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地球と諸天体の運動に関する一仮説

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 かつて、この「西方」圏に有った文明の痕跡は、今の技術では作れぬ舗装道路や水道設備のみではない。
 高い技術を誇った、あの帝国の高度な学問は、一度、東方の異教徒達により伝えられ、そして1世紀ほど前に、再びこの地に戻って来た。
 たしかに、古き時代の天文学の理論は、それまでの西方圏の占星術よりも太陽や月や惑星の運行を極めて高い精度で予測する事が可能であり、数十年前に教会もこの古き時代の天文学を元にした新しい暦を作成する事を正式に決定した。
 しかし……それでも、わずかな誤差は残った。
 1度の更に何分の1かでは有るが……に基く予測値と惑星の実際の運行との間には、ほんのわずかな誤差が有ったのだ。
 何度、観測しようと同じ事だった。
 誤差は有った。
 確かに有った。
 人類の叡智と努力と学問の営みを嘲笑うかの如く、頑として有った。
 しかし……私は、その誤差の理由を説明する理屈を思い付き、その計算と証明に生涯をかけてきた。
 
 その不思議なパターンの背後に有る「何か」を突き止めるヒントは……忌しい「禁書」の中に有った。
 しかし、禁書に書かれていた事を読んだ事が教会にバレれば、私は異端者として火炙りになるだろう。
 一見すると奇怪な、このような計算誤差が生じる要因は……と呼ばれる「技術」にこそ存在する。
 その技術が使われていたモノの名は……コンピュ……(以下、文書発見時に生じた焼け焦げにより判読困難)。

注:
 この文書を書き残した占星術師は「古代の文明が滅んだとされる時点で、本物の地球は死の惑星となり、現在のこの世界は自動計算機械内に構築された偽りの世界である」と云う異端説を信奉していた事が死後になって判明し、教会により死後破門が宣告されました。
 また、この文書は第3級異端文書の閲覧権限を有する異端審問官にのみ、閲覧が許可されます。
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