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第一章:おい、「ここ」に元々居た筈の「地元」の「鬼」どもはどこへ消えた?
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銀色が3つ。
黒が2つ。
緑・オレンジ色・黄色・赤が各1つ。
そして……同じ範疇に入れてよいかは不明だが……青い「肌」に赤い「髪」の生首が1つ。
それらが、九州の福岡県K市と佐賀県T市に跨る工業団地で発見された「鬼の死体」だった。
鬼類災害としては珍しく、判っている限りでは、死傷者は無し。
ただ、倉庫が1つ消えて、その代りに、別の建物が出現し、その中で、これらの「死体」が発見されたのだ。
なお、「死体」とは、あくまで便宜上の呼び名である。
「あの……これって……どう見ても……」
鬼類災害特務隊の顧問である陰陽師の佐藤正一は、他の9つの「死体」の頭部に比べて明らかにバカデカい「青『肌』に赤『髪』」の「『鬼』の生首」を見てそう言った。
「ええ……私が、ここに引き抜かれる前の論文のテーマです」
「に~さん」こと韓国出身で日本の仏教系の大学に留学中の学者・ソン・イサムは、そう続けた。
赤い逆立った髪。見開いた3つの目。青い肌。牙。怒りの形相。知らぬ者が見れば「鬼」と思うであろう顔だが……ただ、角だけが無い。頭部の各所の装飾品も一致している。
それは、正確に言えば「鬼の生首」ではなく「神の生首」だった。ただし、金属製の。
「金剛蔵王権現……」
「これ……全身のサイズは……?」
「首以外は有りませんでしたので不明です。ただ、首から下も人間に似た体格だとしたら……最低でも5m半以上ですね」
鬼類災害特務隊の誰もが、こんな「鬼」の出現など予想していなかった。そのせいで、鬼類災害特務隊の中でも「これ」に関して、最も理解出来そうで……今まで判明している事を他人に巧く説明出来そうな人間は……実働部隊の装備の整備・開発を行なう技術者達だ。
「生首の中身は……正体不明の電子機器でした。ただし、どうも首から下が失われた時に腐食した部分がかなり有ります」
「腐食?」
「王水より強力な酸化反応の可能性も有るそうですが……」
「何なんですか?」
「さぁ……その可能性も有るってだけで……。あ、あと、目に見えるモノはカメラらしいんですが……分析を依頼した学者さん達によれば……」
「安いSFだったら……地球のものより、明らかに進んだ技術だったって展開でしょうけど……」
「既に御存知でしょうが、その逆です。制御コンピュータらしきものの分析には時間がかかりそうですが……機能が判明した部品に関しては……日本・アメリカ・中国・韓国・ロシア・インド・ヨーロッパの大半の国、ついでに、東南アジアやアフリカやイスラム諸国の中でも工業が発達してる国なら……性能が1~2割増しのモノが作れます。エネルギー効率についてはもっとです。未知の技術の産物とは言えますが……時間さえ有れば、我々に理解出来ないモノは無いし、性能面に関しては、トータルで、地球上の先進国より一〇年か二〇年は遅れた技術の産物です。ただ……」
「エネルギー源だけは不明なんですね」
「ええ、これらの『機械仕掛けの鬼』の部品はエネルギー効率が特に劣ってます。つまり……あの人間サイズのを動かすのに、1つにつき5t以上の電気自動車を余裕で動かせるだけの電力が必要です。『中の人』が居てもね」
説明をした技術者が指差したのは9つの「鬼」の「死体」だった。
それらは、激しい戦闘の痕跡が全身に有り……装甲は歪み穴が空き、手足や首が、圧し折られ切り落された跡が有るモノも少なくなかった。
「あの……ホントに、これも『鬼』なの?」
「外見だけは……」
佐藤正一とソン・イサムは……骸骨を思わせる顔に、頭や体の各部から生えた工業製品または兵器と云う観点からすると何の意味が有るのか判らない棘または角、そして、胸や首には、よりにもよってナチス・ドイツの突撃隊のエンブレムが刻まれた……9つの「鬼に見えない事もない」壊れた人間サイズのパワードスーツを前に頭を抱えるしか無かった。
「こっちより……矢野さんが調べてるヤツの方が脈が有りそうですね……」
「これが何か調べるのは……工学部の先生に任せた方が良さそうですね……」
「やっぱり、もっと、理系の人をスカウトする必要が有るんじゃないですか?」
「でも、理系ってても、どの分野の人が必要なんですか? これより訳が判んない『鬼』が出て来たら……どんな人に任せりゃいいんですか?」
「ついでにもう1つ変な事が……」
技術者が声をかけた。
「何ですか?」
「皆さんが見た報告書が作成された後に判った事なんですが……これが見付かった建物の外部に付着していた汚れを分析した結果が妙でして……どうやら、大気中の汚染物質が建物の外部に付着したみたいなんですが……」
「えっ?」
「仮にですよ……あくまで仮にですよ……。若者向けの安いラノベみたいに、こいつらが見付かった建物が異世界かどっかから転移してきたとしたら……その『異世界』で主に使われてる燃料は……石炭です」
「はぁ?」
「建物の外部の汚れの主成分が石炭由来の煤だったんですよ」
黒が2つ。
緑・オレンジ色・黄色・赤が各1つ。
そして……同じ範疇に入れてよいかは不明だが……青い「肌」に赤い「髪」の生首が1つ。
それらが、九州の福岡県K市と佐賀県T市に跨る工業団地で発見された「鬼の死体」だった。
鬼類災害としては珍しく、判っている限りでは、死傷者は無し。
ただ、倉庫が1つ消えて、その代りに、別の建物が出現し、その中で、これらの「死体」が発見されたのだ。
なお、「死体」とは、あくまで便宜上の呼び名である。
「あの……これって……どう見ても……」
鬼類災害特務隊の顧問である陰陽師の佐藤正一は、他の9つの「死体」の頭部に比べて明らかにバカデカい「青『肌』に赤『髪』」の「『鬼』の生首」を見てそう言った。
「ええ……私が、ここに引き抜かれる前の論文のテーマです」
「に~さん」こと韓国出身で日本の仏教系の大学に留学中の学者・ソン・イサムは、そう続けた。
赤い逆立った髪。見開いた3つの目。青い肌。牙。怒りの形相。知らぬ者が見れば「鬼」と思うであろう顔だが……ただ、角だけが無い。頭部の各所の装飾品も一致している。
それは、正確に言えば「鬼の生首」ではなく「神の生首」だった。ただし、金属製の。
「金剛蔵王権現……」
「これ……全身のサイズは……?」
「首以外は有りませんでしたので不明です。ただ、首から下も人間に似た体格だとしたら……最低でも5m半以上ですね」
鬼類災害特務隊の誰もが、こんな「鬼」の出現など予想していなかった。そのせいで、鬼類災害特務隊の中でも「これ」に関して、最も理解出来そうで……今まで判明している事を他人に巧く説明出来そうな人間は……実働部隊の装備の整備・開発を行なう技術者達だ。
「生首の中身は……正体不明の電子機器でした。ただし、どうも首から下が失われた時に腐食した部分がかなり有ります」
「腐食?」
「王水より強力な酸化反応の可能性も有るそうですが……」
「何なんですか?」
「さぁ……その可能性も有るってだけで……。あ、あと、目に見えるモノはカメラらしいんですが……分析を依頼した学者さん達によれば……」
「安いSFだったら……地球のものより、明らかに進んだ技術だったって展開でしょうけど……」
「既に御存知でしょうが、その逆です。制御コンピュータらしきものの分析には時間がかかりそうですが……機能が判明した部品に関しては……日本・アメリカ・中国・韓国・ロシア・インド・ヨーロッパの大半の国、ついでに、東南アジアやアフリカやイスラム諸国の中でも工業が発達してる国なら……性能が1~2割増しのモノが作れます。エネルギー効率についてはもっとです。未知の技術の産物とは言えますが……時間さえ有れば、我々に理解出来ないモノは無いし、性能面に関しては、トータルで、地球上の先進国より一〇年か二〇年は遅れた技術の産物です。ただ……」
「エネルギー源だけは不明なんですね」
「ええ、これらの『機械仕掛けの鬼』の部品はエネルギー効率が特に劣ってます。つまり……あの人間サイズのを動かすのに、1つにつき5t以上の電気自動車を余裕で動かせるだけの電力が必要です。『中の人』が居てもね」
説明をした技術者が指差したのは9つの「鬼」の「死体」だった。
それらは、激しい戦闘の痕跡が全身に有り……装甲は歪み穴が空き、手足や首が、圧し折られ切り落された跡が有るモノも少なくなかった。
「あの……ホントに、これも『鬼』なの?」
「外見だけは……」
佐藤正一とソン・イサムは……骸骨を思わせる顔に、頭や体の各部から生えた工業製品または兵器と云う観点からすると何の意味が有るのか判らない棘または角、そして、胸や首には、よりにもよってナチス・ドイツの突撃隊のエンブレムが刻まれた……9つの「鬼に見えない事もない」壊れた人間サイズのパワードスーツを前に頭を抱えるしか無かった。
「こっちより……矢野さんが調べてるヤツの方が脈が有りそうですね……」
「これが何か調べるのは……工学部の先生に任せた方が良さそうですね……」
「やっぱり、もっと、理系の人をスカウトする必要が有るんじゃないですか?」
「でも、理系ってても、どの分野の人が必要なんですか? これより訳が判んない『鬼』が出て来たら……どんな人に任せりゃいいんですか?」
「ついでにもう1つ変な事が……」
技術者が声をかけた。
「何ですか?」
「皆さんが見た報告書が作成された後に判った事なんですが……これが見付かった建物の外部に付着していた汚れを分析した結果が妙でして……どうやら、大気中の汚染物質が建物の外部に付着したみたいなんですが……」
「えっ?」
「仮にですよ……あくまで仮にですよ……。若者向けの安いラノベみたいに、こいつらが見付かった建物が異世界かどっかから転移してきたとしたら……その『異世界』で主に使われてる燃料は……石炭です」
「はぁ?」
「建物の外部の汚れの主成分が石炭由来の煤だったんですよ」
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