の世代の女から次の世代の女へと「神」を受け継いできた母親の一族の中で育った妹・眞木治水(まき おさみ)。 「正義の味方」として育てられた姉と、望まずして「神」の力を受け継いでしまった妹。 二〇〇一年九月十一日を契機に現実と違う歴史を辿った、様々な力を持つ無数の「異能力者」が存在する平行世界の近未来の地球。 その「地球」の福岡県久留米市で、両親の離婚により赤ん坊の頃から別々に育ったこの双子の姉妹が、高校進学を機に共に暮す事になった時、2人は、この「地球」に残存する「神々」の運命を左右する戦いに巻き込まれる事に……。 同じ作者の「青き戦士と赤き稲妻」の約10年前と云う設定です。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 注: 作中で、夫婦別姓を否定的に描いていると解釈可能な箇所が有りますが、あくまで作者本人としては「夫婦別姓/同姓は、その夫婦の選択に任せる」が理想と考えています。あくまで、「作者本人が正しいと思っている事が歪んだ形/それが『正しい』理由を欠いた形で実現してしまったら…」と云う描写と御理解下さい。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...