17 / 20
第二章:The Wailing
(5)
しおりを挟む
俺を閉じ込めてた某「ネット上で誘拐犯御用達扱いされてる車種」の車は、俺の家の近くの駐車場に停められていた。
「何が、どうなってんだ……一体?」
「こっちが訊きたい」
課長が連れて来た同業者の口調には……微かだが北関東の訛が有った。
だが、俺の故郷のモノとはビミョ~に違う。
多分……群馬か栃木の方言だ。
「あ、そうだ……この辺りの防犯カメラを運用してるのは……神政会のフロント企業だ」
「そこは抜かりねえ。ちゃんと防犯カメラに写る場所は避けてる」
その時、車の運転席のドアが開く
「あ、課長は、あたしが宿まで送る。あたしは、フェリーで車ごと帰るから」
「は~い」
「誰?」
俺は同業者に、そう訊いた。
「ウチのカミさん」
「じゃあ、防犯カメラに写らない場所まで移動、お前ら2人は、そこで降りろ」
だが……同業者の「カミさん」の口調は……また訛がビミョ~に違う。
標準語に近いが……西日本のものっぽい……。だが……関西弁とも、この辺りのものとも違う気がする。
やがて、俺達は車から降され……。
「結局、あんた、誰なんだ?」
「今は警察を辞めてるが……斎藤課長の昔の部下だ」
「ええっと……流派は密教系? それとも修験道?」
「ノーコメント」
「警察機構辞めたって……あれか? 都市伝説になってる課長が関わった剣呑い件絡み?」
「何の事だ?」
「だからさ……こう云う案件を手掛けた『桜田商事』の『落しの名人』が、実は本人も自覚してなかった『精神操作能力者』だった、って『都市伝説』だよ」
そう言って俺は、片方の手を拳にして首の後ろに回し、目をむいて舌を出して「絞首刑」のゼスチャーをやる。
いわゆる「異能力者」の中でも、最初に存在が公になったのは「精神操作能力者」。
当然……死刑囚の中には「精神操作能力」を持った警察官のせいで嘘の自白をしたか、自分が真犯人だと思い込んでしまった奴がかなり居て……その中には、既に「吊るされ」てしまった奴も少なくない……そんな噂が立った。
そして、次に立った噂は、対異能力犯罪広域警察機構「レコンキスタ」の汚れ仕事部隊が「自分を『精神操作能力者』だと自覚していなかった『落しの名人』」を粛清した、と云うモノだった。
「それも……ノーコメント」
精神操作系の術が専門じゃない「魔法使い」でも、相手の「気」から相手が動揺してるかぐらいは推測出来る。
だが、ちゃんと体系立った、そこそこ以上の歴史が有る「流派」で、マトモな修行をした「魔法使い」は、結構な自制心を持ってるのが普通だ。
この同業者からも、何の心の動きも読み取れない。
だが……ヤツは……溜息を吐いた。
「俺達と斎藤課長が関わったのは……それどころじゃない剣呑い案件だと言ったら信じるか?」
「へっ?」
「俺達が、あるクソ野郎どもを壊滅させたのは確かだ……。けど、それが正しかったかは……今でも俺ん中では答が出てねえ……。キザな言い方でアレだけどな」
どこまでが本当で……どこまでが与太なのか……それさえ判断出来ない。
「ともかく、連絡はコレで取る」
そう言ってヤツが差し出したのは……今の携帯が主流になる以前の古いタイプの折り畳み式携帯電話。
「これさぁ……」
「そこも抜かりない。県外で手に入れた『飛し』の携帯だ」
「あんたの事は……何て呼べばいい?」
「朝霧」
「へっ?」
「名字は朝霧。下の名前は……そうだな、陽介でいいか?」
まぁ、多分、偽名だろうが。
「あと、念の為だ。この携帯を使うのは……お前の今の自宅以外の場所にしてくれ」
「何が、どうなってんだ……一体?」
「こっちが訊きたい」
課長が連れて来た同業者の口調には……微かだが北関東の訛が有った。
だが、俺の故郷のモノとはビミョ~に違う。
多分……群馬か栃木の方言だ。
「あ、そうだ……この辺りの防犯カメラを運用してるのは……神政会のフロント企業だ」
「そこは抜かりねえ。ちゃんと防犯カメラに写る場所は避けてる」
その時、車の運転席のドアが開く
「あ、課長は、あたしが宿まで送る。あたしは、フェリーで車ごと帰るから」
「は~い」
「誰?」
俺は同業者に、そう訊いた。
「ウチのカミさん」
「じゃあ、防犯カメラに写らない場所まで移動、お前ら2人は、そこで降りろ」
だが……同業者の「カミさん」の口調は……また訛がビミョ~に違う。
標準語に近いが……西日本のものっぽい……。だが……関西弁とも、この辺りのものとも違う気がする。
やがて、俺達は車から降され……。
「結局、あんた、誰なんだ?」
「今は警察を辞めてるが……斎藤課長の昔の部下だ」
「ええっと……流派は密教系? それとも修験道?」
「ノーコメント」
「警察機構辞めたって……あれか? 都市伝説になってる課長が関わった剣呑い件絡み?」
「何の事だ?」
「だからさ……こう云う案件を手掛けた『桜田商事』の『落しの名人』が、実は本人も自覚してなかった『精神操作能力者』だった、って『都市伝説』だよ」
そう言って俺は、片方の手を拳にして首の後ろに回し、目をむいて舌を出して「絞首刑」のゼスチャーをやる。
いわゆる「異能力者」の中でも、最初に存在が公になったのは「精神操作能力者」。
当然……死刑囚の中には「精神操作能力」を持った警察官のせいで嘘の自白をしたか、自分が真犯人だと思い込んでしまった奴がかなり居て……その中には、既に「吊るされ」てしまった奴も少なくない……そんな噂が立った。
そして、次に立った噂は、対異能力犯罪広域警察機構「レコンキスタ」の汚れ仕事部隊が「自分を『精神操作能力者』だと自覚していなかった『落しの名人』」を粛清した、と云うモノだった。
「それも……ノーコメント」
精神操作系の術が専門じゃない「魔法使い」でも、相手の「気」から相手が動揺してるかぐらいは推測出来る。
だが、ちゃんと体系立った、そこそこ以上の歴史が有る「流派」で、マトモな修行をした「魔法使い」は、結構な自制心を持ってるのが普通だ。
この同業者からも、何の心の動きも読み取れない。
だが……ヤツは……溜息を吐いた。
「俺達と斎藤課長が関わったのは……それどころじゃない剣呑い案件だと言ったら信じるか?」
「へっ?」
「俺達が、あるクソ野郎どもを壊滅させたのは確かだ……。けど、それが正しかったかは……今でも俺ん中では答が出てねえ……。キザな言い方でアレだけどな」
どこまでが本当で……どこまでが与太なのか……それさえ判断出来ない。
「ともかく、連絡はコレで取る」
そう言ってヤツが差し出したのは……今の携帯が主流になる以前の古いタイプの折り畳み式携帯電話。
「これさぁ……」
「そこも抜かりない。県外で手に入れた『飛し』の携帯だ」
「あんたの事は……何て呼べばいい?」
「朝霧」
「へっ?」
「名字は朝霧。下の名前は……そうだな、陽介でいいか?」
まぁ、多分、偽名だろうが。
「あと、念の為だ。この携帯を使うのは……お前の今の自宅以外の場所にしてくれ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」
蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」の千代田区・秋葉原。
父親の形見である強化服「水城(みずき)」を自分の手で再生させる事を夢見る少年・石川勇気と、ある恐るべき「力」を受け継いでしまった少女・玉置レナは、人身売買組織に誘拐された勇気の弟と妹と取り戻そうとするが……。
失なわれた「正義」と「仁愛」を求める「勇気」が歩む冥府魔道の正体は……苦難の果てにささやかな誇りを得る「英雄への旅路」か、それとも栄光と破滅が表裏一体の「堕落への旅路」か?
同じ作者の「世界を護る者達/御当地ヒーロー始めました」「青き戦士と赤き稲妻」と同じ世界観の話です。
「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。
こちらに本作を漫画台本に書き直したものを応募しています。
https://note.com/info/n/n2e4aab325cb5
https://note.com/gazi_kun/n/n17ae6dbd5568
万が一、受賞した挙句にマルチメディア展開になんて事になったら、主題歌は浜田省吾の「MONEY」で……。

シーフードミックス
黒はんぺん
SF
ある日あたしはロブスターそっくりの宇宙人と出会いました。出会ったその日にハンバーガーショップで話し込んでしまいました。
以前からあたしに憑依する何者かがいたけれど、それは宇宙人さんとは無関係らしい。でも、その何者かさんはあたしに警告するために、とうとうあたしの内宇宙に乗り込んできたの。
ちょっとびっくりだけど、あたしの内宇宙には天の川銀河やアンドロメダ銀河があります。よかったら見物してってね。
内なる宇宙にもあたしの住むご町内にも、未知の生命体があふれてる。遭遇の日々ですね。
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Neo Tokyo Site04:カメラを止めるな! −Side by Side−
蓮實長治
SF
「お前……一体全体……この『東京』に『何』を連れて来た?」
「なぁ……兄弟(きょうでえ)……長生きはするもんだな……。俺も、この齢になるまで散々『正義の名を騙る小悪党』は見てきたが……初めてだぜ……『悪鬼の名を騙る正義』なんてのはよぉ……」
現実の地球に似ているが、様々な「特異能力者」が存在する2020年代後半の平行世界。
「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo」の1つ……壱岐・対馬間にある「Site04」こと通称「台東区」の自警団「入谷七福神」のメンバーである関口 陽(ひなた)は、少し前に知り合った福岡県久留米市在住の「御当地ヒーロー見習い」のコードネーム「羅刹女(ニルリティ)」こと高木 瀾(らん)に、ある依頼をするのだが……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)
トーマス・ライカー
SF
政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図(きと)し、準備して開催(かいさい)に及んだ。
そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次(じゅんじ)に公開している。
アドル・エルクを含む20人は艦長役として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗(とうじょう)して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。
『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度(ひんど)でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨(すいしょう)している。
【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。
本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘(ふんとう)する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移(せんい)します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察(どうさつ)力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』と言う。
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語は始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる