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第一章:In My End Is My Beginning
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そして、山能組の組長は俺の立てたプランで見事に爆死した。
俺達、暗殺チームは広島市内の居酒屋を借り切って打ち上げ。
居酒屋は居酒屋だが、値段はそれなり、メニューも和洋中揃ってるが妙にお洒落系のモノが多く、割烹料理店みたいに客席から板前が調理してるところが見える。
はっきり言って、ヤー公が来ていいようなとこじゃない「上の下」ぐらいの高級店だ。
「おい、落としたり、パァっと使ったりするんじゃね~ぞ」
『阿弥陀様』からメンバー各自に分厚い封筒に入ったボーナスが手渡される。
電子マネー全盛の時代に、銀行振り込みもせず、電子マネーでもなく、現金を直接手渡しってのは……要はそう云う事だ。
現金が、一番、金の動きを追いにくい。
「あ、そうだ『チビすけ』。一次会が終ったら、新人歓迎会だ。主役が酔い潰れてたらアレなんで、すまないが、一次会では、ほどほどにしてもらえるかな?」
嫌な予感しかしないが……ここは馬鹿のフリ。
「あ……わかりました。手荒な事は勘弁して下さいよ」
そして、一次会が終ると……路面電車その他の公共交通機関の終電は、まだ先の筈なのに、何故か近くの駐車場に御案内。
嫌な予感が増すが、微酔い気分のフリをして……おい……。
車酔いか、酒のせいで、ゲロ吐きそうになったフリして車の外に出て逃げるか?
だが、決断が遅れた。
車は、どんどん山奥の……人通りも人家も稀な場所に入って行き……え?
着いた場所に有ったのは……養豚場の看板。
今時、LEDじゃなくて、白熱電球で照らされた物置まで連れてこられ……。
あ~あ……。
我ながら、冷静だった。
心のどこかで、こんなオチになる気がしてたんだよ。
物置の中に居たのは……潜入捜査仲間のシャブ中の公安崩れと、広域組対の不良警官。
2人とも、顔中痣だらけの傷だらけ。服は血だらけ。椅子に縛り付けられている。
「おい、チビすけ……採用試験の最終だ」
「へっ?」
「この2人、殺せ」
ええっと……馬鹿のフリ……。
「いや……と言っても、これ……俺が使ってた情報屋と……あと、誰です、これ?」
「ああ、ウチと山能組の両方に情報を流してた組対の不良警官だ。二重スパイは、敵が居なくなったら不要になる事を知らなかったほどのマヌケだ。もう要らん」
「あ……で……こいつの方は?」
「ウチも『上』から、コンプラだかテンプラだかをうるさく言われてな……有能でもシャブ中は論外だ」
ああ……そう云う事か……。
だから……こいつのコードネームが「氷」だったのか……。
最初からシャブ中だと気付いてたので……覚醒剤の別名をコードネームにしたのか?
「お……おい……待て……」
広域組対の不良警官が、小便を漏らしながら、たどたどしい口調で、そう言い出した。
「ん?」
「そ……そいつは……潜入捜査官だ……」
ところが……えっ? マジで気付かれてなかったのか? それとも芝居か?
その場に居たヤー公達、全員がポカ~ン。
「あ……あのな……あんた……」
俺は頭を押さえながら、説明をしてやった。
「仮に、あんたの言ってる事が本当だとしても……俺が、あんたの言ってる事が嘘だってフリをする為には、あんたを殺すしかねえ。逆に、あんたの言ってる事が嘘なら……俺はあんたを平然と殺す」
「へっ?……うぎゃあッ⁉」
俺が呼び出した死霊は……あっさり広域組対の不良警官の「命」を吸い尽す。
「お……おい……待て……俺まで……」
「悪い。俺の『使い魔』どもは、あんたの事嫌いみたいなんだわ」
「えっ? おい、待て……うぎゃあ……」
だが……「使い魔」どもの機嫌は悪そうだった。
おい、お前らだって、この公安崩れを嫌ってたくせに、殺したら殺したで、何が「美味しくない」だ?
「まぁ、いいや、合格だ」
「阿弥陀様」は、本当に仏のような顔……ただし、内心は知れたモノじゃないが……で、そう俺に告げた。
俺達、暗殺チームは広島市内の居酒屋を借り切って打ち上げ。
居酒屋は居酒屋だが、値段はそれなり、メニューも和洋中揃ってるが妙にお洒落系のモノが多く、割烹料理店みたいに客席から板前が調理してるところが見える。
はっきり言って、ヤー公が来ていいようなとこじゃない「上の下」ぐらいの高級店だ。
「おい、落としたり、パァっと使ったりするんじゃね~ぞ」
『阿弥陀様』からメンバー各自に分厚い封筒に入ったボーナスが手渡される。
電子マネー全盛の時代に、銀行振り込みもせず、電子マネーでもなく、現金を直接手渡しってのは……要はそう云う事だ。
現金が、一番、金の動きを追いにくい。
「あ、そうだ『チビすけ』。一次会が終ったら、新人歓迎会だ。主役が酔い潰れてたらアレなんで、すまないが、一次会では、ほどほどにしてもらえるかな?」
嫌な予感しかしないが……ここは馬鹿のフリ。
「あ……わかりました。手荒な事は勘弁して下さいよ」
そして、一次会が終ると……路面電車その他の公共交通機関の終電は、まだ先の筈なのに、何故か近くの駐車場に御案内。
嫌な予感が増すが、微酔い気分のフリをして……おい……。
車酔いか、酒のせいで、ゲロ吐きそうになったフリして車の外に出て逃げるか?
だが、決断が遅れた。
車は、どんどん山奥の……人通りも人家も稀な場所に入って行き……え?
着いた場所に有ったのは……養豚場の看板。
今時、LEDじゃなくて、白熱電球で照らされた物置まで連れてこられ……。
あ~あ……。
我ながら、冷静だった。
心のどこかで、こんなオチになる気がしてたんだよ。
物置の中に居たのは……潜入捜査仲間のシャブ中の公安崩れと、広域組対の不良警官。
2人とも、顔中痣だらけの傷だらけ。服は血だらけ。椅子に縛り付けられている。
「おい、チビすけ……採用試験の最終だ」
「へっ?」
「この2人、殺せ」
ええっと……馬鹿のフリ……。
「いや……と言っても、これ……俺が使ってた情報屋と……あと、誰です、これ?」
「ああ、ウチと山能組の両方に情報を流してた組対の不良警官だ。二重スパイは、敵が居なくなったら不要になる事を知らなかったほどのマヌケだ。もう要らん」
「あ……で……こいつの方は?」
「ウチも『上』から、コンプラだかテンプラだかをうるさく言われてな……有能でもシャブ中は論外だ」
ああ……そう云う事か……。
だから……こいつのコードネームが「氷」だったのか……。
最初からシャブ中だと気付いてたので……覚醒剤の別名をコードネームにしたのか?
「お……おい……待て……」
広域組対の不良警官が、小便を漏らしながら、たどたどしい口調で、そう言い出した。
「ん?」
「そ……そいつは……潜入捜査官だ……」
ところが……えっ? マジで気付かれてなかったのか? それとも芝居か?
その場に居たヤー公達、全員がポカ~ン。
「あ……あのな……あんた……」
俺は頭を押さえながら、説明をしてやった。
「仮に、あんたの言ってる事が本当だとしても……俺が、あんたの言ってる事が嘘だってフリをする為には、あんたを殺すしかねえ。逆に、あんたの言ってる事が嘘なら……俺はあんたを平然と殺す」
「へっ?……うぎゃあッ⁉」
俺が呼び出した死霊は……あっさり広域組対の不良警官の「命」を吸い尽す。
「お……おい……待て……俺まで……」
「悪い。俺の『使い魔』どもは、あんたの事嫌いみたいなんだわ」
「えっ? おい、待て……うぎゃあ……」
だが……「使い魔」どもの機嫌は悪そうだった。
おい、お前らだって、この公安崩れを嫌ってたくせに、殺したら殺したで、何が「美味しくない」だ?
「まぁ、いいや、合格だ」
「阿弥陀様」は、本当に仏のような顔……ただし、内心は知れたモノじゃないが……で、そう俺に告げた。
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