11 / 31
第1章:インサイダーズ
広域組対 捜査官 猿渡喜龍 (2)
しおりを挟む
「おう、どうした?」
指定された場所に行くと……居たのは久米銀河。……警備会社「安徳セキュリティ」の副社長……は表向きで、実態は広域暴力団の荒事専門の二次団体の若頭だ。
まずは……何も問題は起きてないのに、何故、呼び出した? と云う感じを装う。
口調も、立ち振舞いも、わざと無神経かつ強気に……。
手も足もおっ広げてソファに座る。
「順調みたいですね」
「ああ……予定よりは多少遅れてるが……再来週には、『レコンキスタ』内の『S』から、第一報が有る筈だ」
S……つまりスパイの事だ。
それを聞くと久米は……テーブルの上に分厚い封筒を置いた。
「部下の方が、体の調子が悪いそうですね。マル対を尾行中に、急病になったとか。その、お見舞いです」
えっ……?
中身は……電子決済全盛のこの御時世に……百枚以上の紙幣……。
どう云う事だ? と思った、その時、久米の携帯電話に着信音。
電話に出て一言目は、「はい」だったが、どうやら、相手はヤツの部下……少なくとも目下の誰かみたいで……段々、「おい」だの「こら」だのが混じり、しかも、その誰かは不始末をやったらしく……。
「おい、これ以上、ヘマしたら口から生コン注ぎ込んで筑後川に沈めるぞ……判ってるだろうな」
えっと……。
「いやぁ、お互い使えねぇ部下を持って大変ですねぇ……」
えっ? 「お互い」?
「なんか……サルさんの部下も……高校生尾行してたら、見失っちまったとか……それも2日連続で」
まて……誰をSにするつもりか……何も話してないのに……何故、知ってる?
「ああ、ところで、あくまで念の為の確認ですが……。ええ、サルさんが、そんなヘマするなんて事は無いんで、失礼な質問なのは判ってんですけど……」
お……おい……何だ?
「……今んとこ必要なのは、事務職とか庶務でもアクセス出来る情報なのに……わざわざ、荒事に慣れてる現場の刑事をSにしようなんて思ってませんよね?」
し……しまった……。
こいつらの「組」の「S」は……俺と俺の部下以外にも、ウチの「カイシャ」内に居る……。
そして……ヤツらにとっては「俺より信用出来る別の『S』」に……俺達を監視させているらしい……。
指定された場所に行くと……居たのは久米銀河。……警備会社「安徳セキュリティ」の副社長……は表向きで、実態は広域暴力団の荒事専門の二次団体の若頭だ。
まずは……何も問題は起きてないのに、何故、呼び出した? と云う感じを装う。
口調も、立ち振舞いも、わざと無神経かつ強気に……。
手も足もおっ広げてソファに座る。
「順調みたいですね」
「ああ……予定よりは多少遅れてるが……再来週には、『レコンキスタ』内の『S』から、第一報が有る筈だ」
S……つまりスパイの事だ。
それを聞くと久米は……テーブルの上に分厚い封筒を置いた。
「部下の方が、体の調子が悪いそうですね。マル対を尾行中に、急病になったとか。その、お見舞いです」
えっ……?
中身は……電子決済全盛のこの御時世に……百枚以上の紙幣……。
どう云う事だ? と思った、その時、久米の携帯電話に着信音。
電話に出て一言目は、「はい」だったが、どうやら、相手はヤツの部下……少なくとも目下の誰かみたいで……段々、「おい」だの「こら」だのが混じり、しかも、その誰かは不始末をやったらしく……。
「おい、これ以上、ヘマしたら口から生コン注ぎ込んで筑後川に沈めるぞ……判ってるだろうな」
えっと……。
「いやぁ、お互い使えねぇ部下を持って大変ですねぇ……」
えっ? 「お互い」?
「なんか……サルさんの部下も……高校生尾行してたら、見失っちまったとか……それも2日連続で」
まて……誰をSにするつもりか……何も話してないのに……何故、知ってる?
「ああ、ところで、あくまで念の為の確認ですが……。ええ、サルさんが、そんなヘマするなんて事は無いんで、失礼な質問なのは判ってんですけど……」
お……おい……何だ?
「……今んとこ必要なのは、事務職とか庶務でもアクセス出来る情報なのに……わざわざ、荒事に慣れてる現場の刑事をSにしようなんて思ってませんよね?」
し……しまった……。
こいつらの「組」の「S」は……俺と俺の部下以外にも、ウチの「カイシャ」内に居る……。
そして……ヤツらにとっては「俺より信用出来る別の『S』」に……俺達を監視させているらしい……。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
「悪の組織」からの足抜けを手伝いますッ♥/第一部「安易なる選択−The Villain's Journey−」
蓮實長治
SF
現実と似ているが「御当地ヒーロー」「正義の味方」によって治安が維持されている世界。
その「正義の味方」が始めた新しい「商売」である「悪の組織からの足抜けと社会復帰の支援」を利用して、落ち目になった自分の組織の「お宝」を他の組織に売り渡し、輝かしい第二の人生を始めようとしたある悪の組織の幹部(ただし、幹部の中でも下の方)。
しかし、のっけから事態は予想外の方向に……。
同じ作者の別の作品と世界設定を共有しています。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
(pixiv,GALLERIAは完結後の掲載になります)
こちらに本作を漫画台本に書き直したものを応募しています。
https://note.com/info/n/n2e4aab325cb5
https://note.com/gazi_kun/n/nde64695e2171
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ゾンビのプロ セイヴィングロード
石井アドリー
SF
『丘口知夏』は地獄の三日間を独りで逃げ延びていた。
その道中で百貨店の屋上に住む集団に救われたものの、安息の日々は長く続かなかった。
梯子を昇れる個体が現れたことで、ついに屋上の中へ地獄が流れ込んでいく。
信頼していた人までもがゾンビとなった。大切な屋上が崩壊していく。彼女は何もかも諦めかけていた。
「俺はゾンビのプロだ」
自らをそう名乗った謎の筋肉男『谷口貴樹』はアクション映画の如く盛大にゾンビを殲滅した。
知夏はその姿に惹かれ奮い立った。この手で人を救うたいという願いを胸に、百貨店の屋上から小さな一歩を踏み出す。
その一歩が百貨店を盛大に救い出すことになるとは、彼女はまだ考えてもいなかった。
数を増やし成長までするゾンビの群れに挑み、大都会に取り残された人々を救っていく。
ゾンビのプロとその見習いの二人を軸にしたゾンビパンデミック長編。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる